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*** june typhoon tokyo ***

RAPHAEL SAADIQ@BLUENOTE

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 ザッツ・オールドソウル・エンタテインメント。

 ラファエル・サディークのブルーノート東京公演、6月28日の2ndショウを観賞してきた。とにもかくにもソウル・エンタテインメントの楽しさを堪能した夜となった。ラファエルの新作『ザ・ウェイ・アイ・シー・イット』からの楽曲が中心でトニーズ時代の曲はなし。ブルーノートのHPに久保田利伸がコメントを寄せていて、「生Anniversary、生Pillow、早く聴きたいです」とかあったもんだからほのかな期待はしていたのだが、結局なし(ついでに、久保田に会えるかもという期待から、2006年のツアー“WE FOR REAL”のTシャツを着ていったりしたんだが……って、ラファエルのライヴになぜ久保田のツアーTシャツを着るのか、と)。だが、終えてみて、トニーズ時代の曲をやらなくて大正解のステージだった。

 メンバーはラファエルを入れて7人。ステージ左からギターのロブ・ベーコン、ドラムのカール・カーター、ベースのカルヴァン・ターナー、巨漢キーボードのチャールズ・ジョーンズ、前列にラファエルとともにビリー・ケンプとエリカ・ジェリーのコーラスが入れ替わりたち変わりポジション・チェンジする。服装はラファエルを除くメンバーは、黒のジャケットとパンツというスーツ姿に白シャツとネクタイというフォーマルなスタイル。ラファエルは黄色(ややからし色に近い)のスーツ姿。

 “Everybody Stand up!!”というラファエルのコールにオーディエンスは即応し、スタンディングで幕開け。しかしながら、ラストまでずっと立ちっぱなしでいくとは予想してなかったのだが、これが嬉しい誤算で、新作『ザ・ウェイ・アイ・シー・イット』の感じとはだいぶ異なった、激しいダンスとノリのいいアレンジ。60年、70年代のコーラス・グループのショウのような連動した振り付けをみせたり、キレのある激しい踊りから一転ブレイクしてオーディエンスを煽るような構成で、決して飽きさせない。特に、女性コーラスのエリカ・ジェリー。丸い目をクルクルさせておどけた表情をみせたり、激しく直情的にダンス&歌唱したりと、可愛らしい顔立ちもあって、一気に吸い込まれる。ルーシー・パールの「ダンス・トゥナイト」などでリードをとったのだが(残念ながらドーン・ロビンソンの飛び入り&即席ルーシー・パールとはならず)、これがまたパワフルで素晴らしい。
 もうひとりのコーラス、ロブ・ベーコンは「ネヴァー・ギヴ・ユー・アップ」の1stヴァースを歌っていたが、焦らしつつセクシーなヴォイスで語りかけるように歌い出す姿などは、スキンヘッド&黒人というルックスも合わさってバラディアーのよう。また、汗のしぶきをステージ・サイドでカメラを構えていたカメラマンに飛ばすというお茶目な部分も。
 さらに、キーボードのチャールズ・ジョーンズ。彼のソロ・リードがあったのだが、弾き語りで次第に高揚していきながら、クライマックスではキュートに足をバタつかせながらスキャット連発、そして圧巻のシャウト・ヴォーカルで会場を興奮の渦に巻き込んでいた(ステージアウトする時に握手出来たのだが、もう熊のような分厚い手だった。それでなめらかな鍵盤捌きをするんだから堪らない)。
 ラファエルは決してパワフルなヴォーカルで攻めまくるというタイプではないから、しっかりと歌える人がバックひ控えていると、それだけで頼もしい。こういうのを聴いてしまうと、相当特色を持っていない限り、J-POPやロックのアーティストのヴォーカルを聴けなくなってしまう。

Raphaelsaadiq ハイライトは、本編では「シュア・ホープ・ユー・ミーン・イット」でのコール&レスポンスとアンコール一発目の「アイ・ウォント・ユー・バック」(帰って欲しいの)か。特にアンコール後は、バンド・メンバーのみが最初入ってきて、ギターのロブ・ベーコンがあの有名なフレーズをかき鳴らすと、フロアは大興奮。次第にドラム、ベース、キーボードが順々に加わっていき、ラファエルとバック・ヴォーカルの2人が登場。ラファエルは黄色のスーツから黒系のスーツへと衣装チェンジしていた。ヴォーカル陣が中央でしっかりとポージングしてから「アイ・ウォント・ユー・バック」へ。もちろん、先日死亡したマイケル・ジャクソンへの追悼歌だが、数多くあるマイケル楽曲のなかから選んだのが何故「アイ・ウォント~」なのか。それは早すぎるマイケルの死に“帰ってきて欲しい”という願いからなのかもしれない。それに、非常に童顔でシャイネスなラファエルが歌うと、またそのなんともいえない無邪気さが絶妙にこの楽曲とリンクするのだ。そういう点からもハイライトといえるだろう。また、この歌を演奏し終えた時、前の席で涙ぐむ人にそっとタオルを渡したエリカの姿も忘れられない一コマだ。

 ラストは「BIG EASY」からバンドでの(グゥイングゥイン言わせたギターが印象的な)「Let The Sunshine In」で幕。今、彼が体現したいソウルをそのソウル・マナーに則ってパフォーマンスを繰り出し、プロデューサーらしい質の高い計算されたステージングは見事というほかない。音楽に対する愛情や恩恵を充分に感じ取れるものであった。
 スタイリッシュでソフィスティケイトされたライヴだが、ソウルの魂が宿った“生”を感じさせるステージでもあった。それは、天国へと旅立ったマイケルに、“君の歌は永遠に生き続けて行くよ”という弔いの言葉と、マイケルが築いてきた“ソウル”の伝承を誓ったようにも感じられたのだった。

 これぞプロフェッショナル、といえるライヴだった。エクセレント!


◇◇◇

<SET LIST>

00 INTRO
01 AQUARIUS
02 100 YARD DASH (*)
03 KEEP MARCHIN' (*)
04 LOVE THAT GIRL (*)
05 DANCE TONIGHT ~ LALA
06 BE HERE
07 DOING WHAT I CAN
08 DON'T MESS WITH MY MAN
09 NEVER GIVE YOU UP (*)
10 JUST ONE KISS (*)
11 LET'S TAKE A WALK (*)
12 SURE HOPE YOU MEAN IT (*)
13 STAYING IN LOVE (*)
14 OUTRO (BAND INSTRUMENTAL)
≪ENCORE≫
15 I WANT YOU BACK BAND INTRO
16 I WANT YOU BACK (Original by Jackson 5)
17 SKYY, CAN YOU FEEL ME
18 BIG EASY (*)
19 LET THE SUNSHINE IN (BAND INSTRUMENTAL)

(*): ALBUM FROM “THE WAY I SEE IT”


<MEMBER>

Raphael Saadiq(Vo)
Billy Kemp(Back vo)
Erika Jerry(Back vo)
Charles Jones(Key)
Rob Bacon(g)
Calvin Turner(b)
Carl Carter(ds)

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