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男・女・オカマ旅

温身平(ぬくみだいら)に行くか蔵王に行くか、
天気予報も晴のち雨、降水確率50%ということもあって、
迷いに迷って悶々としていた相方。
前者に行くのならバスを予約しなくちゃいけないらしく・・・。

「天気もどうなるか分からないし、雨降って大変になった時に、
気軽に予定変更出来る方がいいんじゃない?」
そう言うと決心が付いたのか、予定を蔵王に確定した様子。
そんな話をしていたのが土曜の午前中。

どこに行くにも公共の移動手段を利用するので、
早く出掛けなければ行動時間が少なくなってしまう。
6時過ぎ、始発の電車に揺られ山形へ。
電車の中には若者がいっぱい。
ボックス席に横になり寝ている者も・・・
朝まで遊んで帰るパターンなのだろうか、
どちらにせよ駅を出たときに車内は立ち客が数名。
その中で横になっている姿というのは・・・よろしくないな。

山形駅で乗り換えをして、かみのやま温泉駅へ。
ここから刈田リフト乗り場までバスで移動。
なんと無料バスが走っているのです。
普通のバスより小型だけど、運転手が観光案内をしながら走って、
なんとも気の利いたサービスなのであります。


途中トイレ休憩を挟んで刈田リフト乗り場へ到着。
標高が高いのもあるのか肌寒いです。
リフトで上って少し歩けば有名なお釜が見えます。


見下ろす感じになるので、近づかないと見えませんが、
その分、見えたときに「おおっ!」と声を上げる人もいました。


小雨がパラつき、風もあるのでザックからレインウェアを出し、
カメラをザックに戻したり・・・
相方が観光客の「写真撮ってもらえますか」攻撃にあっていました。
絶景ポイントでモタモタするものではありませんね。


右には刈田岳頂上が見え、坂道が続いています。
相方に今日のメインを聞くと、蔵王最高峰というので、
刈田岳を背にして熊野岳に向かいます。

道らしき道はあるけど、ほぼ平坦な場所で、
どこを歩いても大丈夫です。
と言っても、それはないでしょう・・・


富士山とかにも、こういう人がいるらしいですが・・・
目の当たりにすると、凄いですね。


時折、お釜を覗きに行ったりしながら進みます。
「あそこチョコレートみたい!」


撮っているを撮られていたの図
稜線は周りに何もないので、それがまた良い感じです。


やがて平坦な道は坂になります。
岩がゴロゴロしていますが、ここもどこでも登れそうです。


人気なんでしょうね、団体さんも多いような気もします。


ふ・り・む・け・ば~♪馬の背~♪


とりあえず、あの小屋に行って昼飯休憩することに。
雨は降ったり止んだり、風はそこそこ強かったり・・・

薄暗い小屋の中でおにぎり昼食。
今回はトレッキングポールを持ってきていたのですが、
さて!と伸ばしてみるものの締まりません。
あれっ?あれっ?としつつ一旦諦めていたので、
小屋の中で試行錯誤。やっと使えるように締まりました。

前回、雨散策で使って、充分に手入れしないで、
伸縮させていたのがまずかったようです。
(帰ってきてからHP確認しました。)


腹ごしらえを済ませて山頂へ・・・
ここからも、ほぼ平坦な道でした。


10分ほどで平坦な山頂に到着。何の感動もありません。
周りの景色もうっすら見える程度です。
天気が良ければ・・・と思う反面、
太陽ギラギラで、ここを歩くのもキツそうな感じがします。


お子様連れも結構いました。
どこに行っても子供は元気ですね。

さて、これからどちら方面に・・・?
写真を撮って振り返ると相方の姿がありません。


遠くの方に地図を片手にルートを確認している姿を発見。
「ここを降りるの?」「うん、ここを降りていく」


傾斜って写真で表現するのは難しいです。
それなりの角度ですがイマイチ分かりませんね。


先に下に降りた相方に撮られたの図・・・って、
まるでクイズのように僕がどこにいるのか分かりません。
PCで拡大して確認すると・・・


確かに写っていました。


傾斜のあるガレ場を降りると平坦な道に・・・
目の前には再び坂道が迫ってきました。

「ここを登るのかい?」
「う~ん・・・」地図と時計を確認する相方。
まっすぐ登っていくコース、少し登って右へ進むコース、
そして・・・登らずに左に進むコース。

この時点で前回の沼歩きと同じように
僕は足の指が痛くなっていました。
僕的には登っても登らなくても良いのですが、
一旦、迷うとどこまでも迷い続けてしまう相方。
左の道は去年の夏、歩いた場所に続いているコースです。

「天気もあまり良くないし、どうしてもってコースじゃないのなら、
左に行って、のんびり歩いたらいいんじゃない?」


数十分前まで、あの上にいたんだよなぁ~。
結局、迷いに迷って左の道を進むことにしました。
後から来ていた人達は真っ直ぐ坂を登っていくので、
左のコースは貸切状態のよう。


整備された道ですが、崖が崩れている場所も・・・
これも撮られていたの図ですが・・・粒ですね。


緩やかに続く下り坂を1時間ほど歩き、
去年の夏に歩いた沼に出ました。
あえて人を写してませんが、凄い人でした。


沼を抜け、散策路を抜けるとリフト乗り場が見えました。
前回はリフトで登って散策し、リフトで降りましたが、
団体さんが降りていくのを見て、
今回はゲレンデを下ることにしました。

ここからゴンドラに乗って下に降り、
バス乗り場まで行って山形市内へ・・・。

この時期に山形に行ったら、またあそこかな?
相方の要望もあって冷やしラーの店へ・・・


それにしても毎週、どこかのラー食べてるねぇ。
二度、三度訪れてると、最初ほど感動が無いので、
さらに訪れたいと思う店は波長が合うのかな?

相方は美味しいを連発してましたが、
僕はそこまでの感動は無かったかな・・・。
ああ、どんどん自分のラー評価が厳しくなっているような・・・
毎週ラーしてると、そうなっちゃうのかな?
久しぶりに食べるっていう感覚は大事かも。

東北はどこに行っても地方ラーがあるからね、
自然・町・人・食・歩く・・・
全部に味わいがあるし、好みも色々ある。
だから楽しいし、次回に続いてるんだよねぇ。

今週末は三連休・・・矢印はどちらへ?
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小国旅

今日は久しぶりの快晴です。
ずっとくもりや雨でガックリ週末を過ごしていたので、
前日に天気予報を何度か確認して沼群生花旅を決行することに。

去年、相方がこの時期、行きたい行きたいと言っていた、
福島の磐梯山の西にあるカルデラ湖の雄国沼。
ニッコウキスゲの群生が凄いらしい。
去年はこの時期、山に入るのを自制していたので、
ずっと心の端に引っかかっていたようです。

当初は土曜に近場の山を歩いて、
僕が新調したシューズ慣らしをする予定でしたが、
天気予報では土曜:晴れ。日曜:曇り。
ネットで調べても湿原と木道画像ばかりなので、
別に近場の山で足慣らしするまでもないと思っていましたが・・・


相変わらず旅前日も就寝時間が遅い僕。
睡眠時間3時間半ほどで出発!
電車で寝ればいいや精神は良くないんだけれど・・・

時間を稼ぐため新幹線を使って郡山に行き、
猪苗代からバスに揺られて雄子沢口登山口へ・・・
ん?登山口?登山?登るのか?


それにしても凄いマイカーの数。
駐車場が満車で路駐車がずら~っと連なっていました。
あんまり良い光景では無いような・・・
それにしても人気の場所なんだねぇ。

次々と登山ルックの方々が目の前を歩いて行きます。
念入りに準備体操して僕らも出発!


緩やかな傾斜の山道をのんびり歩いていきます。
新品のシューズを確かめつつっていうか、
ここを歩く前から少し右足甲が痛い感じ。
試着したときは何ともなかったのに・・・
新しいから硬いのかなぁ・・・
違和感を抱きつつも歩速は上がって行きます。
気がつくと相方はずっと後ろ・・いかんいかん。

「あのね、2時間ぐらいかけても時間は余裕だから、
のんびり無理しないで歩いていいの」
そうなんだよなぁ何時間で歩けたとか関係ないんだよなぁ。
「ところで、あのカメラ持ってきてる?」
相方お気に入りのDP1を渡して、僕は一眼を手に持って、
ポケットにコンデジ入れて写真を撮りながら歩きます。

次々とハイカー達が追い抜いて行きます。
延々と緩やかだった道もところどころ急な坂に・・・
急と言うほどでもないか・・・


ブナ林は気持ちいいねぇ~。しかし今日は暑いなぁ・・・
熱さまシートを身体中に貼って歩きたい気分。


のんびり歩いて1時間10分ほどで休憩舎に。
立派な建物です。物凄く人がいました。
ここの手前の沢?に水汲み場があって、
水を汲んで少し飲みましたが、
じっとペットボトルの水を見ると細かい砂が・・・
結局、手洗い水として使うことに・・・

休憩舎で早めの昼食をとり、群生地のある湿地帯に向かいます。


ところどころ開けた場所があって、
そこから沼が見えてきました。チラホラと黄色も目に付きます。


歩くモードと云うよりも撮るモードで進みます。


うおっ!うわ~!と感嘆の声があちこちから聞こえ始めます。


黄色は全てコレですよ。


休憩舎から写真を撮りながらのんびり歩いて、
30分ぐらいで木道の広がる湿地帯に到着。
夢のよう・・・とは大袈裟すぎますが素晴らしい光景です。
木道を一列になって歩きます。みんな撮りたいモード。


木道の幅はこんな感じなので、立ち止まる=つっかえる です。
でもつっかえたら360度見渡せばいいのです。


人が多すぎるよ~なんて思ったり、
人が歩いてるのが良いんだよ~なんて思ったり。


ところどころに休憩する場所はありましたが、
ほとんど人で埋まっていて休めません。


どんどん連なっているような・・・
時間帯的にも一番混み合う時間だったのかも・・・


当てずっぽうでカメラを下に構えて・・・
ほとんどピントずれてたけど、これはまともな1枚。


晴れてホント良かったねぇ・・・。
木道をぐるりと歩いた後は、見晴らしの良い金沢峠へ。
そこそこ急な階段を延々と登って行きます。
暑さが応えて息が切れてハァハァ。
見晴台からの眺めも良かったけど、暑くてねぇ・・・

この金沢峠から喜多方方面へシャトルバスが走っていて、
今日の予定は来た道を戻らず、喜多方へ向かうのです。
せっかくこの地方まで足を運んだんだから、
行くでしょ。ラー好きなら行くでしょ(笑)

予定は決まっていてもバス時間まで2時間ほどあります。
ただ見晴台にいても太陽ギラギラで暑いだけなので、
時間つぶしに・・・相方の視線が見ているのは・・・


「あそこの方が見晴らし良いみたいよ・・・登ろうか?」
じっとしているよりは歩いた方が暑さも紛れます。


確かに・・・こっちからの方が見晴らし良いです。


小さい人がいっぱい歩いています。


上まで上がると山並みの向こうに磐梯山がチラリ。
結構、心地よい風が吹いていて、上にいた方が快適でした。
とはいえ、バス乗り場には大勢の人が溜まっています。
「早めに並んでおかないと・・・」


バス数台が行ったり来たり。
満員の客を乗せてグネグネ峠を下っていきます。
峠がマイカー規制されていて、喜多方側から来られる方は、
萩平という所からシャトルバスで金沢峠に入るようです。

とりあえずその駐車場までバスで降り、
そこから喜多方行きのバスを待って、いざラーの街へ。


喜多方の街は更に暑い・・・
歩き疲れた身体を太陽ギラギラが襲って、
こんな状態でラー?なんて思ったけど、
そこは僕らが愛するラーですからねぇ・・・。

「2軒目も行くの?」「今回は1軒のみ。時間が・・・」
なので前回食べて感動した極太麺の店へ・・・。
前回ほどの感動はないものの、美味しかったです。


あとは電車に揺られて帰るのみ。
交互に爆睡しながら賞味14時間の旅終了~♪
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さらば[島旅07]

今日も早起き。と言っても昨日は4時起きで、
今日は5時半起きだから1時間半も多く寝られてるのだが・・・
節々が痛くて身体が動か・・・ん?動くぞ!動くなぁ~。
下山直後から寝るまで痛かった節々が、それほど痛くない。

高速船乗り場まで民宿から歩いて10~15分で、
始発の高速船は7時過ぎぐらい発で余裕はあるのだが、
身体の節々が全く痛くない訳でもないので、
6時20分には荷物をまとめて、
物音をさせないように階段を降りていく。

おじさん、おばさんに挨拶したいところだけど、
朝早いし、ここはひっそりと出て行こう。
そんな風にして靴を履いていたら、
「ガラッ」扉が開いておじさんが顔を出した。
「あ、おはようございます。お世話になりました」
するとおじさんが頷きながら出てきて、
「港まで車で送って行くから!」と表に出ていった。
こちらの人は、どこまでも温かいのである。

おじさんに言って、今日の昼食用に予約していた
近くの弁当屋に寄ってもらった。


すっかりココのおにぎり弁当を気に入ってしまったのだ。
空港とかの売店で買うのなら、こっちのほうが断然いい!
袋を持って車に乗り込むと、店のおばさんが表に出てきて、
おじさんに手を上げて挨拶をしていた。
6時でも、まだまだ辺りは暗い。


逆光なので、シルエットになってしまったが、
朝の港もなかなかいいもんだ。
高速船乗り場の待合い場は、時間も早いのか人はまばら。
僕は名残惜しむように辺りの景色を写真に収める。
少しずつ、少しずつ辺りも明るくなってくる。
青空が広がって、今日、散策する人は快適だろうなぁ・・・。


港には民宿名の書かれた車が次々到着し、
大荷物を抱えた人達が笑顔の別れを交わしている。
みんな、もっと滞在したいだろうなぁ・・・。


7時10分。ようこそ~の文字を見ながら港を出る。


あ~あ・・・あっという間だったなぁ・・・。
1週間とか2週間単位で訪れたい島だ。
今度来るのはいつのことやら・・・また来たいなぁ。

昨日の疲れが残っていたのか高速船では爆睡。
気がつけば空席のあった場所は満席になっていた。
「あ、種子島で結構乗ってきたんだよ」相方が教えてくれる。
ウトウトと眠りながら2時間半はあっという間。


鹿児島の山並みが見えてくればもうすぐだ。

高速船乗り場に到着し、待合い場でトイレ休憩。
2日に来たときは客のほとんどがザック客だったけど、
今日はそんなに目立たない感じ。

タクシー乗り場に行き、鹿児島空港行きのバス停へ。
「今日はどちらへ戻るんですか?」
人の良さそうな運転手のおじさんが話してきた。
「今日は名古屋まで飛んで、そこから仙台です」
「奥州仙台?」
「ああ、こちらにも川内(センダイ)ってありますもんね」
相方が笑みを浮かべて言う。
「今回のGWは飛行機が正解ですよ!」
「ああ、車とか凄いみたいですものねぇ」
「ウチの弟がね、東京に行くって車で出てね、
半日かかっても九州から出られないって電話よこしましたよ」
「は、半日ですか・・・」
「24時間かかったらしいですわ」
「ありゃあ~」
「ですから今回は飛行機や新幹線がいいですわ」

運転手のおじさんにバス乗り場を教えられ、
高速バスに乗り込んで鹿児島空港へ。
今日は半袖でも暑いような日差しが照っている。

空港内でお土産品などを物色してると時刻は12時。
各手続きを済ませ搭乗口の待合い場で、
登山弁当のおにぎりを食べる。
「やっぱ美味しいなぁ~山じゃないけど美味しいな!」
後ろの席で売店の黒豚弁当を食べていた家族のお父さんが、
僕らの竹皮おにぎりを二度見していた(笑)

13時20分の飛行機で名古屋に行き、
中部国際空港での待ち時間は約3時間。
空港内の店を物色し、ぶらぶらしてたら一気に疲れが・・・
相方が餡菓子を買いに行ってる間、荷物番をしつつ読書休憩。

こういう待ち時間が勿体ないけれど、
パッツンパッツン予定だと便の遅れとかも怖いし・・・
窓の外は大粒の雨。この分だと仙台も雨かな・・・。
名古屋発は18時20分、1時間半前ぐらいに小腹が減って、
適当な店で簡単に夕食をとることに。
時間がないし、やっぱり麺関係になるのだな。


名物!なんて文字に誘われて・・・串焼きとセットの・・・


うどんかきしめんかを選べたので、
せっかくだし「カレーきしめん」にした。
最初は熱くて味どころじゃなかったけど、
熱さに慣れて(さめて?)味が分かってくると、
なかなかどうして美味しいではないか!?


相方は普通のきしめん。感想はいまいちだとか・・・
僕のスープを飲んで「あっ!こっちは美味しい!」
何掬いか口に運んでいた。

諸手続を終え、25分遅れの飛行機に乗り、
仙台に着いたのは20時前。
移動で一日が終わってしまうのが惜しい・・・。
直行便があれば1日半は楽しむ時間を増やせたのに・・・

でもまあ、移動に2日使い、賞味2日間の島旅は、
最高レベルの満足で無事に戻って来たのです。
「あ~今回は結構お金使ったから、今後は節約ね」
なんともまた現実的なお言葉であります。

(おわり)
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雨登岳[島旅06]

持って行った上着を重ね着してブルブルと下山していく。
あんなにすぐに体温が上がったのに、なかなか身体が温まらない・・・。
僕のHPは昼食で50ぐらいに回復していたが、それも一瞬で1桁に減る。
登山客が背後に近づく度に道を譲り、ハァハァと歩き続ける。

岩盤の広がる場所を越え、傾斜のある岩盤の溝みたいな道を下ったとき、
左足を乗せた小さい石がぐらついて体勢を崩す。
咄嗟に右手に持っていた杖木でバランスをとろうと岩盤を突いたら、
杖木の先が岩盤の上を滑った。その瞬間前のめりに膝を打ち、手を打ち、
そのまま左側の草むらに転がった。痛っ~!

後ろを歩いてきた相方が、僕が転んだ音にびっくりして近寄る。
「だ、大丈夫~?滑ったの~?」
「石が動いて、杖が滑った。そんで膝と手を打った」
雨具ズボンの膝には無数の小さな擦り傷と穴が・・・
手の平はグローブをしていたので何ともなかったが、
右手の中指と薬指から血が滲んでいた。
おそらく・・・両膝も内出血しているだろう・・・。

しばらく膝をさすって、軽く動かしてみて、痛みはあるけど、
歩けない痛みではないので、ジンジンしつつ歩き始める。
体力0、気力0、根性50・・・60・・・
帰りは比較的早く戻れると思いきや道程4分の3くらいで負傷し、
思ったほど早く歩けなくなってしまった・・・。


フンヌ、フンヌと歩き続けて1時間半。既に疲労困憊気味。
足を前に出すのが精一杯といった感じなのだが、
一歩、一歩と踏み出せば前に進むのである。
ようやく身体も温まってきて、上着を二枚脱いで、
登りの時と同じ服装に戻った。よし、歩くぞ!まだ、歩けるぞ!


下山するほどに周りの景色も色濃く見えてきて、
岩がごろごろ見える山並みに相方の写真休憩が訪れる。
彼女が写真を撮っている間、僕は水分補給と休憩に専念。
HPが0・・・10・・・20と気持ち回復する。

500mまたは1kmおきに立っている道標で距離を確認、
相方は宿のおじさんに「携帯繋がったら、何処を歩いてるのか報告して!」
と言われていたので何度か携帯を取りだし電話を試みるが、
アンテナ1本はすぐに圏外に変わってしまうのだった。
それでも黒味岳分岐の道標に携帯が繋がりますとの表示を見て、
しつこくトライ。何度試しても駄目で、同じ会社だけど僕の携帯でも、
チャレンジしてみる。道標の上辺りがアンテナ線二本出るので、
ヘンな体勢のまま電話を掛けていると、なんとか繋がった。
「今、黒味岳分岐のところです。また後で掛けます!」
その後、携帯が繋がる場所はなかった。山はドコモの方がいいのかなぁ?

とりあえず無事報告をしたので、あとは出来るだけ遅くならないように歩くだけ。
当初、5時頃までには下山したいと言ってあったので、
おそらく5時頃には登山口におじさんは迎えに来てるだろう・・・
でも、このペースで行くと30分ほど遅れそうな感じだ。


とにかく登山口から1.5kmの山小屋を目指すぞ!
上り階段、上り坂はゆっくり、下りは慎重に、平坦な道はやや速く。
体力0Pだと思っても、人間の・・・自分の見えないチカラにびっくり。
苦しい時もあるけど、比較的軽快に歩ける時もあったりするのだ。
それでも相方との会話する余裕もなく、ひたすら心の自分と会話する。
「なんでこんなに歩いてるんだ?何が楽しいんだ?諦めて座り込め・・・」
すると心のもう1人が「素晴らしい景色、整備された配慮を感じる道、
自分の足で手で、ちゃんと歩けるじゃないか!諦め心なんか捨てちまえ!
一歩一歩の積み重ねが前へ進ませてくれるんだ!」

色んな心の会話が交わされています。
この時点で10時間登山なんて二度とごめんだと思う気持ちが強く、
そんな気持ちが強い時に、小屋まであと1kmと迫っていて、
あそこまで辿り着いたら腰を降ろして休憩できるという、
ただそれだけをモチベーションにして歩いていた時に、
「この分だと小屋であまり休憩出来ないねぇ~すぐに出ないとね」
と相方の言葉が聞こえ、一気に全てのチカラが抜けてしまった。
代わりに怒りが込み上がってしまった。

「もう少しゆっくり歩いてもいいよ~無理しないでね~頑張れ~!」
相方の励ます言葉に(ゆっくり歩いてたら休憩できないんじゃないか!)
器の小さい僕の感情がイライラっとして怒りオーラ放出・・・。
相方を無視してペースアップして怒りエネルギーで歩く。
立ち止まる・急ぐ・立ち止まる・急ぐ・・・相方との距離も開いていく。


そうしている内に僕のオーラに気付いたのか相方がキレる。
「もう二度と一緒に山登らないから!だから頑張って歩いてよっ!」
旅行してても、たまにこういう衝突は訪れるのだが、
今回の登山は神からの贈り物なのである。反省し我に戻る。
「ごめん、頑張れ!って言わないでほしいんだ、ずっと頑張ってるから・・・
代わりに、あとちょっと!の方が気が楽になるからさ!」
「なんでよ?頑張れ~の何が悪いのよ!」
「頑張れ~ってのは、まだまだチカラを出せって事でしょ?でも疲れてるからさ、
あとちょっと!だとさ、ゴールが見える気になれるじゃない?」
「でも、あと1kmもあるよ」
「うん、あとちょっと!あと1km!夫婦初登山は楽しく終えなきゃ!」
「・・・」

「ここまで来たら、もう体力の問題じゃなくて、精神力の問題なんだよね、
だから気持ちを楽にする言葉の方が助かるんだなコレが・・・」
そう言って前を歩き始めると、後ろの方から「あと、ちょっと!」と相方の声。
次々に人に追い越されて、体力の無さを痛感しながら歩いていると、
山の上から眺めた時に遠くに見えていた団体の登山客が目の前に見えてきた。
(あんな遠くにいたのに追いついたんだぁ~)
きっと団体なので定期的に休憩を取って歩いているのだろう・・・
それでも団体客に追いついたのは精神的にも体力的にもチカラが湧いてきた。
(速くは無いけど・・・遅すぎる訳でも無かったんだ・・・)

つっかえ気味の団体客の後ろをペースを抑えつつ歩いていると、
ようやく小屋に到着~♪長かった。辛かった。足腰が痛い・・・。
ようやく腰を降ろして休めるぞ!という思いもわずか、
団体さんたちが小屋のベンチや周りの腰掛けれそうな場所を占有。
(そりゃそうだよな・・・んと、んと、あそこに座ろう・・・)
座れそうな場所を探してガックリと腰を降ろして休憩する。


ちょっとした広場にはテントが2つ。中からは楽しそうな声が聞こえてくる。
きっと今夜はここで一泊して明日下山するのかなぁ~?
しばらくすると手前のテントから湯気の上がった手持ち鍋をもった
若い男性が顔を出した。(いいなぁ~温かい食べ物・・・)

そうこうしているうちに団体さんが最後のひとふんばりで出発。
僕らも10分ほど遅れて登山口目指して歩き出す。
朝に通っているハズの道なのに、「こんな急だったっけ?」
「こんなにアップダウンあったっけ?」
自問自答を繰り返しつつひたすら歩を前へ進める。

時計はすでに17時20分。6時20分発だから11時間か・・・
きっと登山口でおじさん待っているんだろうなぁ~。
もっと早い時間に来て待っているかも知れないよなぁ~。
そんな風に思ってもペースを早める体力は残っていない。
ひたすら前へ進むのみ。すると遠くから車のエンジン音が。

「あっ!車の音が聞こえる!」「あとちょっとだ!」
最後の階段を降りる前に、出発時に杖が落ちていた場所に、
「ありがとうね、助かったよ」と感謝の言葉を言って杖を還す。
ふん、ふん、と階段を降り、登山口前の舗道に出ると、
少し離れた場所におじさんのワゴン車発見!

おじさんも僕らに気付いたのか車から降りて、
向こうで手を振っています。気持ち的早歩きして合流し、
「遅くなって申し訳ございません」
「4時半ころに着いちゃってね、でも無事に登れて良かったね」
車の助手席側にはもう1人おじさんが立っている。

「あっ、これ、僕の弟です!一緒に着いてきたんだ」
「ああ、どうも大変お世話になっております」
おじさん弟はニコニコ。
(独りで待ってると退屈だから弟さんを同行させたのかな?)

帰り道、おじさん兄弟と談笑しながらナントカ杉を見たり、
舗道脇に出てきているサルやシカを見ながら、飛ばし気味に道を進んでいく。
相方は念願の宮之浦岳登山できたヨロコビとコーフンで、
色んな話をおじさんたちに聞いている。
僕は相槌を打つのが精一杯で、足腰がミシミシ状態。

「ちょっとさ、景色のいいとこ寄り道していくか!?」
少し遠回りしてナントカ橋の上から山と海を眺めて民宿へ・・・。
民宿に到着し、荷物を降ろしていると、おばちゃんが笑顔で出迎え。
「二人で登ってきたの?」
「あ、はい・・・どうにか登れました」
「案外、楽だったでしょ?」
「いやぁ~僕には大変な道のりでした。ははは・・・」
泥だらけの靴で玄関に入るのは気が引けるし、明日は移動だし、
「あのぉ~靴を軽く洗える場所とかありますでしょうか?」
「ん?じゃあココ(玄関前)までホースひっぱるから」
ホースの水で靴の泥を落としていると、タワシを持っておばさん。
「これ使っていいから!」
それは袋から出したばかりの新品のタワシだった。
「ああ、こんな新しいのじゃなくても・・・」と相方。
「いいのいいの!」

泥を落とし、おばさんに礼を言ってタワシを返し、
玄関に入ると、靴置き場には泥だらけの登山靴が!
そう言えば、お隣の女子二人組もどっかの山に登るって言ってたもんなぁ。
きっと彼女らは明日もどこかを楽しむんだろうなぁ~。
民宿の壁は音が筒抜け状態で、毎晩隣の楽しそうな会話が聞こえてきていた。
あんまり会話を聞くのもアレだし・・・と相方が風呂に入っている時は、
なるべくヘッドフォンで音楽を聴くようにしていた。

服を着替え、小休止を済ませて、最後の夕食をとりに表に出た。
「なんかさぁ~土地ものはもう満足したよねぇ」
そんな僕の言葉に相方も頷く。
「俺ね歩いてる時から何故かカツ丼食べたくてさ!定食屋探さない?」
「そうねぇ~居酒屋はもういい!って感じだしねぇ」
身体の節々の痛い二人はロボット歩きのまま道を歩いていく。

通りに出ると人気の食事屋前には5,6人の列が・・・
「毎晩、あそこの店は凄いよなぁ・・・」「ねぇ・・・。」
すると目の前に「定食」の文字が。
「あっ、あそこの店、定食屋じゃない?あそこ行こうよ!」


客は二人しかいなかったけど、運ばれた食事は抜群!


僕は心に描いていたカツ丼と・・・(旨そう♪)


またもや麺もの やきそば(お吸い物付)


相方は野菜炒め定食

熱いお茶が急須のまま運ばれてきて、相方はそれに感動!
「居酒屋だと冷たいものばかりだから、お茶飲みたかったんだぁ~」
熱いお茶と、ご飯もの。やっぱ米は良いなぁ・・・。
願いが叶う島・・・大袈裟だけど「呼ばれた感」があるのです。
(つづく)
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雨登岳[島旅05]

いよいよミラクルが現実になる日。朝4時に起床し準備をして、
4時50分に下に降りて行くと既におじさんが玄関で待機状態。
寝起きドッキリのように声を押し殺して「おはようございます」
「じゃあ、お弁当屋さんに寄って行こうか!」とおじさん。

何処のお弁当屋に寄るのかと思いきや、昨日利用したのと同じ店だった。
屋久島の5時はまだまだ暗いし肌寒い。
暗闇の道路を飛ばし気味に車を走らせれば、登山口まで約45分で到着するらしい。
途中タクシーが何台もすれ違って(予約で埋まっていたタクシー・・・)と思う。
しばらく進むと警備の方が道に立っていて「何処に行くの?」と聞いてきた。

縄文杉へ入る登山口はマイカー規制がかかっていて、
通行止めなのだが、僕らが目指しているのはその奥、
路線バスやらマイカーやらが止まっている駐車場が見え、
登山口には既に大勢の観光客がずらりと群がっていた。恐るべし縄文杉。


淀川登山口に到着して登山届けを記入し投函する。
こちらは20人ぐらいの登山客。軽く小雨が降っていて、雨具を装備する。
おじさんにお礼を言って見送ってから、トイレに行ったり準備運動をしたり・・・
あっという間に時刻は6時を回っていた。周りの登山客が「さて!」とか「じゃあ」と
階段を登って森の中へ入って行く。僕らも「よし!」と踏み出した。


身体は目覚めていても、まだ精神は寝ぼけている感じだ。
登山口の階段を登ったところで茂みのところに誰かが使ったであろう、
杖になりそうな木が落ちていた。本能的にそれを握りしめ、
アップダウンの森の中を軽快に進んでいった。
相方はトレッキングポールを買っていたのだが、今回の旅では使わないと、
家に置いてきてあった。登るんだったら・・・今思っても遅いのだ。

当初の相方計画(万が一登れるとなった場合)
僕の体力では宮之浦岳は到底無理だろうから、途中まで一緒に歩いて、
僕の体力を見計らって僕は途中で待機、もしくはゆっくり下山。
相方は一人で登頂して下山途中で僕と合流という予定だった。
(それも怖い計画のような気もするが・・・)

でも、民宿のおじさんやおばさんの話では縄文杉より楽だと言うし、
せっかくだから一緒に登ってくればいいのにと言っていたのと、
昨日の白谷雲水峡の帰り道でカメラを抱えないで歩いた時に、
人並みに歩けるということが秘かな自信になっていたのだった。
体力は無いとは思うけど、ペースが遅いわけでは無いんだと・・・。

そんなヘンテコ自信が寝ぼけ精神と相まってエネルギーになり、
相方の前をテクテクサクサクと歩いていきます。
そのヘンテコペースは先に入った登山客を次々に追い越して行く。
(マジです)もしかして僕は体力あるんじゃないのか?
そんな勘違いもトーゼン芽生えているのだった。

歩き始めて40分ぐらいで山小屋に到着。
雨足が強くなってきたのでカッパのズボンを履き(上着は着ていた)
ザック内の雨対策(全てをジップロック2重で保護)を確認。
どこかの団体散策グループが小屋に到着し賑やかに休憩し、
「じゃあ行きますよ~」と森の奥へ進んでいった。
トイレを済ませ、一服をして、いざ宮之浦岳へ・・・。


脳が目覚めていないのか?それとも早起きで活発になったのか。
上下の坂道を、まあまあの速度で進み、木道などは軽快に歩く。
(なんだ俺?めっちゃ歩けてるやん!?)不思議な感覚でスイスイ。
「お先にどうぞ~!」などと何組かに道を譲られ進んでいく。


途中、相方が写真を撮りたいと立ち止まって小休憩。
水を飲んだりしていると、道を譲ってくれた方々が再び僕らを追い越していく。
雨対策でザック内にポリ袋を入れ、カメラや衣類はジップロック2重保護。
完全「水」シャットアウト体制のため、出し入れに時間が掛かってしまうのだ。
デジ一眼などは更にコンビニ袋や、防水巾着袋などに入れてあるので、
基本的に写真は相方に渡してあるDP1で(相方が)撮った。


僕の方は出し入れが面倒だし、少しでも体力温存したいこともあったし、
のんびりカメラを構えていたら、帰りが遅れてしまう・・・。
帰りが遅れる=迎えに来るおじさんの待ち時間が多くなる=困る。
写真は撮れないけれど、景色は最高で、心のシャッターは押しっぱなしだった。




そんな呑気で余裕ぶっこぎ気味の僕も、中盤以降はペースダウン。
雨もそこそこ強くなり、上下の坂は岩盤傾斜道だったり、
ロープをよじ登ったり降りたりとアドベンチャーな世界(シロウト感想)

道程の4分の3ぐらいに差しかかると、大きな山の上を登ったり下ったり。
上を見れば空しか無いような場所で、それはそれは大きな岩に何度も遭遇。
やったぁ~頂上だぁ~ん?下りだ!?今度こそ頂上?ん、また下るのか・・・
下ると言うことは上ると言うことだよな・・・?

そんな感じで肉体的疲労と精神的疲労が溜まっていく。
仮に僕の体力HPが数値化できるとしたら、最初200PあったHPは、
この辺りで30Pから20Pぐらいに減っている感じ。
山頂目前では1桁台ぐらいになったような感覚だった。
体力とは別に気力Pがあるらしく、どうにか踏ん張って歩く歩く。
小学高学年の時に父母遠足で八甲田山に登ったことはあるけれど、
大人になってからの本格登山は今回が初。そりゃあ堪えるでしょ・・・。

出発から5時間20分、ようやく山頂へ到着。
冷たい風が吹いていて「さ、寒い~!」でも相方は嬉しそうな笑顔。
「いやあ~疲れたなぁ~」と声を出したとき、
到着したばかりの大学生二人組が「結構、楽だったなぁ」と僕の背後で言った。
「こっちよりも白神のほうが辛かったよなぁ~」まだ僕に聞こえる位置で喋る。
「いやぁ~初めての登山だったから疲れたなぁ~」彼らに聞こえるように言う。
「・・・」(よしっ!何も喋らなくなったニヤッ!)


頂上の景色は真っ白で何も見えない。でもみんなが笑っている。
「まさか屋久島で僕と登山出来るなんてシンジラレナ~イ!」
「まさか完全に諦めていた宮之浦岳に登れるなんて~!」
相方は感動を口にした後、急いでザックからカメラを出して、
「はい、証拠写真、証拠写真!」パシャパシャ!
嬉しそうな相方の前で僕はどんな顔をしていたのだろうか・・・
死にそうな顔をしていたのかもしれない・・・。


僕が写真に収まると、今度は僕がザックからデジ一眼を取りだして、
相方の証拠写真をパシャパシャ!(相方めっちゃスマイルやん!)
ほんの数分だけど、風で汗が冷やされたのかブルブルと身体が震えてきた。
登頂間近でおじさんに教えられていた、
「少し反対側に下ると大岩の陰に出るから、風よけになるし、そこで休むといいよ」
の言葉を思い出して5mほど向こう側へ降りていく。
ザック内の上着を二枚羽織って大岩の陰で昼食タイム。
昨日と同じ弁当屋だったけど、おにぎり弁当ではなく、よくある形式の弁当だった。


じっとしていると身体がブルブルと震えてしまうので急いで弁当を食べる。
僕らの目の前にはヨーロッパ系の外人カップルが、
湯気の上がったマグカップを交互に飲み、分厚いチーズを頬張っている。
(温かい飲み物いいなぁ・・・。ああ~熱いコーヒーが飲みたいよぉ~)
「あっ!山見えた!」隣りに座っている年輩の登山客が前方の山を指す。
急いで相方はザックからカメラを出す。僕もつられてカメラを出す。


構えた時には再び真っ白な世界が広がっていた。
「ああっ!」「隠れた!」「ああっ!」「隠れた!」
そんな声に反応してたらキリがない。
時計は12時20分、もう下山しなくては。
(案の定、長くなったのでつづく)
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美水峡[島旅04]


心地よい気分で入り口に戻ると、大勢の人だかりが・・・。
バス待ちの客が数十人(50人くらい)。少し休憩して列の後ろへ並んでバスを待つ。
「やっぱ色んな人が歩いていたんだなぁ~」と実感。

15時50分発のバスは満員。16時00分のにどうにか乗れた。
帰りも意味不明の一旦降りて、また乗って地点があったけど、
とりあえずの終点まで乗っていき、運転手に話して一旦精算し、
そのまま乗り続けて宿地の安房へ戻ってきた。


小腹が空いた時用のおやつやパン類を買うため宿近くのバス停ではなく、
高速船乗り場の港のバス停で降りて、建物でトイレ休憩した。
ずっと我慢していたので僕の黄金色の放物線は、
永遠にアーチを描くのかと思ったほど・・・。
芳香剤の球体が、もののけのこだまのようにカラカラと揺れていた・・・。

外の灰皿前で一服してから建物を後にすると、
チャリンコに乗ったおじさんが来て「明日は雨が降るね」と声を掛けられた。
「ああ~そうですか雨ですか・・・」
「縄文杉に行くの?」
「あ、いや、そこには行かないです。白谷雲水峡に行ってきまして・・・」
「ああ、あそこも良いところだからねぇ」
「あっ、今日行ってきたんです。良かったです」と相方が言う。
「それで、あとはどこに行くの?宮之浦?」
「あ、そこは明日行けたら行くんですけど・・・」
「ああ、昔はバスで行けなかったから縄文杉とかも15時間とか、かかったんだぁ」
「そうなんですかぁ~ジュウゴジカンですかぁ・・・」
おじさんは頷いて何かを言おうとした時、おじさんの携帯電話が鳴って、
「ああ、うん、それで・・・」となったので、
「ありがとうございました」と別れてスーパーへ向かう。手を振るおじさん。


スーパーでパンや飴(梅飴)、チョコを購入して民宿に戻る。
昨日も屋根の上でペンキ塗ってた人がいたけど、
今日はさらに数人(5,6人)が屋根に登って青ペンキを塗っていた。
玄関でおばさんを見つけて「あ、明日なんですがぁ~出来れば行きたいんですが」と言うと、
「ああ、宮之浦?行く?タクシーは満杯だろうしね、せっかく来たんだし行ったら?」
「でも、車の手配ってまだされていないですよね・・・」
「ん?おじさんに登山口まで乗せて行ってもらうから大丈夫よ!」
小学生ぐらいの女の子二人が僕らの横を通って表に出ていく。
「あ、今ね息子と孫が遊びに来ててね、おじさんは今屋根登ってるから後でまたね」
「えっ、大丈夫なんですかぁ~?」
「うん、大丈夫、ちょっとガソリン代だけ貰えれば連れて行くから」
「あ、ありがとうございます。それじゃあ、よろしくお願いします!」

部屋に戻っても相方はニヤニヤ顔「ミラクルだぁ~」
しばらくして階段の下からおばさんの呼ぶ声がして、階段に顔を出すと
「明日ね、そんなに早くなくても大丈夫だって、ウチの息子も何度も行ってるけど、
そんなに大変じゃないし、6時頃出発でいいみたいだから5時半頃に玄関に来てくれれば」
「あ、そうですか!ありがとうございます。明日よろしくお願いします」
「それでお弁当はどうする?頼んでおこうか?」
「あっ、すみません、よろしくお願いします」
「朝と昼の2つずつでいい?」
「あ、朝はパンがありますので昼だけでいいです」
「はい、じゃあ頼んでおくからね~」

ミラクルが現実になり、風呂に入ろうかと思ったが、
別客が入浴中のようだったので夕飯を先に済ませることに・・・
昨夜散歩して見かけた「ラーメン」の提灯が飾られている居酒屋へ。
「結構歩いたし、塩分補給ってことで・・・」
僕はどこの土地に行ってもラーを食すんだなぁ・・・。
土地ものは昨夜の居酒屋で食べたので、やきとりとサラダとラー。
相方はざるそば(彼女も麺好きですな)


相方が言うには沖縄のソーキそば風?
とんこつ風でもあり、独特な味、少し塩分強く感じたけど、
結構歩いて失われた塩分補給で丁度いい感じ。
居酒屋で「酒」頼まず(笑)二人ともウーロンティー。
昨日ほど色々頼まなかったので、食事代も昨日の半分で済んだ。

部屋に戻って20時過ぎ、電話の音がしたりバタバタと音がして、
階段をのそりと上がってくる音が聞こえてきた。
「○○さん、もうお休みですか?起きてますか?」とおばさんの声。
(まさか?中止とか・・・?)相方が階段に顔を出すと、
「明日6時で良いって言ったけど、やっぱり5時には出た方が良いって!
ほら、初めて登るのに2人だけでね、迷子にはならないとは思うけど、
万が一、何かあった時に出来るだけ人に見られていたほうがいいから、
あんまり遅く出発すると、歩いてる人も少なくなるだろうし・・・
だから最初だけ誰かの後ろ付いて行って、顔覚えてもらって、
それから自分たちのペースで歩けばいいんじゃないかって・・・」

部屋に居ても話の内容が聞こえていたので、なるほど!と手を打った。
相方が部屋に戻ってきて「あのねぇ~」「ん?全部聞こえてたよ」
「いやぁ~嘘みたいだぁ~宮之浦岳に上れるなんて~!」
三度目に来たときには、あの山に登りたい。
そんな相方の願いが叶いました。
神々の住む島なんて言われることもあるけれど、
僕らにとっての神は民宿のおじさん、おばさんなのかもしれない。

相方が宮之浦岳に執着する理由のひとつに、
日本百名山の100番目が宮之浦岳だと言うこと。
1番目の利尻岳を登っているので、せめて1番と100番を登頂したい。
それが長年の夢だったらしい。

願えば叶うものなのか・・・宮之浦岳に登れることになった。
「こんなパサパサ苔は本当の屋久島じゃない!本当の屋久島は雨が降ったときだもん」
そんな思いも届いてしまったのか、天気予報の降水確率は午前30%に午後80%。
新品の雨具を用意してきたけども・・・本当の姿を見せてしまうのか・・・
往復10時間の登山。きっと僕はもっとかかるだろう。
写真なんか撮ってる余裕など無いだろうな・・・。
必死に歩いて山頂まで辿り着けるものなのか・・・

今日の帰りの散策で少し自信を持った僕がいる。
大丈夫か俺?登る気なのか俺?初登山してしまうのか俺?
・・・ソワソワがゾクゾクになる前に寝てしまおう。
(つづく)
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美水峡[島旅03]

昨夜は0時前に床に入り、左向き右向きとした所で記憶がない。
移動疲れか・・・。相方に6時に起こされるまで爆睡していた。
「これは180点!って寝言いってたよ~」と相方が笑ってる。


6時半には準備を済ませて宿を後にした。
昨日、高速船乗り場の公衆電話から相方が弁当屋に予約を入れていたので、
弁当屋でおにぎり弁当を受け取ってそのままバス停へ。
相方が弁当屋に入っている間、僕は表の自販機で
「ポカリ・水・ポカリ・水・ポカリ」と悩んでポカリを購入。
ザックの片方にポカリ500mlを差し、片方に水道水を入れたペットボトルを装備。
とりあえず飲料1リットルあれば大丈夫かなぁ~?水場もあるし・・・。

まだほの暗いバス停のベンチで空を眺めながら相方と談笑。
「今日は晴れだね」「そ~だねぇ~」
バス時間を待っていると何組かの同じ場所へ行くだろう客が集まってきた。
しばらくしてバスが到着したが反対車線。でも行き先は合っているぞ!
僕らと一緒にいた数組が一斉に反対側へ小走りしてバスに乗った。

誰も立っていないバス停は素通りし、何カ所かで数名が乗り込んで、
接続地点(乗り換え?地点)でバスの運転手が、
「白谷雲水峡に行かれる方はこちらで降りて次のバスを待ってください!」
道の反対側のバス停には十人くらい客が並んでいる。
その後ろに並んで10分ほど待っているとバスがやってきた。

「ん!?あの運転手ってさっきの人じゃない?」
行き先名は変わっているけど、バスも運転手も同じである。
そして先ほどまで一緒に乗っていた客の姿も見えた。
「同じバスなんだったら、料金少しかかるけど、そのまま乗っていますか?
とか聞いてくれればいいじゃん!降りて座れなくなる人可哀想じゃん!
不親切だよなぁ~」と相方が不満をぶつぶつ言っていると、
前に並んでいるおじさんも「そうだよねぇ~言ってほしいよねぇ~」と相槌。

案の定、バス内は満席で、通路間の補助椅子に座ることになった。
大きな荷物を膝に抱えた人達の間で景色を見ることも出来ず、
ただ肩をすぼめて小さくなって到着を待っていた。
相方の後ろの補助椅子に座った相槌おじさんの隣が、ちょうど一緒に乗ってきて、
降りずに戻ってきた人達だったようで、おじさんが色々聞いてみたところ、
「GWで混むから宮之浦港まで乗って一旦精算して乗り続けた方がいいよ」と、
民宿の人か観光案内の人かに教えてもらったと言っていたらしい。

縮こまってウトウトしていると白谷雲水峡に到着した。
窮屈なのは居所が悪かったけど、その代わり先に降りられたので、
トイレでは並ぶことなく用を済ますことが出来た。
相方が出てくるのを一服しながら待っていると、
次々と目の前をザック姿の散策客が入り口に歩いて行った。

相方が出てきて、いよいよか?と思いきや念入りな柔軟体操が始まった。
屈伸・手ぶらぶら・アキレス腱・足首ぐるぐる・股関節・腕・肩・腰・・・
僕もつられて柔軟運動フンフンフン。
そんなことをしているうちに、周りの散策客はまばらに・・・・


環境協力金300円を払って、9時頃いざ出発!
川を左手に眺めながら整備された遊歩道を抜け、
しばらく進むと岩盤が広がる緩やかな傾斜地へ・・・


「おおっ!すっげ~じゃん!いい感じ、いい感じ!」
パシャパシャとシャッター音が鳴り続けてしまうのである。


そんな風にカメラを構えるたびに人に追い越され、
何十人という人が僕らの横を通り過ぎていく。
それでも一歩踏み出せば構えたくなってしまう美しい緑景色。
「のんびりゆっくり歩こうね!」今日はそれでいいのだ。




道の分岐点では見どころ杉の多いコースを選択。


上り下りが交互にやってきて、3月の低山ハイキングの時より、
楽だなぁ~と思いながら疲労を感じずに歩けた。




それとも、景色の美しさに疲れを忘れていたのかも知れないが・・・。


相方は「う~ん、やっぱ屋久島は雨のほうがいいかも?」と不満気味。
「えっ?天気良くてよかったじゃん!」
「でもなぁ~苔がパッサパサなんだもん!」
確かに晴天が続いていたのか、苔はパッサパサ、緑は白っぽい感じ。
それでも充分美しいんだけど、相方的には潤いの緑が好きなようです。
「本当の屋久島は雨の時だからねぇ」
「ふ~ん・・・(雨降ったら、こんなに写真撮れないからなぁ・・・)」


急な上り下り道を歩き、時に川を越え、のんびりペースで2時間半強で、
白谷小屋へ到着。この小屋の横には水汲み場があるのだ。
トイレ休憩をして全てのペットボトルに水を汲み(既にポカリは飲み干していた)
試しに汲んだ水を飲んでみる「ひゃぁ~うんまい!こんなに美味しいんだぁ!」


パサパサ苔に水を垂らして"やらせ写真"なんて・・・
こんなイメージを心に描いていたような・・・


小屋前に大きなテーブルとベンチがあって食事をしている方もいたのだが、
どうもWCスメルが匂っていて、とても弁当を広げる気にならず。
小屋に入る小道前のベンチまで戻っておにぎりを食べることにした。


本物の竹の皮で包まれた、ザ・おにぎり的なおべんとうは、やっぱり美味しい。
汲んだばかりの水も美味しいし、山で食べるおにぎりはサイコー!なのだ。


当初の予定ではこの辺で引き返すつもりだったが、
それほど疲れていないこともあって、もう少し歩くことにして、
もののけの森を抜けて辻峠まで行ってみることにした。


写真を撮りながらのペースでは、バス時間に間に合わないこともあり、
その先の太古岩は諦めて、帰り道はカメラをしまって歩きに専念。


カメラを抱えないで歩きに専念すると僕のペースは速くなった。
スイスイ軽快に歩いて、あっという間に先ほどの小屋まで戻ってきた。
その間にペットボトル半分ぐらい水を飲んでいたので、
小休憩で残りを飲み干し、再び水場に行って美味い水を汲み直して出発。
ここの水は売っている水の数倍旨い!甘みとミネラルが心地良い水!?


「このペースなら余裕かも?」相方も時間の心配は無くなったみたいだ。
アップダウンをサックサク!地図やガイドに書かれている時間より、
少し速いペースで歩けてるので、僕の心にも自信が芽生えてしまった。
結構、人を追い抜いたし、ずっと今まで体力不足だとばかり思っていたのに、
意外に人並みぐらいに歩けることを悟って、すっかり陽気になっていた。
それと、もうひとつの発見は、ハイキングなどをして、
喉が渇いて口から泡が出てくることが多々あったのだが、
飴を舐めながら歩くと。潤いが保たれて口が渇かないことが分かった。
しかも梅飴を舐めたので塩分と酸味が心地よかった。

サクサクと軽快に歩いてきて最初の分岐点まで戻ると、
「時間あるし別のコースも歩いてみる?」と相方。
少し返事を後回しに歩きながら考えて、結論はノォ。
疲労感はあまり無いし、別コースを歩いてもいいのだが、
ザックにカメラを閉まって歩いて終わるのは嫌だった。


「他のコースを歩くよりは、ゆっくり写真を撮りながら戻りたい」
「それもそうね」と相方も快諾。
それでも持って行ったレンズを付け替える余裕はなく、三脚は一カ所で使ったのみ・・・。
小橋からの絶景流れポイントがあったけど、橋の地面が網目で三脚立てられず・・・。
結局レンズ2本&三脚&各フィルターは使用頻度皆無に近し・・・。
(また長くなったのでつづく)
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やっと入港[島旅02]



15時50分、ようやく高速船に乗り、種子島経由でいよいよ屋久島へ出港。
この高速船、初めて乗ったのだが、フェリーとはまるで違うのだ。
なんというか表現が難しいが、水流で船体を浮かした状態で進むらしい。
なので波の揺れがまるで感じない。新幹線や飛行機のような揺れ程度。
最大時速80kmで進むらしく、今はこんな船があるんだと軽いカルチャーショック。


揺れがなくて快適とはいえ、屋久島までは約2時間半。
最初は鹿児島の大陸が見えて景色を楽しめるけど、
そのうち景色は海・波・泡・空・雲ぐらい・・・飽きてしまった。


島全体が平らな種子島(屋久島は山って感じの島)

海上が夕暮れに照らされる景色はキレイだったけど、
それは反対側の窓の景色。僕の窓から見えるのは水平線のみ・・・。


高速船を降りて港を出ると、お迎えに来ている民宿の方々が見えた。
「民宿○○」そんな紙を持った方々のいる場所へ移動し、
相方がボソボソ口に出している宿名を探したのだが見あたらず。
しかたがないので首を伸ばし気味に突っ立っていると、
最初から居られた方が僕らに近づいてきた。


「あのぉ~○○さんじゃないでしょうか?」
「あ、はい、○○です!」
「ああ、ごめんなさいねぇ~ウチのが紙無くしちゃってねぇ~」
「紙?(宿名の紙かな?相方の携帯番号かな?)あ、はい、お世話になります」
ワゴン車に荷物を入れ、車内に乗り込むと、
「ごめんねぇ、もし分からなくて電話来たら赤い帽子って言ってあってね、
それで赤い帽子被って来たんだけども、もしかしたら二人かな?なんて・・・」

とりあえず気の良い人のようで僕らも安心。
「それで明日は縄文杉?」おじさんが当たり前の口調で言う。
「あ、いえ・・・今回は縄文杉には行きません」
「じゃあヤクスギランド?」
「あ、いえ・・・そこにも行かないんです・・・」
おじさんの開いた口が、ゆっくり閉じていく・・・。

「明日は白谷雲水峡に行こうと思ってまして・・・」相方が言う。
「ああ~あそこも人気のとこだよねぇ、それで明後日は?」
「あ、え、あ、あの・・・」
「宮之浦に登るの?」
「いえ、宮之浦岳には登らなくて・・・あの・・・まだ・・・」
「とりあえず、うん、もうすぐ宿に着くからね」
車で5分ほど走って民宿に着いた。
おじさんは車を降りて玄関を開け「お~い、着いたぞ~!」と言って、
車の後ろから僕らのキャスターバッグを抱えて玄関へ置いて行く。

沖縄っぽい顔(どんな顔だ?)のおばさんが笑顔で迎えてくれた。
「ようこそ遠くからどうもね、疲れたでしょう、それで明日は縄文杉?」
(それほど人気なのかあの杉は・・・)
「あ、いえ・・・縄文杉には行きません・・・」
「じゃあ登山?宮之浦岳に登るの?」
「あ、いえ・・・宮之浦には行きたいんですが明日は白谷雲水峡に・・・」
「ああ~白谷雲水峡ねぇ、で、明後日は縄文杉でも宮之浦でもないの?」

そこで僕が今回の旅計画の顛末を簡単に言った。
「本当は宮之浦岳に登りたかったんです、でもタクシーも予約で満杯、
ガイドさんも満杯、レンタカーは普段車に乗らないし・・・で、
明後日の予定は漠然としてまして、これから考えるんです」
すると、おばさんは笑顔のまま「宮之浦?登山口まで行ければいいの?」と言った。
相方は意味が分からないといった不思議顔。
「登山口までどうにか行けるんだったら、宮之浦に行きたいの?」

ようやく不思議顔がとけた相方は目をキラキラさせて「はい、出来れば・・・」
「なんとか手配してあげようか?せっかく来たんだから登ればいいさ!」
そこにおじさんが合流して「宮之浦岳に行きたいの?」と笑みを浮かべる。

「あ、でも、もし登るとしたら私だけで、こっちは行っても途中までで・・・」
相方がそう言ってチラリと僕を見る。
「体力不足なもんで、僕には無理だと言われてまして・・・
もし行けたとしても途中まで行って、あとは写真でも撮ってようかと・・・」
そう言うと、おじさんが、
「縄文杉は最後キツイけど、宮之浦は登ったり下ったりだから楽だよ、
僕ら何度も登ってるけど、縄文杉の坂はキツイと思うけど、
宮之浦はウチの子供が小学3年生の時に登ってるし大丈夫じゃない?
あそこは登山客しか行かないから、そんなに混まないしねぇ・・・」と言う。
「じゃあ、なんとか登山口まで手配してあげようか!?」おばさんが微笑む。

そんな話を廊下でしていると、他の利用客が出掛けるところなのか、
それとも帰るところなのか、おばさんとおじさんを玄関の外で呼んでいた。
「じゃあ、とりあえず後で詳しく・・・」と言って部屋に上がった。
6畳ぐらいの素朴な和室だった。外でおばさんと利用客の会話が聞こえている。

「もしかしたら奇跡がおきるかもね?」と相方に言うと、
「完全に諦めていたのに凄いことになった」と幸せそうな笑みを浮かべる。
「だってさぁ~この民宿って間違えて電話掛けたら空いてますって言われたんだよ~」
そうなのだ。断られつづけて次々候補順に電話を掛けてて、
間違えて掛けたところが、たまたま空室だったのだ。それもまたミラクルだった。

そんな浮かれ話をしていると、時計はすでに19時半を回っていた。
とりあえず明日乗るバス停の場所と予約した弁当屋の場所を確認しに行って、
それから飯食って、戻って来てから話すればいいか?と言うことで、
バス停、弁当屋、飯屋を探しに出掛けた。
バス停と弁当屋は宿から歩いて5分も離れていない場所に見つかった。
その後、ネットや情報誌にも載っている人気の店に行ってみたが、
満席&4組待ち状態ということで諦めて、宿の近くの居酒屋に入った。

屋久島ならではの料理を注文し、滅多に飲まないビールを飲み、
のんびりと郷土の味を楽しむことに・・・。


トビウオの唐揚げ(背骨以外は全て食べられる)


とれたて刺身盛り合わせ


とれたて鮮魚のにぎり

意外にサラダが美味しかったりもして・・・
定食屋に行くつもりが居酒屋になったので、
出費は痛かったが、それも楽しみ代と思うことに・・・。

ひんやりとした夜の路地をほろ酔い気分で散歩してから宿へ帰宅。
明日の準備を済ませてから、相方が下に降りていっておばさんを探したが、
既に就寝しているのか物音がしないとのことで、
明後日の予定は奇跡を過剰期待しないようにしながら就寝。
(つづく)
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やっと入港[島旅01]

6時前には起床し、すぐに出られるように荷物を準備して、
10分フライングして朝食会場へ行ってみた。案の定、まだ誰も居ない。
扉は開いているので軽く中に入ると、係のおばさん二人が談笑しながら歩いてきた。
入り口の僕らに一人が気付いて「ん?何かご用ですか?」とおばさんB。
腕時計を見るフリをしながら「まだ早いですよね」と言うと、
「朝食?朝食は7時からです!」と素っ気ない返事。
すると隣の(おそらく目上の)おばさんAが「いいですよ~どうぞ~(ニコッ)」
どこの世界にも融通の利く人と、利かない人がいるのである。

朝食券を渡して、パンをオーブンで焼きはじめて食事が運ばれたのは7時すぎ。
その時間には客が次々入ってきて、パン焼き器の前でバタバタしてるのを見ていると、
10分早かったけど、意外によかったのかも知れない。

急いで朝食を食べ、7時20分にはチェックアウトして駅へ向かった。
時間的余裕が少し生まれたので改めてマンホールを撮り直す時間があった。



切符を購入して階段を降りてホームへ出ると、発車間近の電車が止まっていて、
相方に確認もせず、そのまま電車に乗り込んだのだが・・・これが失敗だった。

相方の予定では空港へ向かう電車は特急系に乗るつもりだったのに、
僕の勇み足で各駅停車の普通列車に乗り込んでしまったのだ。
電車が動き出してから「この電車でいいのかなぁ?次のに乗るつもりだったのに・・・」
相方の言葉に「ああっ!?」と気付くも既に遅し。車内アナウンスで次の駅が呼ばれた。
「どうしよう、どうしよう、次で降りた方がいいよね」相方の動揺に僕も頷く。

しかし、降りた駅も悪かった。各駅停車の電車しか止まらない駅だった。
もう1駅過ぎてから降りればよかったのだが・・・(次もその次も特急が止まる駅)
ボーゼンとホームに立ちつくす二人の前を無情にも特急列車が何度か素通りしていく・・・
僕「ごめん、急いで乗り込まなきゃよかったんだ・・・」
相方「もうひと駅過ぎてから降りればよかったんだ・・・」

相方は毎回乗車する電車の時間帯で、
1.理想(余裕)2.通常(やや余裕)3.最悪(それでも間に合う)
という第三希望みたいな乗車時間の行程を組んでいる。
ホームで30分無駄にしてしまったが各駅停車の普通列車に乗って1駅目で降り、
予定「3」の特急電車に乗ることができて無事に空港へ行くことが出来た。

「3」はギリギリ間に合う行程と言っても、次の空港でも余裕行程設定があった。
はじめての空港ということで、普段よりも空港内の手続き時間などに余裕を持っていたらしい。
迷うことなく手荷物を預け、保安検査を済ませて搭乗口の待合い場へ。
10時の便で鹿児島空港へ。約1時間20分の空の旅は気流の影響で少し揺れて、
そのたびに心臓が置き去りになったような感じ。通路側席で景色も楽しめず、
揺れで読書もままならず、コクリコクリと眠っていたら着陸態勢になっていた。


空港を出ると目の前には鯉のぼりならぬ魚のぼり?が泳いでいた。
タバコ休憩してると目の前に長蛇の列が出来ていることに気がつく・・・
何の列?と思っていると、相方が「とりあえず混んでるから並んでよう!」
長い列は空港→市内の高速バスの列だった。2台目のバスに乗って市内へ移動。

お昼過ぎ、屋久島へ向かう高速旅客船乗り場に近いバス停で降りて港へ向かう。
途中、コンビニで明日の朝飯(7時のバスで出掛けるので車内食用?)を買って、
ぶらぶらと歩きながら絵柄マンホールを探したが1個も見あたらず・・・。
探して見つからないと意外に寂しいものだ。桜島的な絵柄のがあってほしかった。
道行く人を眺めてると、地元の人は長袖なんだなぁ~と気付く、
こちらではまだまだ肌寒い感じなのだろうか、僕らは東北からだもんなぁ。

高速船の受付は14時半頃までに済ませればいいとのことで、
高速船乗り場に隣接されているドルフィンポートという、
特産品と飲食店が入っている大きな施設に行ってみることにした。
施設建物の前には広場があり、海があり、そして桜島がドォーンと見えている。
ここでナガブチがやったんだよなぁ・・・なんて思ったりもして・・・


時刻は12時半。昼食を済ませようと施設内を歩くがどこの飲食店も混雑模様。
比較的回転率の高そうな、そば・うどん系の店に入った。
入り口で20~30分ほど待って、やっと席に案内された。






黒豚つけめんととろろそば、そして鮨セットを注文。
(鮨類が多いので気になった)
混雑具合から結構待つのだろうか?と覚悟していたが、
思いの外、すぐに運ばれてきて安心する。量も多いし、味もまあまあ良い。
期待していなかったので満足満腹だった。


店を後にして、施設の2Fベンチで桜島を眺めながら休憩。
空も青いし、景色もいいし、海風を肌で感じているだけで心地よい感じ。


のんびりと施設前の広場を散歩したりしながら高速船乗り場へ向かう。
乗り場の待合場は結構な人だかり、おそるべし屋久島のGW。
どんどん人が増えて行く、どんどん、どんどん、人・人・人・・・。


受付を済ませ、座席指定の受付までひたすら待つ。
なぜ受付を2回する必要があるのかが疑問で、最初の受付で座席指定してしまえばいいのに、
出発の1時間前に座席指定を受け付けるので、時間になったら混み合っている待合場に
長蛇の列が出来ていた。しかも1人1人どこの席がいいか聞いているのである。
そんな風に座席を決めているので、出発時間までずっと人が並んでいた。

(長くなったのでつづく)
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少し近づく[島旅00]

連休前日の平和な一日を過ごし、5時半頃、早めに仕事を切り上げて出発準備。
相方は最初からキャスターバッグ&リュックで出掛けるつもりだったようだが、
僕の方は今回はリュックのみで出掛けようと思っていた。しかし、当日気が変わって、
キャスターバッグとリュックに分けて荷物を分散することにした。
荷物も気持ちもゆとりが大切。バッグ1個分増えたにもかかわらず心は軽くなっていた。

準備&確認をしてキャスターバッグ&リュック姿の二人は駅へ向かって歩き始める。
18時前の空港線電車に乗車して空港へ。窓の景色は徐々に夜空が夕焼けを包み始めている。
ゾクゾクとソワソワが入り交じった胸の高鳴りを抱きつつ空港内を移動し、
休憩ベンチでキャスターバックに入れておいたカメラ用品をリュックに移し替え、
リュックからは衣類などをキャスターバッグに移す。一気にリュックが重くなった。
どこかへ出掛ける度に一番の重荷がカメラ類で、どうにかならないものかと思うのだが、
これらを置いて行っては僕の楽しみが半減どころか全減してしまうので仕方ない。
もっと軽くて性能の良いデジ一眼カメラの登場を待ちわびているのだが・・・。

キャスターバッグを手荷物カウンターに預け、出発までの2時間弱の待ち時間は、
途中のコンビニで買ってきていた軽食をむさぼって過ごした。
20時過ぎの名古屋行きの飛行機に搭乗し、今夜は名古屋市内泊になる。
仙台→鹿児島の直行便があれば旅の楽しみ時間も1日ぐらい増えるのだが・・・。


21時半頃に中部国際空港に着き、動く歩道で最近ハマっているアニメごっこ。
作中の宇宙艦船内でそんなシーンが出てくるので、二人して役になりきって、
「金髪の小僧もなかなかやるではないか、ところで今夜一杯どうだ?」
「いや、今日は遠慮しておくとしよう」
「そうか、ではまた!」
「また!」
なんて具合に・・・WC休憩をしてたら周りに誰も居なかったもので・・・
荷物引き取り場に行くと、回っているのは僕らの荷物だけではないか(笑)
のんびりタバコ休憩をしてから名鉄線に乗って名古屋駅近くのホテルへ向かった。

駅を出るとど~んとブランドショップのビルがずらり。
高層ビルも高級ブランドショップにも関心のない僕らの目に止まるのは、
道路をさりげなく飾っている絵柄マンホール。「ああっ」とか「おおぅ」と感動する。
デジ一眼を取り出すのも億劫だし、辺りが暗いので明朝にでも・・・と思ったが、
「明日の朝は早いから写真撮ってる余裕無いかもよ~」と相方が言うので、
コンデジでパシャ!(歩行者の方々、突然のフラッシュすみませ~ん)


これは何柄?アメンボ?なんだろう・・・


これは・・・名所柄?


これなら分かるな。

大通りの地下道をくぐり抜け、コンビニで飲み物や軽食を買ってホテルでチェックイン。
航空券とセットのビジネスホテルなのだが部屋に入って広さにびっくり。
ベッドも大きいし、部屋自体も広くて開放感たっぷり。
軽装に着替えてコンビニで買った軽食で小腹を埋めて談笑していると、
すでに0時を回っていた。急いでシャワーを浴び、明日の準備を整えて就寝。

この航空券セットのホテルは朝食付なのだが、朝食は朝の7時から。
僕らが空港へ乗っていく電車の時間が7時40分頃。
明日は朝食をかっこんで、早歩きで駅へ向かわねばならないのだ。
(つづく)
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