2020年秋季リーグの優勝は、早慶の一騎打ちに。
9月19日に開幕した2020年の東京六大学野球秋季リーグ戦。例年とは異なり、各校が5校を相手に2試合ずつ計10試合を行ない、勝利が1、引き分けが0.5、敗戦が0という勝点ポイント制となった今季は、10月25日をもって第6週までを消化。法政と立教、明治と東大が対戦する第7週と早稲田と慶應義塾が対戦する第7週を残すのみとなった。
ここまで慶應義塾が6勝2分で1位(勝点7)、早稲田が5勝3分で2位(勝点6.5)、明治が4勝2分2敗で3位(勝点5)、法政が2勝2分4敗で4位(勝点3)、立教が1勝2分5敗で5位(勝点2)、東大が1分7敗で6位(勝点0.5)となっており、この時点で次週で3位の明治が東大に2勝しても勝点7までしか届かず、最終節の早慶直接対決でのいずれの結果も上回ることが出来ないため、優勝は慶應義塾と早稲田の直接対決“早慶戦”で決することになった。
【東京六大学野球 秋季リーグ順位表】※10月25日現在
1位 慶大 8/6/0/2/7.0/1.000
2位 早大 8/5/0/3/6.5/1.000
3位 明大 8/4/2/2/5.0/0.667
4位 法大 8/2/4/2/3.0/0.333
5位 立大 8/1/5/2/2.0/0.167
6位 東大 8/0/7/1/0.5/0.000
※(試合数/勝/敗/分/勝点/勝率)
その優勝の行方だが、最終週第8週の1回戦で慶應義塾が勝利した時点で勝点差が1.5つくため、早稲田が優勝するためには1回戦で引き分け以上が必要だ。1回戦では慶應義塾は木澤(4・慶應義塾)、早稲田は早川(4・木更津総合)とプロ注目の投手同士の投げ合いとなりそうで(対決前には入団するプロ球団も決まっているだろう)、互いに譲らず引き分けという結果の可能性もあるかもしれない。ちなみに、こちらも変則の1試合対戦となった春季リーグでは、早稲田の早川が先発、慶應義塾の木澤が中継ぎで登板し、延長10回タイブレークの末、慶應義塾が5対3で勝利している(勝ち投手は木澤、早川は敗戦つかず)。
1回戦で引き分けた場合には、2回戦は慶應義塾が引き分け以上で優勝、早稲田は勝利することが絶対条件となる。逆に1回戦で早稲田が勝利すると、2回戦は早稲田が引き分け以上で優勝となる。
両校の今季の傾向を見てみると、ともに無敗だが、慶應義塾は3割8分7厘の正木(3・慶應義塾)、3割7分9厘の廣瀬(1・慶應義塾)をはじめ打線が好調。得点も多く、一気に畳み掛けてくる攻撃が特徴だ。一方、早稲田は絶対的なエース早川が抜群の出来。奪三振数も多く、4試合で35回2/3を投げて4勝0敗、自責点1の防御率0.25を誇る。投手ランキングでは2位の法政・鈴木(4・常総学院/1勝2敗 防御率0.84)に続き、3位に森田(3・慶應義塾/1勝0敗 防御率2.66)、4位に木澤(2勝0敗 防御率2.79)と慶應勢もランクインしているが、防御率をみれば、その安定感には格段の違いがある。
やや“重箱の隅をほじくる”と、慶應義塾は立教戦で6失点、明治戦で引き分けと1回戦で多少詰めの甘さがあり、逆に早稲田は引き分けた3試合の全てが2回戦と、早川に次ぐ2番手以降の出来に左右される。これまで2回戦には西垣(3・報徳学園)、徳山(3・大阪桐蔭)、今西(4・広陵)が先発してきたが、確実に長いイニングを任せるまでには至らず、細かな継投が強いられている。これらを考慮すると、早稲田は1回戦で早川で勝利して、慶應義塾に勝点を上回って2回戦を迎えたいところ。慶應義塾の攻撃陣を止めることはなかなか容易ではないゆえ、早稲田は早川で引き分けてしまうと非常に厳しい展開となる。もちろん優勝が掛れば、1回戦で投げた早川のスクランブル登板することも考えられるが、連投で初戦同様の投球が出来るかは甚だ疑問ではある。
【早慶 今季の成績】
〈慶應義塾〉
09/26 第2週(1)〇慶大 3-0 東大
09/27 第2週(2)〇慶大 8-3 東大
10/03 第3週(1)〇慶大 11-6 立大
10/04 第3週(2)〇慶大 4-2 立大
10/18 第5週(1)△慶大 2-2 明大
10/19 第5週(2)〇慶大 7-2 明大
10/24 第6週(1)〇慶大 4-1 法大
10/25 第6週(2)△慶大 1-1 法大
〈早稲田〉
09/19 第1週(1)〇早大 7-1 明大
09/20 第1週(2)△早大 3-3 明大
10/03 第3週(1)〇早大 2-0 法大
10/04 第3週(2)△早大 6-6 法大
10/11 第4週(1)〇早大 7-1 東大
10/12 第4週(2)〇早大 8-0 東大
10/24 第6週(1)〇早大 1-0 立大
10/25 第6週(2)△早大 1-1 立大
ところで、優勝争いから外れてしまった明治以下4校だが、それぞれ見どころはある。3位の明治は最終戦は東大が相手。勝点2を積み上げてしっかりと終えたいところ。投手成績ランキングで5位の入江(4・作新学院/2勝1敗 防御率2.87)は、早慶戦での慶應義塾投手陣の内容次第では3位に食い込むこと可能性も考えられる。1年ながら4番を任されている打撃ランキング6位の上田(1・愛産大三河/.346)も来季以降を見据えて少しでも上位に食い込みたいところだ。
4位の法政も投手ランキング2位の鈴木が防御率0.84の数字。早慶戦で仮に早川が打ち込まれて大量失点となった場合には、防御率1位の可能性も出てくるゆえ、立教戦は無駄な四球を減らして勝利をもぎ取りたい。
5位の立教は打撃ランキング1位の竹葉(4・龍谷大平安)に注目。下位の打順ながらもリーグでただ一人4割台をキープ(.450)しており、首位打者へ最も近い位置にいる。
6位の東大は、大敗もあるが1回戦は比較的好試合を展開し、第5週では9回に追いついて立教と引き分け、勝点0.5を獲得した。それゆえ明治は優勝争いからの脱落と東大戦ということで気を許すと、勝点どころか勝利を献上することにもなりかねない。東大は打撃ランキング2位に早川(4・菊里/.391)もおり、大量得点は見込めないが、勝負強い打撃で得点を重ねていきたい。エース井澤(2・札幌南)の出来次第とはなるが、完投はなかなか難しいため、小宗(3・私立武蔵)や奥野(3・開成)、横山(4・四日市)、西山(2・土浦一)らの小刻みな継投で明治打線を凌ぎたい。
この4校の対戦を経て、第8週の11月7日・8日の早慶戦で今季の優勝が決まる。特異なシーズンとなる2020年シーズンの最後に頂点に昇り詰めるのは、早稲田か慶應義塾か。その時は刻々と近づいている。
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【東京六大学 2020 秋季リーグ ロング・ダイジェスト動画】
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