東京のプライドを賭けた戦い、東京ダービー。前回ヴェルディのホームでの東京ダービーはスコアレスドローに終わった。今節はその雌雄を決する戦いとなることはもちろん、優勝・昇格争いにおいても重要な一戦となった。前回は2万8千人超の観衆だったが、今節はそれを遥かに上回る3万6千弱の観衆が見守ったビッグゲームだ。
全体を通して見ると、意地と意地のぶつかり合いがプラスに出た部分とマイナスに出た部分があり、両者ともにマイナス面が強調されることとなった。先にゴールをという意識から前へ前へと突っかけてボールを奪われたり、狭いところを強引にドリブル突破しようとして潰されてしまうといったようなことだ。また、折角奪ったボールもパスミスで相手にみすみす与えてしまうという部分も散見された。
ドリブルでの突破というテクニカルな攻め方ももちろん必要だ。だが、各人にこれまでの試合感覚からなのかボールは持てるという意識でドリブルなど足元にボールを長く保持しようとするため、相手のプレッシャーを受けやすくなり、結果ボールを失ったり、相手にパスカットされたりする場面を増やしている。また、キープから大きく逆サイドへ展開しようとしても、最初から視野を広げてからではなく、仕掛けていって囲まれた時にはじめてそういう選択肢をとろうとするから相手の足や頭に引っかかり、効果的な攻め方を自ら潰していくようにも感じられた。ここが通っていればビッグチャンス……という攻撃は何度かあったが、やはりそれももう1、2つタイミングが前であればビッグチャンス構築に成功していたに違いない。
それも前半終了間際でのルーカスのヘッドで先制。後半へ向けて何とかいいスタートを切ったと思ったが、試合は一進一退が続く後半、相手のニアへのCKを森重がオウンゴールして同点とされた。70分頃には、右サイドからのセンタリングがエリア内の相手の手に当たったりもしたが、PKにはならず(VTRで確認してもあれはハンドだった)、終盤左からドリブル突破したセザーが左エリアからゴール前を横切るパスを送り石川への決定的なチャンスとなるも石川のシュートは相手GKに阻まれ、なかなか得点が奪えない。東京は羽生の交代後さらに選手をつぎ込むも、近節の試合同様、効果的な攻撃はあまり生まれずに終わった。
シュート数はFC東京の15本に対しヴェルディは5本。CKも8対3と数字の上では圧倒的にFC東京が支配していたようにみえるが、実際はおそらくヴェルディの選手たちに首位に君臨するチームとそうでないチームとの大きな実力の差を感じさせることは出来なかったのではないか。出足も速く、1対1でもしつこかった。もちろん、FC東京は守勢に回ることはなかったが、自らの判断の遅さや攻撃の幅のなさが相手に「やれる」「勝てる」と思わせてしまったのかもしれない。そして、その意識の強いプレイが、東京の余裕を失わせたのかもしれない。
東京のプライドを賭けた戦いだけに、普段以上の勝ちへの意識が強すぎて力みや気負いが出てしまい、プレイに余裕や幅を生まなかったのは事実だ。大事な戦いこそクレヴァーに戦うという鹿島のような試合運びまでは、東京はまだ到達していないということなのだろう。
これで5連戦を終え、残り5試合となった。5連戦中の2勝2分1敗というのは、決していい数字ではない。岡山戦こそ3得点したが、その後は1、0、1、1と複数得点ではなくなっている。
そして次節のアウェイ湘南戦は、今日の試合で警告を受けた梶山と高橋が出場停止、さらに代表召集で今野も出場出来ないという守備の要のCBと両ボランチを欠いての一戦だ。昇格そして優勝を前にチームとしての総合力が試される試合となりそうだ。ここであっけなく負けるようでは、今後の試合もおぼつかなくなる可能性もある。心して準備していきたい。
◇◇◇
Jリーグディビジョン2 第33節
2011/10/30 味の素スタジアム
FC東京 1(1-0、0-1)1 東京V
【得点】
(東):ルーカス(45+1分)
(V):オウンゴール(61分)
観衆: 35,911人
天気: 晴、弱風
<メンバー>
≪FC東京≫
20 GK 権田修一
02 DF 徳永悠平
03 DF 森重真人
06 DF 今野泰幸
33 DF 椋原健太
04 MF 高橋秀人
10 MF 梶山陽平
27 MF 田邉草民 → 18 MF 石川直宏(65分)
39 MF 谷澤達也
22 FW 羽生直剛 → 38 FW 坂田大輔(78分)
49 FW ルーカス → 09 FW ロベルト セザー(87分)
01 GK 塩田仁史
14 DF 中村北斗
17 MF 永里源気
32 MF 上里一将
◇◇◇
ヴェルディゴール裏。
ヴェルディゴール裏。
東京サポーターの入りもかなりのもの。
試合前から盛り上がります。
ヴェルディのコレオグラフィ。その1。
ヴェルディのコレオグラフィ。その2。
ヴェルディのコレオグラフィ。その3。
東京は青と赤を基調にしたコレオグラフィ。
なかなか鮮やかです。
選手整列。
ルーカスゴールで先制したが……
ハーフタイムのドロンパ。
試合は1-1で終了。
サポーターへ挨拶するヴェルディの選手たち。
相手ゴール裏まで埋め尽くしたFC東京サポーターへ挨拶する東京の選手たち。
バックスタンドから自陣ゴール裏へ向かう東京の選手たち。
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