日経の書評記事です。
「著者によると、富豪による節税の3大柱は財産の信託への移管、慈善財団の設立と財産の寄付および資産管理会社の設立である。最も多く利用されているのは信託である。信託の場合、資産保護が確実で受益者の身元が秘匿され、相続税も課されないからである。慈善財団は非課税の恩典を享受できるが、慈善活動や財産の開示が求められる点が厄介とされる。
ウェルス・マネジャーは富豪の要請に耳を傾け、細心の注意を払って節税スキームを構築する。その際、プライベート・トラスト・カンパニーという財団を頂点として信託および会社を組み合わせた独特な仕組みを利用する。ファミリービジネスの経営権を維持したまま、税金の支払いを抑えるとともに財産を子孫に承継できる。
信託、財団はパナマなど租税回避地に設立する。租税回避地の政府は、自国経済の活性化を図るべく、財産の秘匿に適した法制や所得税の軽減措置を整備する。その結果、富豪が居住する国の政府は課税権を行使できなくなり、いかんともしがたい事態に追いやられる。」
一般社団法人を使った相続税節税などは、かわいいものといえるのかもしれません。
![]() | ウェルス・マネジャー 富裕層の金庫番――世界トップ1%の資産防衛 ブルック・ハリントン 庭田 よう子 みすず書房 2018-02-16 by G-Tools |