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ネギリリペシア@O-EAST

■ ネギリリペシア@O-EAST

Negilyripecia



 
 シブヤテレビジョンとBEAMSが仕掛けたカルチャー、ファッション、アイドルのトライポッドなコラボによるスペシャル・イヴェント“ネギリリペシア”に行く。このNegicco、lyrical school、Especiaによる3マン・ライヴ、平日月曜夜ながらも(飛び石だが一応大型連休中ということもあり)、多くの人が駆けつけた。会場はTSUTAYA O-EAST。自分は前日夜遅くにチケットを購入したのだが、その時点で整理番号が550番台だったので、当日は600人弱の観客が来場したと思われる。

 お目当てはEspeciaだが、Negiccoは以前イヴェントで観賞(タワーレコード新宿店15周年大感謝祭~N/E/W/H/O/T/E/L~@新宿LOFT)して良いイメージを持っていたし、lyrical schoolは“tengal6”時代の楽曲が気になっていたこともあって、どんなステージを披露するのか興味があった。ただ、さすがに一般的には“アイドル・イヴェント”ということもあり、男性の割合が圧倒的。ファンの開演前のヴォルテージも高く、表情や態度から待ちわびている様子が伝わってきた。

Negilyripecia_especia 最初はEspecia。冒頭から5月下旬にリリースされるアルバム『GUSTO』収録曲のなかでもミディアム・スローな楽曲を披露して、“聴かせる”テイストで攻めてきた。AOR~フュージョン系を組み込んだアダルトなムードの楽曲は彼女らの専売特許。Especia以外の観客はいわゆるアイドル・ライヴでよく見られる熱狂的なステージングではないことに多少驚いたかもしれない。だが、メンバーがステージから観客のいるフロアへと雪崩れ込む挨拶代わりのファンキー・ディスコ「GOOD TIMES」から状況は一変。フロアで観客と次々とハイタッチする光景に、Especiaが初見のファンは驚いたことだろう。そういう意味では二度のサプライズで印象深さを与えたかもしれない。
 キラー・チューン「アバンチュールは銀色に」からは熱量もグッと高まる。特に「きらめきシーサイド」「YA・ME・TE!」でのアレンジは意表を突かれた。ヴォーカル・ソロのパートでミュートするくらいはそこそこ見られるアレンジだが、原曲のアレンジをかなり崩して高速スクラッチを入れ込んできたり、ブンブンと弾けるベース音をフィーチャーしたりと、遊び心いっぱいというよりもかなり冒険したというような斬新なトラック。巷では“楽曲派”アイドルとも評されるようだが、このあたりの野心というか飽くなきチャレンジを許されているのも、Especiaが持つ懐の深さ=絶妙な遊び感覚か。

Negilyripecia_lyricalschool 続いては、“リリスク”ことlyrical school。2012年8月以前は“tengal6”と名乗っていた6人組。ヒップホップ・アイドル・ユニットということで、ガールズ・ラッパー・ユニットによくある緩いラップを繰り出すのかと思いきや、最初からハイテンションで飛ばしまくる。観客とのコール&レスポンスも多く、その度に熱量が上がっていく。左右いっぱいステージ狭しと動き回り、交互にソロ・パートを繰り出して観客を煽る。アニメチックな声のメンバーもいるところがアイドルらしいが、ファンを“ヘッズ”と呼んだり、“お前らー”と呼びかけたりするところはヒップホップ・マナーに則っているというところか。
 楽曲はアイドル・ポップな詞世界やフックも目立ったが、トラックはクラブ・ユースなヒップホップという感じ。自分が知っているtengal6時代の「プチャヘンザ!」はスチャダラパー風のフロウとハウス・トラックをキュートな色彩で表出したものだったが、その路線は「PARADE」のヴァースにも見られる。だが、全体的にキュートなポップ成分の割合も多かった気がする。コール&レスポンスを重ねながら一体感を増幅させるパフォーマンスは、ライヴで鍛え上げてきたという自負があるのだろう。

Negilyripecia_negicco ラストは、Negicco。経験値という意味では10年選手ゆえ、安定感は3組中随一。小西康陽や西寺郷太、矢野博康(Cymbals)など、ポップスの旨味を知る作家陣が楽曲を提供していることでも知られている。Perfumeが“平成のキャンディーズを目指して”結成されたという話があったが、どちらかというと現在では彼女らの方がそのニュアンスに近いのではないか。アイドル度では3組中断然だが、歌唱力とチームワークも抜けている感じだ。MCも独特の世界を持っていて、しっかりとコントロール出来ているところも、積年の経験の賜物といっていい。作家陣に恵まれているということもあるが、スウィートなメロディと彼女たちのキャラクターが見事にフィットしていて、アイドルという枠を外したポップ・グループとしても良質だと思った。

 単なるアイドル・グループ3組ではなく、良質なポップ・センスを持ち合わせた楽曲を有する3組という意味で、この組み合わせは絶妙だった(それだから足を運んだのだが)。スペシャルなイヴェントということで単発企画ではあったが、(それぞれのファンの温度差もほとんどなかったことも含め)観客の反応も良く、シリーズ化してもいいのではと感じた。単にシリーズ化しても面白くないので、たとえば、バラードやラヴ・ソングなどのテーマに沿った楽曲を披露するといったコンセプトで1年毎に開催するなど、試してみても面白いと思う。


◇◇◇


<SET LIST>

≪Especia≫
01 BayBlues
02 嘘つきなアネラ
03 BEHIND YOU
04 FOOLISH
05 GOOD TIMES
06 アバンチュールは銀色に
07 きらめきシーサイド(Va Bien Mix)
08 YA・ME・TE!(Bass Solo Ver.)

≪lyrical school≫
01 S.T.A.G.E
02 リボンをきゅっと
03 PARADE
04 perfect☆キラリ
05 tengal6
06 おいでよ
07 そりゃ夏だ!
08 プチャヘンザ!
09 Myかわいい日常たち
10 photograph
11 brand new day

≪Negicco≫
01 ネギさま!Bravo☆
02 僕らはともだち
03 ライフ・イズ・キャンディ・トラベル
04 相思相愛
05 さよならMusic
06 トリプル!WONDERLAND
07 ときめきのヘッドライナー
08 圧倒的なスタイル

≪ENCORE≫
01 じょいふる(Original by いきものがかり)


◇◇◇


 Especiaについて。3組を見終えて、Especiaの楽曲の完成度とともに、歌唱とステージングのもの足りなさを感じた。もちろん、アーティストとして楽曲、演奏、ステージング、ルックスなど全てが完璧だからといって、それが興味をそそる対象になり得ることとは限らない。ロック・バンドなどは粗削りなことがかえって良さになったり、ある程度のゆるさが具合のいいリスナーとの距離感を生んだりもする。ただ、少々厳しいかもしれないが、今のEspeciaを多角的に見ると、グループの見せ方やバランス感覚として、その多くが充分といえるかというと、決してそうではない。

 個人的に一番気になるのはやはり歌唱力。いや、当初から見ると、か細かった杉本暁音もようやく張りのある声を出せるようになったし、勢いという意味では森絵莉加の成長も著しい。三瀬ちひろ、三ノ宮ちかもソロ・パートを次第に持つようになった。では、何が足りないのか。歌唱という意味では、リーダー冨永悠香と脇田もなりの2トップを中心に組むというのが狙いだったのだと思う。そこで気になるのは、リーダー冨永の不安定さ。元々ソロ・シンガーを目指していたという彼女。ヴァリエーションという意味では、メンバー随一だと思う。ただ、今一歩頭打ち感があるのは、ライヴなどで良い時と悪い時の差が激しいことだ。

 野球で喩えて申し訳ないが、脇田は球種がストレートくらいしかない。一方、冨永はストレートに加え、多彩な変化球も持っている。しかし、脇田は勝負所ではここへ決められるという持ち球があるのに対して、冨永は投げてみないと解からないという感じだろうか。決まる時は素晴らしい変化を見せるが、意図してコースと球種を投げ分けられるまでいっていない……そんな感じがするのだ。
 最年長ではないのにリーダーを務めるなど、負担が多いことが足かせになっているのかもしれない。とはいえ、グループを引っ張る、リード・ヴォーカルという主役を全うするためには、ヴォーカル・ワークをしっかりと地に足をつけた形で向上させることが必要だし、それがグループ全体の実力の向上にも繋がるはずだ。やはり、楽曲の良さだけでは生きていけない。オリジナリティをより発揮するためにも、1stアルバム以降のさらなる飛躍のためにも、彼女の奮起がネクスト・ステップへの第一歩となるはずだ。



Negilyripecia_linedance



最後、端の方でボケーッとステージを見ていたら、フロアのラインダンスに巻き込まれてしまいましたYO。(笑)


◇◇◇ 
 
Especia - アバンチュールは銀色に



lyrical school - brand new day



Negicco - トリプル!WONDERLAND




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