goo blog サービス終了のお知らせ 

孤高の旅人~憩いの広場~

SERONNの機関のエージェント

旅のお供は、犬+猿+?

2006-12-07 20:24:23 | 迷作劇場
「貴方が本物の桃太郎なら、キジも必要ですね?」

 変わった民族衣装の少女が、僕の喉元に刀を突きつけながらそんな事を聞いてきた。僕は桃太郎だけれど、キジが必要なんて聞いたことは無い。おまけに刀を突きつけられているせいでうなずく事も喋る事もできないし・・・。

「でも残念、私にキジの知り合いは居ないの、だから・・・」

 そんなことはお構い無しに、少女は一人話を続ける。どうやらこの質問は確認では無く、少女的には確定事項らしい。

「おいで、ママハハ」

 少女の声に応じて、太陽を背に舞い降りてくる鳥影。・・・どう考えてもキジには見えない大きなシルエットに息を飲む。翼を広げた大きさは、少なめに見積もっても全幅2メートル。大きなクチバシに、鋭くとがった鍵爪、鋭いまなざしはどんな小さな獲物も見逃さず、そのクチバシは分厚い獣皮も貫く。・・・鷹だった。

「そんな棒っ切れでは、鬼退治には心許ないでしょ? これを使いなさい」

 そういって放り投げてきたのは、傍で僕と同じように倒れている”隻眼の侍”の刀であった。それから、今にも死にそうなほど顔色の悪い侍の衣装を剥ぎ取りそれも着せられた。
 ・・・なんでこんな事になったのだろう? 僕はこうなった原因とも言える、ほんの30分前の出来事を思い出してみる・・・。


~回想シーン~


「勝負ありっ!!」

 黒子が旗を挙げ、勝敗を告げていた。どうやら勝ったのは色黒の少女剣士のようだ。・・・相手の侍は片目に眼帯をした、いかにも人を切りますといった感じの危ない人なのに、少女は息も切らした様子もなく侍に刀を突きつけている。

「貴方達のしている事は間違っています」
「何をいっておる、そなたの立っておるこの道も、そこの茶屋も、町も、田畑も、森林を切り開いて作られておる」
「だからといって・・・貴方には大自然の声が、悲しい叫びが聞こえないの!?」
「聞こえんよ、もし聞こえたとしても、もう止められんのだ。人が人として暮らす為には、多少の犠牲は必要なのだよ」
「・・・そう、それが幕府の答えなのですね。」

 少女は悲しそうに目を伏せ・・・

「では、貴方の首を持って返答と致しましょう」
「よかろう、拙者も侍の端くれ、覚悟は出来ておる。・・・だがな、私の首1つで政治は変わらん。それだけは覚えておくがいい」
「そんなことは分っています。でも、これが私なりの覚悟の証として心に留めてもらえれば十分です」
「国を敵に回すつもりか?」
「・・・もう、戦争は始まってます。貴方とここで剣を交えた瞬間から・・・」
「馬鹿な娘じゃ・・・さあ、ひと思いにやるがいい。この首を持って行け」
「では・・・」

 そういうと、おもむろにに刀を振り上げる少女・・・その顔は悲しげで・・・って、ちょwwwwおまwwwwwwwww!

『おやめ下さいお侍さん!!』

 突然の成り行きに混乱して、時代劇の茶屋の村娘のような台詞になってしまったけれど、少女の前に飛び出す”ひのきの棒(5G)”装備の布の服少年・・・僕(桃太郎)のことだけどさ。

「誰ですか? 邪魔をしないで下さい。これは大自然のお仕置きのはじめの1歩なのです」
『だからといって、アナタの様な娘さんが刃傷沙汰だなんて、それこそ間違っています!』
「では、どうしろと? どうすれば森林伐採を止めさせられるというのですか」
『そ、それは・・・話し合いで』

 少女は悲しげに、いや、哀れむように僕を見つめると・・・

「もう遅いのです、この国の人々は文明に慣れきってしまいました。もう手遅れなのです。・・・自然と共に生きる事を、自然を愛する気持ちを、”大自然の声を聞く耳も”、全てを無くした現代人には、私たち”自然保護団体”の意見など受け入れられないのです!」
『でも、だからといって人切りが許されるとでも!?』
「もう、始まってしまったのです。私たちの抗議活動(テロ)は・・・」

 そんなこと間違っている、そんなこと止めさせなければ・・・僕が、いや正義が!!

『じゃあ、僕が止めてみせる』
「何をですか?」
『森林伐採も・・・抗議活動(テロ)も・・・そして人間同士の殺し合いも、全て!!』
「・・・貴方に止められるのかしら、そんな棒っ切れで?」
『止めて見せるさ、僕が、日本一の桃太郎が!!』
「そう、貴方”桃太郎”っていうの」

 そういうと少女は、ーまるで興味を失ったかのようにー倒れた侍に背を向け、僕に切っ先を向け、こう続けた。

「貴方が本物の桃太郎なのか、私が試してあげる」

 その眼光は鋭く、まるでその手に持つ剣先のように冷たい輝きを感じさせた・・・所までは覚えているんだけれど、気が付いたら冒頭の様に為っていたのでした。


~回想シーン終わり~


「格好だけは”らしく”なったわね」

 人の悪い、唇の端を上げただけの(嘲笑とも取れる)笑顔で、それでも満足げに褒めてくれた。表情のせいで褒めているようには思えないけれど・・・。

「ママハハはこき使っていいわよ」
『・・・君は?』
「もちろん、一緒に行くわ・・・通訳として、ね」
『・・・通訳ですか』
「なに、不満そうね」
『いえいえ、そんな事はアリマセンよ?』
「まあいいわ、私は鬼が島にあるという秘宝が欲しいだけだし」
『秘宝って?』
「パレンケ・ストーンという、不思議な力を持った石よ」
「駄目なのだ!! パレンケ・ストーンは渡さないのだ!!」
「うきー!!」

 パレンケ・ストーンという単語に反応して、先程から静観していた猿と獣娘(通訳)が話に割り込んできた。

「その石、村の大事な宝物。異人に盗られた、絶対取り返す、それまで帰れない」
『・・・なんで片言?』
「ふ~ん、そんなに大事な物なら、あの噂は本当の様ね」
『噂って?』
「そんなのどうでも良いじゃない、さ、行くわよ!」


 そんなこんなで旅のお供が増えました。犬・猿・キジ(鷹)が揃い、おまけに武器まで手に入れた桃太郎一行、後は鬼が島に向うだけだ。進め桃太郎、戦え僕らの正義の味方!! ちなみに戦績は、0勝1敗。それで良いのか桃太郎!?



「あ、私にもきびだんごを分けてくれない?」
『・・・キジが食べるんじゃないの?』
「いいのよ、ママハハは肉食だから」
『・・・』


続く

桃太郎(第3話)

2006-12-06 18:11:39 | 迷作劇場
 それは、まごう事なき”行き倒れ”であった。その人(?)はボロ布をまとっただけの”いかにも”といった様相で、これが行き倒れ出なければ”追いはぎ”にでも遭ったとしか思えない、形容しがたい有様だった。

『・・・大丈夫かな?』
「わん!!」(犬)
「息はあるだワン」(通訳)

 その言葉に、思わず駆け寄る桃太郎。桃太郎は正義の人なのだ。決して”萌え太郎”なんかでは無く、鬼退治に”ひのきの棒(5G)”一本で向かってしまう程の、向こう見ずな正義の味方なのである。

「う、う~ん」
「わんわん!」(犬)
『・・・何て言ってるの?』
「どうやら、近くに猿が居るみたいでゴザル」
『猿か・・・この人は猿に襲われたのかな?』
「目立った外傷は無い様でゴザルな。只の行き倒れでゴザろう」
「わんわん! わんわん!!」(犬)
『とりあえず、この人を安全な所に運ばないと』
「いやいや、あまりこういった事に関わってはなりませんゾ。さ、さ、急ぎの旅です。鬼が島へ向ってレッツゴーでゴザル!!」

 なにやら挙動不審な忍者(通訳)。あまりにもあからさまなので問い質してみると・・・~中略~時間切れで引き分けだったのでした。

「がふがふがふ・・・」
「わんわんわん!!」
「うっき~」
「もぐもぐ・・・」
「わんわんわんわんわん!」
「うき~」

~中略~

「ご飯のお礼に、パクパクを自由に使っていいのだ」
「うっき~」
『・・・君は?』
「通訳なのだ!!」
「うき~」
『・・・村の秘宝はいいのかな?』
「きっと何とかなるのだ。そんな事より恩返しするのだ!!」
『・・・はあ。』

 またも、通訳が必要な仲間が増えてしまった桃太郎。彼の苦難はまだまだ続く。頑張れ桃太郎、たたかえ僕らの正義の味方!!


『ところで、さっきから着いて来ている”黒子”は何?』
「審判なのだ!」


続く

悪い子は見ちゃめっ☆

2006-12-05 18:41:01 | 迷作劇場
サブリミナル”萌え”桃太郎・第2話~犬通訳忍者の巻~

「わんわん、お腰につけた”萌え”きびだんご、1つ私に下さいな」
『え~と・・・誰?』

 ”萌え”鬼退治の旅に出かけて30分後、”萌え”桃太郎の目の前に”萌え”現れたのは、”萌え”犬を従えた”金髪忍者(青)”であった。”萌え”

「いやいや、拙者は”萌え”通訳でゴザル。今のはパ”萌え”ピーの台詞でゴザルよニンニン」
『・・・犬、鳴いて無いじゃん』
「パピーは滅多に吠えないのでゴザル」
 お腹すい”萌え”てるのかな?
 そう思った桃太郎は、可哀想な”萌え”外人忍者にきびだんごを分けてあげたのでした”萌え”。

『それじゃ、僕もう行くから』
「パピー、ジャパニ”萌え”ーズきびだんごだ!! さあ”萌え”お食べ」
 君は食べないのかい? そう思ったけれど、犬がきびだんごに夢中になっている隙に行ってしまおうと、抜き足差し足
「忍”萌え”者を差し置いて、忍”萌え”び足は無いで”萌え”ゴザルよ?」
 速攻でばれま”萌え”した。

「きび”萌え”だんごをくれたお礼に、”萌え”旅のお供を致しますワン!」
『名にソレ? そんなのいいよ・・・っていうか、何処行くかわかってるの?』
「そんなの知らない”萌え”ワン」
『・・・・・』

 犬”萌え”は”萌え””萌え”強”萌え”引”萌え”に”萌え”仲間”萌え”にな”萌え”った。”萌え”

『鬼が島へ出発だ~(やけくそ)』
「わんっ!」(←”萌え”犬)
「頑張るワン!」(←通訳”萌え”)

 頼もしいたびのお供が出来、順風満帆な桃太郎。しかし君の装備は”ひのきの棒(5G)”だけだ! がんばれ桃太郎、たたかえ僕らの桃太郎!! 君の明日はいったいどっちだ!?


「ところで、君の名前は?」
『桃太郎です』
「そうか、萌え太郎! 今後ともよろしくするでゴザルよ」
『萌えじゃないってば・・・』


続く

良い子の昔話~桃太郎~

2006-12-04 18:56:32 | 迷作劇場
 今月は萌えをテーマに書くと宣言致しました故、何とか志に殉じて見たいと思います。そーれ萌え萌え☆

 今日のテーマはサブリミナル。
 サブリミナルとは、某大手飲料会社がテレビCMで実験を果たし、世界的に反則な販促として認知されているアレです。
 それと萌えとの、夢のコラボレーション☆ ・・・は技術的な問題で無理なので、萌えとサブリミナルを織り交ぜた『昔話』で逝って見たいと思います。ちなみに、全5話。

 それでは昔話『桃太郎』はじまりはじまり~。


 昔々ある所に、お爺さんとお婆さんが居ったそうな。お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に~中略~なんと桃の中から可愛らしい赤ちゃんが出て来たではありませんか。

「これは可愛らしい赤ん坊じゃの~」
「んだんだ、めんこいの~」
「そうじゃ、婆さん」
「なんじゃ、爺様」
「こんな可愛らしい赤ん坊じゃ、名前は”萌え太郎”にしたらどうじゃろう」
「やんだ、そっただ名前にしたら、この子が萌え死にしてしまうがね」
「では、間を取って桃太郎にしようかね」
「そだそだ、それがええ、それがええ」

~中略~

『お爺さん、お婆さん。今まで育ててくれてありがとうございます。僕はこれから、鬼が島へ鬼退治に向います』
「おいおい、何を言い出すんだい萌え太郎や」
「そだぞ萌え太郎や。大体、丸腰でどうするつもりだ?」
『大丈夫、僕にはこの”ひのきの棒(5G)”と”ぬののふく”そして”おなべのふた”があります』
「そんな事を言っても、お前は”勇者の子孫”ではないのだよ萌え太郎?」
『大丈夫です。勇者の子孫ではありませんが”桃から生まれた”という不思議な設定があります。それと僕の名前は”桃太郎”ですよ?』
「おお、そうじゃったそうじゃった、すまないね、萌も太郎や。それと設定言うなや~」

~中略~

『それでは、いって参ります』
「萌も太郎や、これをお持ちなさい」
『お婆さん、これは?』
「きびだんごじゃ」
『ありがとうございます・・・でも、ちょっと多すぎませんか?』
「鬼が島は遥か遠くじゃ、”1年分”でも少ないくらいじゃよ」
 桃太郎は、こんなに持てるかと心で思いつつも、この重さが育ててくれたお婆さんの愛だと思うことにして、1人故郷を後にするのでした。


続く