東京でカラヴァッジョ 日記

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奇想の絵師 岩佐又兵衛 山中常盤物語絵巻(MOA美術館)

2017年04月03日 | 展覧会(日本美術)

義経伝説全12巻一挙公開
奇想の絵師 岩佐又兵衛 山中常盤物語絵巻
2017年3月17日〜4月25日
MOA美術館

 


 岩佐又兵衛の重文《山中常盤物語絵巻》。

 

   全12巻の一挙公開を観るのは、2012年、2015年、そして今回と3回目。

 

   2012年と2015年の間の出来事としては、2013年、東京書籍から『岩佐又兵衛作品集-MOA美術館所蔵全作品』が出版。おかげで、作品の全貌に接することが容易になった。

 

   2015年と2017年の間の出来事としては、MOA美術館がリニューアルされ、「写り込みのない低反射高透過ガラスで細密なディテールを見る」ことができるようになったこと、そして、写真撮影が可能となったことである。

 

   今回の公開は、全12巻全長約150mのうち70m超と、約半分。この公開率は過去2回と変わらない。

 

   以下、今回の公開部分について、撮影した画像も付して記載する。

 

 

第1巻(4/8場面)

   冒頭の「奥州に向かう牛若」から「牛若の行方がわからず心をいためる母の常盤」まで4場面。

 

第2巻(2/10場面)

   牛若に会うために旅する常盤と待従。
8段「日ノ岡峠を打ち過ぎて」と9段「大津の浦を行く」の2場面。

 

第3巻(5/15場面)

   10段「清水には痩せた姿が映る」から14段「山中の宿に着いた常盤は重い病に臥す」までの5場面。

 

第4巻(7/9場面)

   冒頭「山中の宿に住む、屈強な六人の盗賊」から「常盤は肌を隠す小袖を返すか、さもなければ命も奪っていけと訴える」「せめくちの六郎が立ち返り、常盤の胸に刀を突き刺す」を経て、「侍従は常盤を抱き、さめざめと泣く」までの7場面。

 

第5巻(7/12場面)

   冒頭「宿の主人に問われ、自らの身分と名をあかす瀕死の常盤」から「山中の宿のはずれで、新しい塚の高札を見る牛若」までの7場面

 

第6巻(3/10場面)

   冒頭「牛若の枕元に現れ、無念を語る常盤」からの3場面。

 

第7巻(3.5/5場面)

   冒頭「下賤の者に姿を変え、大名の到着を触れ回る牛若」から3.5場面。


第8巻(2/6)

   巻末「少年(牛若)に宝物のありかを教えろと脅す盗賊」の2場面。

 

第9巻(3/6場面)

   冒頭「せめくちの六郎の脚をすくって首を切り落とす牛若」「残る五人が一度に切りかかる」「牛若は霧の印を結んで目をくらませ、小鷹の法で宙に飛び上がる」の3場面。ここまでの時点で、牛若に切られたのは一人。

 

 

第10巻(5/8場面)

   4段「宿の主人たちは荒菰で遺骸を包む」「夜の間に盗賊たちの遺骸を淵に沈める」から最後の「常盤の墓に寄り回向する」までの5場面。

 

 

第11巻(2/3場面)

   「佐藤の宿に帰る牛若」「三年三月の後、十万余騎をひきいて都へ上る牛若」(一部)の2場面

 

第12巻(2/4場面)

   「常盤の墓前で盛大に回向する牛若」と「宿の主人と女房を招いて感謝を述べる牛若」の2場面。

 

 

   個人的には、第4巻と第9・10巻の残虐場面、そして、第2・3巻と第7巻の風俗画要素高い場面が魅力。


   今回、第9巻の残虐場面や第2・3巻の風俗画要素高い場面の公開が控えめであった。逆に第4巻の残虐場面や第7巻の風俗画要素高い場面は、全てではないが、満足のいく公開率であった。

 

   前々回(2012年)と前回(2015年)は合わせるとほぼ全ての場面を見ることができるような公開だった。同様に、数年後、今回公開対象外となった場面を中心とした公開が行われるのかなあ。

 

(続く)https://blog.goo.ne.jp/k-caravaggio/e/e2324975f76f027e3e811798277c44c0

 



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