東京でカラヴァッジョ 日記

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【再訪】「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime」展(国立新美術館)

2019年07月19日 | 展覧会(現代美術)
クリスチャン・ボルタンスキー
Lifetime
2019年6月12日~9月2日
国立新美術館
 
 
   ボルタンスキー展を再訪する。
 
 
   今回はスムーズに鑑賞。前回の苦戦が嘘のよう。ただ一つ、「展示室が総じて暗い。かつ、出品リストの文字が非常に小さい。目が辛い。」を除いて。
 
 
   クリスチャン・ボルタンスキーは、ユダヤ系フランス人を父親として、1944年にパリで生まれたフランスの現代美術家。  
   「初期から現在まで一貫して、歴史の中で濾過される記憶の蘇生、匿名の個人/集団の生(存在)と死(消滅)を表現」してきたらしい。

   本展は、作家の初期作から最新作まで47点の出品。これら個々の作品を組み合わせることにより、各展示室が、あるいは会場全体が、新たな一つの作品として提示されている。
 
 
 
   印象に残る展示
 
 
1   コート(Cat.27)
 
   キリストの磔刑図、今までボーっと見ていたが、あんな高い位置で磔にされていたのか。
 
 
2   死んだスイス人の資料(Cat.22)
     174人の死んだスイス人(Cat.23)
 
   新聞の死亡告知欄から集めたスイス人の写真からなる。
   しかし、何故スイス人なのか。第二次世界大戦中、スイスは中立国だったからなのか。
   出品リストの解説に「スイス人を選んだのは、彼らが死すべき歴史的な理由を持たなかった国民だから」とあった。
 
 
3   出口近くの最後の展示室2つ
 
展示室その1
   右側には、壁一面、床から天井まで吊り下げられた「多数の衣服」。その壁に設けられた窓の向こうには、揺れる電球に照らされた、床一面を覆う「金色のブランケット」。
   左側には、床に置かれた「多数の電球」。毎日3つずつ消していき、最後には完全に暗くなる趣向らしい。
   財産と命を奪われていく様は、ホロコーストしか想像できない。
 
展示室その2
   普通の元気な子供たちの写真に穴をあけて、電球で照らす。2作品。
   ホロコーストしか想像できない。
 
 
4   写真撮影可能な展示室より
 
スピリット(Cat.37)
 
   空間に漂うヴェールは100枚を超えるとのこと。浮遊する記憶。人は死しても残された人(集団)の記憶のなかで生きる。その人(集団)の消滅が真の死なのかもしれない。
 
子供たち
 
若い女性たち
 
 
 
   国立新美術館の大キャパだと、相応に余裕もある作品配置。
 
   前巡回地の大阪・国立国際美術館や、次巡回地の長崎・長崎県美術館では、また作品の組み合わせが変わったりするのかもしれないが、印象は随分と異なるものとなるだろう。
 
 
「本展では干草を使用した作品を展示しております。アレルギーをお持ちの方はご注意いただきますようお願い申し上げます。」


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