*** june typhoon tokyo ***

The night is still young...

NEW CLASSIC GIG '08@東京国際フォーラム

2008-08-09 23:23:00 | ライヴ
newclassicgiginjapan08_artists

大躍進。(Do the Quantum Leap!)

 “NO FIGHT, YES MUSIC & PEACE”をテーマにしたライヴ・イヴェント、“NEW CLASSIC GIG in JAPAN '08 supported by FIAT”を観賞しに東京国際フォーラム・ホールAへ。今回は“Heartful Ecology”がテーマに加わった。最近流行りの“エコ”だが、個人的にはどうも食傷気味というか閉口していて、マイ箸がどうのエコバッグがどうのco2削減がどうの(光合成による植物=緑が酸素を生むにはco2が不可欠ですが何か、とか皮肉をいいたくなったり)を無理くりに組み込んでくるようなイヴェントにならなければいいがなぁ、とチラッと頭をよぎる(もちろんエコロジーを否定する訳ではなく、そういった意識と行動は必要なことだとは思うが、最近のエコは“流行、ファッション”という気がしてならないので。エコとはエゴからどうやって“濁点”をとるかだと思うので……)。だが、蓋を開けてみれば、コンシャスな意義付けを強調することはない、しっかりと音楽ギグを軸に据えたステージとなった。
 前回はBENNIE Kと湘南乃風が出演したが(前回のレポはこちら)、出演アーティストの嗜好や方向性の差異を抜きにしても、それぞれのアーティストのステージはいいとして、クラシックとポップスの融合という意味では不完全燃焼、ギクシャクしたものだった。全てのステージで東京フィルとコラボする訳でもなく、BENNIE Kと湘南乃風のそれぞれのライヴの一部に豪華な東京フィルがバックについただけといった印象が強く、唯一良かった(こういう融合がやりたかったのか)と思わせたのが、BENNIE Kのマネージャー兼DJ、DJ HI-KICKと東京フィルとのコラボだったというのは皮肉。その反省を踏まえ、Chara、VERBALを迎えての今回はいかに修正してくるか……そこが個人的な興味ある視点の一つだったが、結論としては、前回よりも大躍進した内容になったといえるのではなかったか。おそらく前回のDJ HI-KICKのスクラッチと東京フィルのコラボには特に好感触を得ていたんだろう。今年はSugiurumnを配しての“オーケストラ×DJ”の客演を組み込んできた。

 映画『2001年宇宙の旅』冒頭部分で知られるR.シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」から厳かにスタートしたSugiurumnのステージ。やはり東京フィルによるオーケストラ・サウンドは大迫力。日頃はライヴホールなどで打ち込みなどの分厚く大きなボトムを聴いているが、その“ドンッドンッ”という重低音もオーケストラの前では脇役。ただそれに飲み込まれるだけでは意味がないことはもちろんで、打ち込みサウンドの主役であるボトムを凌駕する楽団の音の波に、Sugiurumnは小回りの効くフットワークでエッジーなアクセントを施してくる。それがよく表われたのが、カンツォーネの代表曲「オー・ソレ・ミオ」でのコラボ。陽気で情熱的なこの楽曲を、ストリングスが美しく軽やかに、DJプレイがスタイリッシュにというアプローチで聴かせた好プレイだった。
 このギグは、演奏だけでなく映像でも魅せてくれる。迫り来る宇宙に浮かぶ地球や壮大な宇宙を思わせる映像がライティングとともにステージ熱を高めていく。

 ステージは奥に左から中央右へと中央に踊り場(=ステージ)を設けた階段が配された、『夜のヒットスタジオ』を思わせる(笑)作り。その階段をゆっくりとCharaが歌いながら降りてきてCharaステージが幕を開けた。Charaは黒系の肩なしチューブトップ・ドレスで登場。最近痩せたせいで「ズリ落ちちゃう」と胸の部分をあげて髪を掻きあげる姿がキュート。
 
 Charaのステージはアッパーな楽曲はほとんどなかったので、観客はほぼ着席して観賞。ハスキーでアンニュイ、そしてハートフルなヴォーカルが会場を包む。オーケストラの大音量の前では彼女のヴォーカルは消えてしまうのでは? という心配をした人もいたかも知れないが、メリハリをつけたアレンジによってそれも杞憂に終わる。のっけから独特のCharaワールド全開で、「しましまのバンビ」などは超キュート。続く「TROPHY」は誕生日をテーマに作ったそうなのだが、「今日、誕生日の人いる?」の問いかけに手を挙げる人が現れると、突然ア・カペラで「ハッピー・バースデイ・トゥ・ユー」を歌うサプライズ。“ハッピー・バースデイ・ディア…”のところで手に耳をつけるしぐさをして名前を催促し歌うという、その観客にとってはこの上ないプレゼントになった。
 「やさしい気持ち」ではバックに赤ちゃんなどの手が映し出され“手~を~繋ごう”の歌詞とリンクするハートフルな空間に、「ミルク」ではミルクの水滴を背後にしっとりと綴るといったCharaらしいステージに、温かな雰囲気が醸し出されていた。一旦ステージ・アウトしている間、ステージでは、栗田博文&東京フィルによるドヴォルザーク「新世界より」(「遠き山に日は落ちて」)が。これが単に衣装チェンジつなぎとならずに、夕日の映像とリンクしてコンパクトに、しかもそれまでのしっとりとした空気を損なわずに展開。そしてラメでキラキラと光るドレスに着替えたCharaがステージ・インすると「月と甘い涙」。夕日から月へと移ろいも考慮した構成がよかった。 

 短い時間ながらも、アンニュイだけでなく、キュート、ロック……とさまざまな彼女の面が見られたことで、今まで彼女を知らなかった人もその魅力に惹きこまれていったのではないか。彼女はハイになって“アーッ!”とか“イヤァー!”とか叫ぶことが多い。そういえば、緊張していたのか(MC時に「よく独り言だと思われるんですが、これみなさんに話しかけてますからね」といってたところをみると、完璧に観客を掴んでいたと本人は思っていなかったみたい)完全にハイになりたかったのか、「ちょっと歌う前に叫んでいいですか?」と言って2、3回叫んだ後、「東フィルさんもどうですか?」「………」「はい、ありがとうございました…」というやりとりが面白かったな(「今日は鳥山祭りだぁ~ッ」とも叫んでいたな)。ラストは「Cherry Cherry」で最後までキュートにステージ・アウト。

 20分のインターミッションの後、VERBALセクションに。
“ディ~ジェイ、プレイ・ザット・ミュージック、ラ~ウダ~、オネガイ……”のフレーズがかかると歓声が。そこにオーケストラが重なり出し「gET oN!」のイントロへと展開。ステージ中央踊り場にVERBALがやおら現れると“みなさん、立って下さい!!”と煽り、客席は一気に総立ちに。その後ラストまで総立ちのアッパー・ステージとなった。
 DJブースにはマドモアゼル・ユリアという野宮真貴を彷彿させるモード系のファッショナブルなフィメールDJ(20歳とか!)がセット。バックヴォーカルにはYURI(久保田利伸のツアーでもステージに立つソウル・シンガー)と有坂美香(m-floのツアーでバックコーラス3色ガールズの1人だった(2001年の“EXPO EXPO”以来??)アリサカ、ミカーッ!)(この2人、こういった大きなステージではバックヴォーカリストとしての活動が多いが、R&B、ソウル、ファンクあたりが好きな人はヴォイスとそのグルーヴに魅了されるはず)。先ほどCharaのところで話題にもなった誕生日だが、VERBALが「8月が誕生日の人が多くて。ボクも8月21日、ハニイの日なんですけど~(笑)…で、今日はYURIが誕生日でーす!…、じゃ美香、歌って」というと、YURIの微笑む映像がバックに映し出されるなかで、会場全体がYURIへハッピーバースデー・ソングを歌うというピースフルな空間となった(将来はワンマン・ツアーのステージで誕生日を迎えられたらいいねぇ)。

 「Summer Time Love」「How You Like Me Now?」はメインのメロディ・ラインをVERBALやバックヴォーカルの2人が歌ったり、オーケストラ・サウンドのインスト・ブロックとして聴かせたりと、斬新な「Summer Time~」「How You~」を体感。m-floもそうだが、現代ポップスのなかにはオーケストラ・サウンドをサンプリングなどの手法を用いて多く取り入れている(特にストリングス、フルート、ホーンなど)が、それを生のオーケストラの演奏で聴けるというのは、サウンドに魂を入れる(決してオリジナル楽曲が魂が入っていないという訳ではなく)作業のごとく、活力を与えるようで素晴らしい。これらはただオーケストラがバックに加わったというだけでは、美しい融合は生まれない。演者全員が演奏楽曲に対して精魂込めなければ、ただのお飾りとしか伝えられないはずだ。その意味では、オーケストラがJ-POP、ヒップホップし、ポピュラーミュージックがクラシックした瞬間でもあったのではないだろうか。
「Hands」からは“m-floのゴッド姉ちゃん”(この日は“友達”と紹介していた)ことLISAを呼んで3曲。「come again」の出だしのハープも生だとゾクゾクが増す感じだ。音楽、ダンス、バトン、アスレチックをミックスしたパフォーマンス・エンターテインメント・ショー“ブラスト”のメンバー石川直とのセッションでは、エキサイティング&スピーディーなパーカッションを披露。VERBALの問いかけ煽りにパーカッションで応えていくくだりから息をつかせぬ神業のごとくのスティック・テクニックは、圧巻の一言だった。
 ベートーヴェンの「運命」とエルガーの「威風堂々」では、オーケストラをバックに、VERBALがフリースタイルで融合。来年で10周年を迎えるm-floへのサポートに対する感謝の念を綴ったラップで、クラシック・ミーツ・ヒップホップをライヴで体現させると、会場のヴォルテージがさらに急上昇。MINMIを呼び寄せての「Lotta Love」では、“イェーイイェ!”のコール&レスポンスに加え、東フィルメンバーがハンカチかスカーフ(旗?)を後ろでクルクル回していたのが微笑ましく、タイトルに相応しい“愛”の溢れるステージに(上空にはドデカイミラーボールが3つ輝き回っていた)。ラストは再びCharaを招き入れて「Love to Live By」を。ロックなCharaの“ベイビー!”が炸裂した大団円となった。

 そして、場内が暗転し、当初Sugiurumnセクションで演奏した「Star Baby」のオーケストラ・オーヴァーチュアを。バックにエンドロール。栗田博文がほとばしる熱情を身体全体に響き渡らせるような震えるポーズで指揮を終えると、会場はスタンディングオベーションで応えて幕を閉じた。

 今回は初めから、しっとりと聴かせることとクラシックとポップの浸透性を軸としたCharaステージと、迫力や高揚感の相乗効果によるダイナミズムを軸としたVERBALステージのツーウェイ・ステージという狙いがあったのかどうかは解からないが、結果としてその両面が描出出来たステージになったのではないかと思う。VERBALステージのラストで比較的聴かせたCharaがダイナミズム・セクションに加わり終えた構成も良かった。
 前回からという意味では、そのステージの質はまさにm-floの楽曲にもあるように“Quantum Leap=大躍進”したといっていいだろう。次はオーケストラとポップスが掛け合うようにつばぜり合いするとか、オーケストラを全面に出したり、またクラシック・サンプリングを使っている楽曲をそのままライヴでやってみるとか、まだまだ変化と成長は見込めることを示したステージだった。

◇◇◇

MCでのVERBALとLISAの会話。

V:「ねぇねぇねぇ、知ってる? 栗田……博文さん」
L:「(笑…一瞬忘れたなという顔をする)」
V:「ねぇねぇねぇ、知ってる? 東京フィルハーモニー交響楽団。ちゃんと言える?東京フィルハーモニー交響楽団(早口で)」
L:「東京フィルハーモニーきょうきょ#$%&’…」
V:「言えてないじゃん…」

っていうのが面白かったナ。


◇◇◇

<SET LIST>

≪Sugiurumn SECTION≫
00 Introduction(Including phrase“miss you”intro)
01 ツァラトゥストラはかく語りき(R.シュトラウス)
(Also sprach Zarathustra By Richard Georg Strauss)
02 String Of Life
03 オー・ソレ・ミオ('O sole mio)
04 Star Baby

≪Chara SECTION≫
05 光の庭
06 MAHA
07 しましまのバンビ
08 TROPHY
09 そして、僕が届かない
10 虹をわたる平和がきた
11 愛を憶える
12 やさしい気持ち
13 ミルク
14 交響曲第9番 ホ短調作品95「新世界より」(ドヴォルザーク)
(Z nového světa By Antonin Dvorak)
15 月と甘い涙
16 Cherry Cherry

≪INTERMISSION≫

≪VERBAL(m-flo) SECTION≫
17 Introduction(Including phrase“miss you”intro)
18 gET oN!
19 Summer Time Love
20 How You Like Me Now?
21 Hands(loves LISA)
22 been so long(loves LISA)
23 come again(loves LISA)
24 VERBAL×DJ×石川直(Rudimental Snare Drummer)SESSION
25 交響曲第5番 ハ短調作品67「運命」(ベートーヴェン)
(By Ludwig van Beethoven)
26 行進曲「威風堂々」1番(エルガー)
(Pomp and Circumstance By Edward William Elgar)
27 miss you
28 Lotta Love(loves MINMI)
29 Love to Live By(loves Chara)

≪ENDING≫
30 Star Baby(with Overture for Faithfulness)


<MEMBER>

≪Chara Crew≫
Chara(Vocal)
渡嘉敷祐一(Drum)
蔦谷好位置(Piano)
加藤哉子(Background Vocal)

≪VERBAL(m-flo)Crew≫
VERBAL(MC)
MADEMOISELLE YULIA(DJ)
YURI(Background Vocal)
有坂美香(Backgroud Vocal)
LISA(Guest Vocal)
MINMI(Guest Vocal)
石川直(Rudimental Snare Drummer)

Sugiurumn(DJ)

東京フィルハーモニー交響楽団
栗田博文(指揮)

松井英樹(Produce)
鳥山雄司(Sound Director)
小川竜明(Visual Jockey)

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