突然の豪雨も襲ったルヴァン杯準々決勝は、FC東京が3発快勝。
リーグ首位を独走中の川崎の連勝をストップさせた記憶も新しい名古屋を味の素スタジアムに迎えた一戦は、安部の2ゴールを含む3得点を挙げたFC東京が、準決勝へ駒を進めた。
丸山、太田、米本、稲垣祥(ユース)、オ・ジェソク、そしてマッシモ・フィッカデンティ監督とFC東京にゆかりのある選手たちを多く抱える名古屋は、リーグでは堅い守備で上位をキープ。この日は両SBに太田、オ・ジェソク、CBに丸山と元FC東京ラインを形成。山崎を1トップに、マテウス、相馬が攻撃の起点となる。FC東京はターンオーヴァーをせず、右SBには中村帆高を起用。前線はレアンドロ、永井、ディエゴ・オリヴェイラの強力3トップで、名古屋の堅守を崩しに行く。
だが、例年とは異なり、一発勝負のトーナメントということで、両者とも守備に重心を置きながら、攻撃の糸口を探していく。FC東京はディエゴ・オリヴェイラのフィジカルを活かしたボールキープからと、俊足の永井やレアンドロがスペースへ駆け上がりチャンスを窺う。一方、名古屋はマテウス、相馬がサイドから突破を図るが、森重、渡辺のCB陣を中心にボールを跳ね返していく。
それほど決定機もないまま迎えた、37分。右サイドからドリブル突破で抜け出したディエゴ・オリヴェイラが、右エリアから低弾道のクロスを送ると、ゴール前の永井がスルーし、ファーサイドから詰めていた安部が合わせて、FC東京が先制。両者ともに重要視していた先制点がFC東京に入ったことで、試合の流れが少しずつFC東京へ傾いていく。
とはいえ、名古屋も反撃し、43分に右サイドからドリブルでエリア付近へ進出したマテウスが左脚一閃。強烈な弾丸シュートを放つも、GK林が弾いて、FC東京は危機を逃れる。
まずは追いつきたい名古屋は、後半開始からシミッチに代えて米本、オ・ジェソクに代えて成瀬、相馬に代えて金崎をピッチへ送り込む。すると、47分に右CKを得た名古屋は、マテウスがゴールへ向かったクロスを送ると、これが直接クロスバーを叩く。この後、名古屋はチャンスらしいチャンスを生み出せないでいると、53分にFC東京はレアンドロが左サイドからドリブルでエリア左まで持ち込むと、ディエゴ・オリヴェイラにパス。ディエゴ・オリヴェイラがエリア左からゴールを狙おうとした瞬間に、左サイドを外へ膨らみながら走り込んできた安部へ渡すと、これを安部がこの日2得点目となるゴールを右ポスト内側に当てながら決めて、FC東京が追加点を挙げる。
名古屋は前田をガブリエル・シャビエルに代えるなど攻勢を掛けたいところだったが、スタジアム周辺に局地的な大雨が降り、靄のようなもので視界も遮られると、次第に思った通りにパスを繋げない。ところが、FC東京は74分に永井に代わってピッチへ入ったアダイウトンがその2分後、米本のバックパスを引いて受けようとした中谷にアダイウトンが猛烈なプレスを仕掛けてボールをカットすると、そのままゴールへ向かってドリブルで独走。GKランゲラックとの1対1を冷静に見極めて右下隅へシュートと流し込み、FC東京がダメ押しの3点目を獲得。試合の行方に決着をつけた。
名古屋は全体的に動きが重かったようにも感じ、マテウスのミドルとCK以外はチャンスらしきチャンスは見当たらず、シュート数も僅か2本に終わった。それに対して、FC東京はシュート14本。ディエゴ・オリヴェイラがボールを奪われず前へ運び、高萩やアルトゥール・シルバは運動量豊富にパスを供給しながら、安部やレアンドロと良い距離感を保ち、攻撃に厚みを与えていた。右SBの中村帆高もチャンスには積極的に上がり、名古屋のサイドからの攻撃にもしっかりと対応。やや停滞していた前半から時間の経過とともに主導権を握り、ほとんど隙を与えずにタイムアップの笛を聞くこととなった。
準決勝は1ヵ月後の10月7日、神戸に6対0と圧勝してきた川崎との対戦となる。リーグでは名古屋戦以外敗戦はなく、これまで11勝2分けで首位を独走。FC東京も7月の第3節で0対4と完敗している。まずはホームでの完敗の借りを返さなければならないが、今の川崎を簡単に負かすのは容易ではない。1ヵ月後、現状だとアウェイ戦の観戦は厳しそうだが(可能になったとしてもチケット争奪戦も過酷)、川崎サポーターの本拠でリヴェンジをしてもらいたい。そのためにも、リーグを戦いながら、フォーメーションや連係などの精度を高め、チームを上昇気流に乗せておきたい。
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【JリーグYBCルヴァンカップ プライムステージ 準々決勝】
2020年09月02日(水)19:03試合開始 味の素スタジアム
入場者数 3,558人
天候 晴のち曇のち雨 / 気温 28.3℃ / 湿度 76%
主審 東城 穣 / 副審 大塚晴弘、熊谷幸剛 / 4審 高山啓義
FC東京 3(1-0 / 2-0)0 名古屋
≪得点≫
(東): 安部柊斗(37分)、安部柊斗(53分)、アダイウトン(76分)
(名):
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【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 33 林 彰洋
DF 37 中村帆高
DF 04 渡辺 剛
DF 03 森重真人
DF 06 小川諒也
MF 45 アルトゥール・シルバ
MF 08 高萩洋次郎
MF 31 安部柊斗 → 三田啓貴(83分)
FW 11 永井謙佑 → アダイウトン(74分)
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ → 内田宅哉(61分)
FW 20 レアンドロ → 原 大智(83分)
≪サブスティテューション≫
GK 13 波多野豪
DF 22 中村拓海
DF 32 ジョアン・オマリ
MF 28 内田宅哉
MF 07 三田啓貴
FW 15 アダイウトン
FW 24 原 大智
≪監督≫
長谷川健太
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【2020 JリーグYBCルヴァンカップ FC東京 試合日程】
準々決 09月02日(水)19:03〇FC東京 3-0 名古屋(H・味スタ)
準決勝 10月07日(水)19:00 FC東京✕川 崎(A・等々力)
決 勝 11月07日(土) --:--(FC東京・川崎の勝者)✕(横浜FM・柏の勝者)(国 立)
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