*** june typhoon tokyo ***

MISIA@NHKホール



■ OCN Presents THE TOUR OF MISIA JAPAN“SOUL QUEST”
 
Misia_soulquest
 
 
 MISIAのライヴ“SOULQUEST THE TOUR OF MISIA JAPAN”のNHKホール公演の二日目を観賞。MISIAのライヴは、“星空のライヴVI”“SATOYAMA BASCKET”へ行けなかったこともあり、“星空のライヴV”以来か。おそらく、MISIAにとっては初めてのNHKホール公演だ。

 震災後の惨状を考え、ツアーの開催について葛藤や悩みが相当あった様子だったが、“心の栄養”を与えること、つまり歌うことが私の役目だとの一念から再開を決めたという。
 また、以前からテーマとしていた“生物多様性”や、先日の3月11日からの東日本大震災の影響が多く感じられたステージだったのではないか。

 批判を覚悟でいうならば、今回のステージについて、エンタテインメントとしては、正直個人的にはやや物足りなかった。前半から中盤にかけては未発表の新曲を随所に組み入れたセットだったが、歌い上げるバラード系の楽曲が多かった印象と、楽曲と楽曲の間が何も施されていないような繋ぎだったことが、その原因なのかもしれない。個人的な趣向ももちろんある。さらに、MCでは、今回の大震災について触れたコメントが中心。神妙な面持ちと助けになりたいという信念が言葉となって観客へと伝わっていく。その重々しさに、乗り切れなかった部分があったのかもしれない。

 とはいえ、彼女がライヴ・ステージでそのようなメッセージを送ることに批判的という訳ではない。寧ろ、彼女が込める歌のなかにそのメッセージの全てが充満していると思うのだ。ツアー途中、“同じこの空の下 共に向かって行こう”というメッセージとともに急遽制作された「明日へ」や“未来のために優しい記憶を残したい、大切にしたい”という思いを込めた「記憶」など、その詞世界を真摯に歌い上げる姿だけで、充分過ぎるほど琴線を揺らすに違いないのだ。それが幾度にわたるMCから楽曲へと流れると、切実さが際立ってしまい、歌から彼女の心痛を突き付けられるようで、気持ちがパンクしてしまいそうになる。何だか、MISIAが背負い過ぎてしまうような気がしてならないのだ。

 “HOPE FOR JAPAN”、普段ならば“最後に、MISIAと呼んでください"と観客に語りかけ、観客がそれに大声で“MISIA!”と応える光景でステージの幕が下ろされるのだが、今回はそれはなし。その代わりに、彼女が叫んだのがこの“HOPE FOR JAPAN”だ。痛々しい想いで再開されたツアーで、その想いが放たれた一瞬だった。彼女の心底からの魂の叫びだったが、長いツアーのなかでその緊張状態が続くことで心が疲弊しなければよいのだが。

 一方、変化もあった。ハワイ出身のシンガー・ソングライター、JPとのデュエット曲「このままでTonight」を美しいハーモニーで披露したり、そのデュエット相手JPがマイケル・ブーブレの2005年作「ホーム」を単独で披露した。また、「君の瞳に恋してる」の邦題やボーイズ・タウン・ギャングのカヴァーで知られる「キャント・テイク・マイ・アイズ・オブ・オブ・ユー」を本編ラストに配して、「果てなく続くストーリー」からスタートしたミラーボールの光が場内にキラキラと輝くリミックス・メドレーを締めくくった。
 リミックス・メドレーの選曲は、ライヴのヴォルテージを高める定番「Into The Light」がなく、「少しずつ大切に」はやや大人しめな感じもするなど、爆発的な高揚感までには至らなかった気もする。だが、その高いクオリティで安定した歌唱&演出は健在で、「CATCH THE RAINBOW」や「Never Gonna Cry!」ではクライマックスへのスピードを高めてくれるなど、パフォーマンス自体にケチをつけるところはなかった。
 さらには、ダンス・プロジェクト、バニラグロテスクの6人によるトリッキーで新鮮なパフォーマンスが非常に印象的だった。

 やや長いアンコール明けからは、2010年南アW杯公式アルバム収録の「MAWARE MAWARE」。ここでようやく“タオル回し”の瞬間がやってくる。このところライヴで選曲されている「We are the music」では一体感も最高潮に。ステップを踏む姿も実に楽しそうだった。

 “これからもずっと歌い続けていきます”ラストでMISIAが発した力強い言葉だ。公演の構成という意味では、完璧なる満足とまではいかなかった。とはいえ、震災後における状況や彼女の想いを託すステージとしては、1曲終わる毎に沸き起こる観客からの拍手や声援から考えれば、充実したステージだったのだといえる。危機的状況、未曾有の苦難が東日本を中心に覆うこの閉塞感を、手と手を取り合って乗り越えていく意識を高めるには充分のステージであった。それを歌の力、音楽の力でやり遂げたMISIAは、やはり素晴らしいシンガーであるのだ。

 “「愛してる」それだけでこんなにも強くなる あなたにつたえたいことばかり”……これは、空港の雰囲気と離陸音のイントロから始まった「Believe」の一節だが、MISIAはいつも以上に、いつもに加えてさらに大きな“愛”を携えて歌っていたのが印象深かった。MISIAが感化した希望へと繋がる“愛”がホール全体を埋め尽くし、苦境を悲しみを乗り越える人々への想いが一体となった瞬間だった。
 
 
◇◇◇

<SET LIST>

00 INTRODUCTION
01 EDGE OF THIS WORLD
02 THIS IS ME(*)
03 BELIEVE
04 つつみ込むように…
05 明日へ(*)
06 君には嘘をつけない(*)
07 逢いたくていま
08 記憶(*)
09 雨のソナタ(*)
10 このままでTonight(with JP)(*)
~JP SECTION~
11 HOME(Orignal by Michael Buble)
~REMIX MEDLEY~
12 果てなく続くストーリー
13 CATCH THE RAINBOW
14 太陽の地図
15 Never Gonna Cry!
16 少しずつ大切に
17 Everything
18 Can't Take My Eyes Off Of You(Also Known as Boys Town Gang's cover, Original by Frankie Valli)
≪ENCORE≫
19 MAWARE MAWARE
20 We are the music
21 LIFE IN HARMONY

(*):未発表・新曲


<MEMBER>

重実ジェイムス徹(Key)
JP(Key,Cho,Vo)
FUYU(Drs)
渡辺等(B)
山口周平(G)

Vanilla Grotesque(Dance):
MIKEY(Vanilla Grotesque/東京★キッズ)
MAIKO(東京★キッズ)
BOW
MARIE
AKI
TACCHI
 




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