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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

SBIグループは融資事件の「最大の被害者」なのか(東洋経済より)

SBIグループは融資事件の「最大の被害者」なのか
北尾吉孝氏はベンチャー社長を「詐欺師」呼ばわり
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テクノシステム事件におけるSBIホールディングス側の問題点を取り上げた解説記事。

SBIホールディングスの決算説明会でテクノシステムの社長は詐欺師だと決めつけられたそうです。

事件の概要は...

「「詐欺師」と呼ばれたのは太陽光発電のベンチャー・テクノシステム(本社・神奈川県横浜市。以下テクノ)の生田尚之社長。

生田氏が東京地検特捜部によって詐欺容疑で逮捕されたのは北尾発言から1カ月後の5月27日のことだった。阿波銀行や富士宮信用金庫から引き出した十数億円の融資を、名目とは別の用途に使っていた疑いで、金融機関から資金をだまし取ったというものだ。

北尾氏がSBIを「最大の被害者」と表現したのは、前出の金融機関より大きな資金を100%子会社SBIソーシャルレンディング(以下、SBISL)がテクノに貸し付けていたからだ。テクノはSBISLから200億円以上の資金を事業資金として借りていながら、そのうち130億円近い額を融資の名目とは違う用途に充てていた疑いがあがっている。」

他方、生田氏は直筆の「詫び状」の中でSBIを批判しているそうです。

「不正が発覚した2021年2月以降、調査のためにSBISLが立ち上げた第三者委員会に対し、弁護士を通じて自身の見解を伝えてきたにもかかわらず、4月に公表された調査報告書は「一方的な決めつけにより責務を負わされる、いわば、テクノだけを悪者にする文章になっております」と批判している。」

SBI子会社側では、2019年の段階ですでに異変に気付いていたそうです。

「報告書によると、SBISLは2019年末時点でテクノの異常を察知していた。「テクノの工事に遅延が生じている」と最初に気がついたのは2019年12月19日のこと。2018年の秋に約18億円を貸し付けたメガソーラーブリッジローンファンド3本(17号、18号、20号)の開発スケジュールにズレが生じていることがわかったのだ。それを受けてSBISLは2019年末、テクノに説明を求めた。

ところがテクノは十分な説明をしなかった。そして2020年1月24日、SBISLは上記3号の問題が整理されるまでテクノ事案は受けつけないことにした。」

ところが、SBISLはその後もテクノ社との関係を深めていきます。

「報告書によれば、2020年6月29日、SBISLはテクノに福島2案件を7月に、山梨案件は8月に募集する方向で進める旨をメールで送信。翌30日には再びテクノに「弊社も臨戦態勢で案件組成してまいりますので」と伝達。

さらに7月3日には「7、8月は他社の案件ストップし貴社のみ対応いたします」と、“ラブコール”とも言える呼びかけまでしている。報告書は「問題(テクノ案件の工事遅延)を直視せず、A社(テクノ)の工事完成能力への懸念を漫然と放置」と断じている。」

「社内外から懸念の声があったにもかかわらず、2020年10月までに太陽光発電プロジェクトである福島県郡山市案件(約11億円)、茨城県那珂市と桜川市案件(約6億円)、北海道北斗市案件(約28億円)、熊本県水俣市案件(約40億円)の融資が実行されている。」

その背景として、SBISLが上場準備を進めていて、業績の面でテクノ社に大きく依存していた点があるそうです。

「SBISLが上場準備を本格的に開始したのは2018年末ごろからだった。SBISLの融資残高は毎年拡大を続け、2020年3月5日、ソーシャルレンディングの融資残高が400億円を突破して415億円になったと発表。4月6日には登録投資家数が5万人を突破したとリリースした。

勢いよく伸びているように見えるが、内実は「テクノ頼み」だった。2020年3月末時点の融資残高422億円のうち180億円超、割合にして43.8%がテクノで占められていた。」

SBIの調査報告書は、SBISLからテクノ社への融資関係にのみに焦点を当てていますが、記事によれば、SBIグループとテクノの接点はほかにもあるそうです。

まず、不良債権の担保物件をテクノに飛ばすようなことをやっています(事件発覚後にSBI側で買い取り)。

「SBISLにおいて、ある会社への融資(2.7億円)が焦げついたのは3年ほど前のこと。債権回収に黄信号が灯っていたとき、SBISLに“助け船”を出したのがほかならぬテクノだった。2019年、前出の会社が所有する鶯谷駅前の土地(従前はSBISLが抵当権を設定)が競売にかけられ、大東京信用組合から融資を受けたテクノが落札しているからだ。2020年2月、テクノはそこに4階建てのビルを建てた。

この建物を社員寮として借りていたのがSBI証券だったとされる。SBIグループは、家賃の支払いを通じてテクノに“恩返し”をしていたともいえるが、2021年2月16日、SBI証券はこの物件をテクノから買い取っている。しかも、SBISLが「貸付先の事業運営に重大な懸念事項」と発表(2月5日)してから間もないタイミングである。」

また、SBIの別の子会社の社長がテクノ社に関わっていました。

「テクノとのSBIグループの接点はこれだけではない。SBIの100%子会社でエネルギー事業を担うSBIエナジーがそうだ。同社の社長は中塚一宏氏だった(2021年4月に辞任)。中塚氏は民主党政権時代に復興副大臣や金融担当大臣を歴任し、政界引退後にSBIグループに入った。2021年4月には株式会社化した堂島取引所の初代社長にも就任した実力者だ。

その中塚氏はSBIエナジー社長の傍ら、テクノのシニアアドバイザーも務めていた。当時、テクノが建てる太陽光発電の買取先としてSBIエナジーの名が挙がっていたという話もある。」

テクノ社は、SBIグループ全体で育てていた会社のようです。

上記記事の中でふれています。

第24回格付け結果を公表しました(第三者委員会報告書格付け委員会)

「今回の格付け結果は、D評価が6名、F評価が2名となり、総じて低めの評価だった。

問題の原因を、SBISL の経営トップa氏の個人的要因に限定し、100%親会社である SBIHDによる子会社管理の問題調査スコープから外しており、ゆえに親会社の問題にまで遡った深度のある原因分析がなされておらず、それが実効性の乏しい再発防止提言にもつながっている点につき、すべての委員がマイナス評価をした。経営トップa氏に責任を押し付けて親会社を護ったもの、トカゲの尻尾切りとの指摘もある。」

融資先は詐欺師、その詐欺師にだまされて融資を継続した子会社経営者は無能、親会社やその他のグループ会社は無関係ということで済むのでしょうか。
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