会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

金融庁、有価証券報告書等に気候・サステナビリティ情報開示の記載欄新設の改正案。Scope1+2は任意開示、同3は開示対象外。ISSBの基準案からかなりの後退(環境金融研究機構より)

金融庁、有価証券報告書等に気候・サステナビリティ情報開示の記載欄新設の改正案。Scope1+2は任意開示、同3は開示対象外。ISSBの基準案からかなりの後退

先日公表された、有報にサステナビリティ情報開示欄をもうけるなどの開示府令案の解説記事。

海外基準と比べて後退しているといって批判的な論調です。

「改正案は金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループが6月にまとめた報告を土台としている。主な内容は、まず、有価証券報告書等に新たに「サステナビリティに関する考え方及び取り組み」とする記載欄を新設する点だが、問題はそこに記載する内容だ。改正案では、サステナビリティ全般についての「ガバナンス」「リスク管理」での取り組みの開示は必須記載事項とするが、「戦略」「指標及び目標」は重要性に応じて、企業判断での任意記載とすると切り分けた。

任意記載に分類される「指標及び目標」でのGHG排出量の開示については、「各企業の業態や経営環境等を踏まえた重要性の判断を前提として、Scope1、同2については(任意開示だが)積極的な開示が期待される」とし説明している。だが、Scope3については何ら言及がない。改正案では、Scope1+2の開示も「開示は期待」でしかなく、必須記載ではない点で、ISSBやSECの基準と明瞭に異なる。」

「金融庁案では将来情報を記述する場合、当該の将来情報に関する経営者の認識や、前提となる事実や仮定について合理的な記載がされる場合、さらに将来情報について社内で適切な検討を経たこと等が、検討された事実や仮定等とともに記載されている場合は、記載した将来情報と実際の結果が異なる場合でも、企業は直ちに虚偽記載の責任を負うものではない、としている。

これは米国証券取引委員会(SEC)が採用する「セーフハーバールール」の考えを取り入れる形だ。ただ、SECの気候情報開示での同ルールの採用は、Scope3の取り扱いをめぐってのものであり、金融庁の「SECルールの借用」は、Scope3は対象外としたうえで、サステナビリティ情報全般に、同ルールを適用させて、企業の虚偽記載責任を回避させることを目指す点で、SECルールとは似ても似つかぬ「濫用」のようにも映る。」

今回の開示府令案は、大きな枠だけ、国際的な基準と合わせておいて、中身はこれから検討していく(SSBJなどの検討をやらせる)ということなのでしょう。

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