会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

所得税改革は、「配偶者控除」だけではない(東洋経済より)

所得税改革は、「配偶者控除」だけではない

政府税調の委員が書いている所得税改革に関する解説記事。

前半は配偶者控除などの説明をしていますが、所得税改革は、そのような所得控除に限定された話ではなく、「所得税制の本質的な議論に踏み込もうとする」ものだそうです。

具体的には、税額控除の活用を主張しています。

「控除を設けることで、国民の所得税負担を軽減しようとする政策意図があるというなら、それも一つの政策判断だろう。しかし、税負担を軽減するなら、何も所得控除という方法を使わなくても、もっと効果的な方法がある。

それは、税額控除である。税額控除とは、いったん算定された所得税額から直接的に差し引くことで負担額を軽減するものである。わが国の所得税制では、税額控除は約0.7兆円しか適用されていない。このことからもわかるように、わが国の現行所得税制では、圧倒的に所得控除が用いられている。

では、所得控除と税額控除は、どんな違いがあるか。結論から言えば、所得控除よりも税額控除の方が、所得格差是正効果が大きいことである。」

「日本全体で同じ金額の負担軽減効果を発揮させるにしても、所得控除で行っている現行制度を、税額控除で行う仕組みに改めるだけで、低所得者には従来通りの税負担軽減ができるとともに、高所得者により多く及ぶ税負担軽減効果を取り除くことができ、所得格差はより大きく是正されることになる。

所得格差是正は、最高税率を上げて、よりきつい累進課税を行うことで実現すると想像する人も多いかもしれないが、所得の源泉を容易に操作できるグローバル経済の下では、効果的ではない。むしろ、わが国では所得控除を税額控除に改めることこそが、所得格差是正には効果的である。」

以前からある重要な論点だと思います。しかし、そうはいっても、いろいろな報道を見る限りでは、所得控除をどうするかが議論の中心になっているようです。

配偶者控除の見直し「年内にも選択肢」 政府税調会長(朝日)

「政府税制調査会(首相の諮問機関)の中里実会長は6日、おもに主婦がいる世帯の税負担を軽くする配偶者控除の見直しで、年内にも複数の選択肢を示したいとの考えを明らかにした。」
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