会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

会計基準委、高リスク資産に開示義務 来期にも

会計基準委、高リスク資産に開示義務 来期にも

企業会計基準委員会が、実勢価格の把握しやすさに応じて金融商品を3段階(レベル1からレベル3まで)に分類する基準を導入するという記事。

記事によれば、注記として分類を開示するとのことです。

おそらく米国会計基準FAS157号の考え方を取り入れるということでしょう。

FAS157号では、公正価値(時価)を算定する際のインプットにレベル1から3までの序列をつけます。レベル1は評価しようとしている資産・負債と同一の資産・負債の活発な市場における取引価格、レベル2は類似の資産・負債の取引価格に調整を加えたもの、または活発でない市場における取引価格に調整を加えたもの、レベル3は市場参加者がとるであろう仮定を企業が最善の情報に基づいて見積もって、公正価値算定のインプットとするものです。

企業はできるだけ序列の高いインプット(レベル3よりレベル2、レベル2よりレベル1)を使って公正価値を算出しなければなりません。金融危機の影響で、一部の証券化商品のように取り引きが著しく細ってしまったものに関しては、さまざまな指針を出して、無理して市場価格を時価とする必要はないという方に方向転換しているようですが、公正価値の序列の考え方の原則は変わりません。(日経の8月3日の1面記事では、サブプライム問題以後に関心が高まったという趣旨のことが書かれていますが、FAS157号自体はサブプライム以前に公表された基準です。)

こうした時価の算定方法の序列の考え方は、理屈の上では日本基準でも適用されるはずですが、規定上は市場価格と企業による合理的な見積もりのどちらでも選べるように書いてある箇所もあったと思います。日経記事では、注記をさせるだけということですが、時価算定方法に序列をつけるという基準まで導入すると、会計処理にも影響してきます。

当サイトの関連記事(2007年11月)

Fair value hierarchy (PDFファイル)(グラント・ソーントンのサイトより)

公正価値会計の実務―米国FAS157の総合解説とIFRSアドプション対応公正価値会計の実務―米国FAS157の総合解説とIFRSアドプション対応

by G-Tools
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事