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投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

英国スリップウェア物語

芸術新潮 2004.4 英国スリップウェア物語

スリップウェアとはクリーム状の化粧土(スリップ)で装飾して焼成した陶器(ウェア)のこと。

起源はBC5000頃の古代中国、古代中近東。日本の丹波焼もスリップウェアの一種。

イギリスでは紀元前1世紀頃から作られ始めるが、本格的になるのは17世紀から。

スリップウェアの一種にトフトウェアというのがある。トフト一族が作り始めたからトフトウェアと呼ばれるとあるが、そういう民族がいたのではなくて、トーマス・トフトという陶工がいてその一族が盛んにしたからトフトウェア。どう違うかと言うと、華やかさが違う。一般的なスリップウェアはとても地味なのだ。

その地味さはどんなものかと言うと、柳宗悦や濱田庄司がスリップウェアの方が優れていると評価したと言う話から想像できる。つまりスリップウェアは日用雑器。益子焼みたいなもの。トフトウェアは飾り皿に近い。

イギリスではトフトウェアの評価が高く、それ以外のスリップウェアは二流・三流の価値しか認められていないそうだ。

写真はスリップウェアの裏面。この品は一度、二つに割れている。それを鎹(かすがい)でとめて補修している。日本では陶器・磁器が割れた場合、漆でとめて金で飾る「金継ぎ」と言う補修方法がある。元はといえば漆でとめて使用に耐えるようにしたものを、茶をたしなむ人たちがキズも絵として見る様になって、金で飾るようになった。後にわざと割って「金継ぎ」で絵を作ると言うのもあったそうな。

それとは全く違う実用本位の補修が面白い。まるでフランケン・シュタインの顔のようだ。
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