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「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案の公表について(金融庁)

「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案の公表について

金融庁は、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案を、2022年11月7日に公表しました。

一部改正予定なのは、以下の府令やガイドラインです。

  • 企業内容等の開示に関する内閣府令
  • 特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令
  • 「企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)」
  • 開示用電子情報処理組織による手続の特例等に関する内閣府令

そのほか、「記述情報の開示に関する原則(別添)―サステナビリティ情報の開示について―」という文書が、あらたに制定されるそうです。既存の原則に追加されるもののようです。

今年6月に公表された「金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループ報告」を踏まえて、有価証券報告書及び有価証券届出書の記載事項について、改正するものです。

改正事項は以下のとおり(プレスリリースより)。

【1】サステナビリティに関する企業の取組みの開示

(1)サステナビリティ全般に関する開示

  • サステナビリティ情報の「記載欄」の新設(企業内容等の開示に関する内閣府令(以下「開示府令」)第二号様式「第二部 第2【事業の状況】」及び同様式 記載上の注意「(30-2)サステナビリティに関する考え方及び取組」等)

有価証券報告書等に、「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄を新設し、「ガバナンス」及び「リスク管理」については、必須記載事項とし、「戦略」及び「指標及び目標」については、重要性に応じて記載を求めることとします。

また、サステナビリティ情報を有価証券報告書等の他の箇所に含めて記載した場合には、サステナビリティ情報の「記載欄」において当該他の箇所の記載を参照できることとします。

  • 将来情報の記述と虚偽記載の責任及び任意開示書類の参照(企業内容等の開示に関する留意事項について(以下「開示ガイドライン」))

サステナビリティ情報をはじめとした将来情報の記載について、将来情報に関する経営者の認識及びその前提となる事実や仮定等について合理的な記載がされる場合や、将来情報について社内で適切な検討を経た上で、その旨が、検討された事実や仮定等とともに記載されている場合には、記載した将来情報と実際の結果が異なる場合でも、直ちに虚偽記載の責任を負うものではないことを明確にすることとします。

また、サステナビリティ情報や取締役会等の活動状況の記載については、その詳細な情報について、任意開示書類を参照することができることを明確化し、また、任意開示書類に明らかに重要な虚偽があることを知りながら参照する等、当該任意開示書類の参照自体が有価証券報告書等の重要な虚偽記載等になり得る場合を除けば、単に任意開示書類の虚偽をもって直ちに虚偽記載等の責任を問われるものではないことを明確化することとします。
 
(2)人的資本、多様性に関する開示(開示府令第二号様式 記載上の注意「(29) 従業員の状況」、「(30-2)サステナビリティに関する考え方及び取組」及び開示ガイドライン)

人材の多様性の確保を含む人材育成の方針社内環境整備の方針及び当該方針に関する指標の内容等について、必須記載事項として、サステナビリティ情報の「記載欄」の「戦略」と「指標及び目標」において記載を求めることとします。

また、女性活躍推進法等に基づき、「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」を公表している会社及びその連結子会社に対して、これらの指標を有価証券報告書等においても記載を求めることとします。

なお、これらの指標を記載するに当たって、任意で追加的な情報を記載することが可能であること、サステナビリティ記載欄の「指標及び目標」における実績値に、これらの指標の記載は不要であることを明確化することとします。
 
(3)サステナビリティ情報の開示における考え方及び望ましい開示に向けた取組み(「記述情報の開示に関する原則」)

 WG報告で提言されたサステナビリティ情報の開示についての期待等を踏まえて、サステナビリティ情報の開示における考え方及び望ましい開示に向けた取組みを取りまとめました。なお、主な内容は、以下のとおりです。

・「戦略」と「指標及び目標」について、各企業が重要性を判断した上で記載しないこととした場合でも、当該判断やその根拠の開示が期待されること
・気候変動対応が重要である場合、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標及び目標」の枠で開示することとすべきであり、GHG排出量について、各企業の業態や経営環境等を踏まえた重要性の判断を前提としつつ、Scope1・Scope2のGHG排出量については、積極的な開示が期待されること
・「女性管理職比率」等の多様性に関する指標について、連結グループにおける会社ごとの指標の記載に加えて、連結ベースの開示に努めるべきであること
 
サステナビリティ情報については、現在、国内外において、開示の基準策定やその活用の動きが急速に進んでいる状況であるため、サステナビリティ情報の開示における「重要性(マテリアリティ)」の考え方を含めて、今後、国内外の動向も踏まえつつ、本原則の改訂を行うことを予定しています。
 
 
【2】コーポレートガバナンスに関する開示(第二号様式 記載上の注意「(54)コーポレート・ガバナンスの概要」、「(56)監査の状況」及び「(58)株式の保有状況」 等)

取締役会や指名委員会・報酬委員会等の活動状況(開催頻度、具体的な検討内容、出席状況)、内部監査の実効性(デュアルレポーティングの有無等)及び政策保有株式の発行会社との業務提携等の概要について、記載を求めることとします。
 
【3】その他

EDINETが稼働しなくなった際の臨時的な措置として代替方法による開示書類の提出を認めるため、「開示用電子情報処理組織による手続の特例等に関する内閣府令」の改正を行います。

改正後の規定は公布の日から施行する予定です。

改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の規定は、2023年(令和5年)3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用予定です。

新旧対照表は量が多いので、1カ所だけ引用します。

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