![]() | 大江戸えころじー事情 (講談社文庫) |
石川英輔 | |
講談社 |
2000年11月25日 第1刷
電気新聞2000年1月6日~8月4日 連載。大江戸ソーラー事情を改題。
石川英輔氏の本は以前「江戸のまかない」というのを読んだ。面白い本だったのでこれも借りて読んでみた。どんな人が書こうが「エコロジー」を題材にすると、なんだろう、なんていえば良いのか、そう、簡単にいえばダイナミックさが無くなり、活力も乏しくつまらなくなるものだということが分かった、と書いてしまうと身も蓋もないか。
以下メモ。
P40 越後平野の天然ガス利用の絵。北越奇談より。自噴するガスを竹筒を通し照明、暖房、炊事に利用。
1日1000キロカロリーの人力を使うことを前提として、江戸時代、米の収穫は水田1町歩(1ヘクタール)40俵、2.4トンになる。3人が半年間かかりっきりとすればに投入エネルギーは54万キロカロリー。米1キログラムの食品としての熱量は3510キロカロリー。2.4トンで842万キロカロリー。1キロカロリーの人力の約2の4乗億程度。15~16キロカロリーの米が収穫できることになる。
現在の稲作では米1キログラムを収穫するのに3196キロカロリーが必要。0.91キロカロリーのエネルギーを使って21キロカロリー分の米ができる計算になる。投入エネルギーと収穫できる米の熱量は同じ水準。これには人力は入っていない。伝統的な農業では現代の稲作の15倍以上の高いエネルギー効率で米ができたことになる。
現在の農業技術は昔から比べれば、わずかな人数で大量の米ができるが、大量の化石燃料が支えている。
稲作では連作障害が起こらない。水田の稲作ではいつも自然の有機肥料や微量要素が流れ込むと同時に、有害成分を流し去っている。ヨーロッパで中世から19世紀まで続いた基本的な農業方式の三圃農法では作物を作れるのは2/3の土地だけだった。
P159 少子化の原因
使えるエネルギーが限界に達しているからではないか。アメリカの一人あたりの使用エネルギーは日本の2倍だが、人口も日本のほぼ2倍なので総エネルギーは4倍。日本もアメリカ並みのエネルギーを使えればもっと人口が増えるはず。アメリカの1/25の国土面積でこれ以上エネルギーの消費を増やせば環境悪化がますます酷くなる。
(2010年3月~4月 西図書館)