





第88回 天皇杯全日本サッカー選手権大会≪3回戦≫、湘南ベルマーレ×松本山雅FCの試合を、平塚競技場まで観に行って来ました。知人が松本山雅FCサポーターで、また個人的にもFC東京の次に気にしていたりするクラブということもあり、観戦してきました。松本山雅FCのホームであるアルウィンはFC東京にしてみれば、味スタ、国立とともにホームゲームを行なう、いわば第3のホームみたいなもんですし(アルウィンにはナビスコのFC東京×清水を観に行ったし)ね。
それと相手の湘南には、東京に所属していたジャーンや阿部吉朗もいるし。チャントやコールは東京のものと被ってるものが多く、ジャーンや阿部ちゃんはそのまま使われてたりしました。
ほぼベストメンバーで臨む湘南にどのくらい相手になれるか……というのが大方の戦前予想だったのかもしれませんが、本日の山雅の選手たちは、その意気込みがダイレクトに伝わってくるプレーが多く、前半は湘南と互角以上、むしろ山雅の方が数多く攻めていました。攻撃もそうですが、特に守備の意識が高く、必死でチャンスの芽を切りに行く姿は、観ているものに「なにか起こしてくれるんじゃないか」という思いを植えつけてくれました。
しかし、湘南も現在J1昇格の可能性を残しJ2で上位争いをしているクラブ。瞬時の判断で決定機に繋がる場面を創出するのは、さすが。それまでやや劣勢だったのを26分、加藤がドリブルから中央へクロス、ジャーンが折り返して原がヘディングでゴール。山雅側応援席は一瞬、やっぱりこれがJとの差かという空気が流れそうになりました。ですが、選手はまったく諦めた節もなく、わずか3分後、左サイドをドリブル突破で駆け上がり、コーナー付近から内へ切れ込んで中央へ、そこへ湘南が古巣の柿本がしっかり合わせて同点! その後も惜しい場面が続きますが、最後の最後でゴールを割らせない、湘南の堅守も光りました。
後半は、様相が変わり、湘南の支配率が多くなる展開。ゴールへのパスの供給やゴール付近での動きは、瞬時に劣勢を打開出来るスピードを持ち、山雅ゴールを襲います。ただ、湘南もシュート数が多くはなるのですが、決定機に決めきれない感も否めず、延長戦へ突入することに。
さすがに、ここまで来ると疲れも出てきて、前線と最終ラインの幅も広がり、中盤のミスが得点のチャンスへと即座に変わる展開に。湘南のあとわずかといったシュートに、“ホオーッ”と胸をなでおろす山雅サポーター。山雅も少ないながらも得点のチャンスを作り出しますが、ジャーンを中心とした湘南の堅固な守備に阻まれます。
延長戦も両者得点なく、試合はPK戦へ。なんなくシュートを決める湘南。地域リーグでもタフな試合をやってきているとはいえ、こういう大舞台でのPK戦は、経験があるのとないのとでは全く違います。そういう意味では、山雅のキッカーはゴールを決めてはいますが、どこか選手にも不安を含んだ感じがしました。
その不安は的中し、山雅の3人目キッカーがゴールを外します。湘南が4本目を簡単に決めて、がけっぷちに。山雅の4人目はゴールを決めますが、次に湘南がゴールを決めれば敗退。だが、山雅は選手やコーチ、スタッフ、関係者、サポーターが団結していました。湘南の5人目にGK原がビッグセーブを見せると、湘南への流れは一気に山雅へと傾き始めます。山雅が勝つためには、この勢いのまま次の6人目を止めること……それが今最も勝利へ近い道。逆に、この絶好の流れに乗れなければ、やはり地力で上回る湘南が勝つだろう。止めるならここ、そう思ったときに、湘南にもプレッシャーがあったんだと思いますが、湘南6人目のシュートがGK正面へ。これをGK原が見事にセーブして、形勢逆転。次の山雅のキッカーが落ち着いてゴールを決め、地域リーグがJ2クラブを破るというジャイアントキリングを成し遂げました。
山雅サポーターは歓喜乱舞。なかには涙を流して喜ぶ人たちも多くいました。決して多くはなかったけど、最後まで選手を信じて声を出し勇気を与え続けた山雅サポーターは素晴らしいものでした。そしてもちろん、この勝利を実現した選手、コーチらの奮闘も素晴らしかった。
湘南も格下だとという舐めた感じもなく、意識を高く持って臨むようにやっていたと思えました。ただ、瞬時の判断やプレイという点で、成功したときから比べあと一歩、もう一つ足らない部分があったのかもしれません。そして、湘南のそういったプレーが、山雅のいつも以上のクオリティを引き出したことで、いいゲームになったということもあると思います。いやぁ、久しぶりにいいゲームを観させてもらいました。ジャーンも阿部ちゃんも観られたし、よかった。東京もこういう試合を味スタでやってくれ、と願わずにはいられません。(苦笑)
大仕事をやってのけた松本山雅のGK原。彼のチャント・コールは、矢沢永吉の「止まらないHa~Ha」でした。“YAZAWA”ロゴタオルが会場全体に舞い上がるライヴ定番のあの曲ですよ。“Ha~Ha”が“ハーラ”で、“Feelin' Comes… Feelin' Comes…”がちょっと早口で“守護神、守護神…(シュゴシ、シュゴシン)”って歌ってたのが面白かったですな。
エース柿本のチャントはゴダイゴの「ビューティフルネーム」でした。(笑)
山雅の次の相手は神戸。J1です。しかも神戸のホームでやることになり、今日の平塚以上のアウェイとなりますが、精一杯力の限り挑んで欲しいものです。さすがに神戸は行けないけど。(苦笑) BSで放送しないかな。
◇◇◇
湘南 1(1-1、0-0、延0-0、0-0)1 松本山雅
PK 4-5
湘南: ○○○○×× 4
山雅: ○○×○○○ 5
【得点】
湘南: 原(前半23分)
山雅: 柿本(前半26分)
<MEMBER>
【湘南】
≪スターティングイレヴン≫
GK 25 金永基
DF 05 臼井幸平
DF 03 ジャーン
DF 02 斉藤俊秀
DF 04 三田光
MF 35 菊池大介
MF 28 中村祐也 (59分、→坂本)
MF 26 永田亮太
MF 24 加藤望 (延前、→ナザ)
FW 20 原竜太 (77分、→阿部)
FW 11 石原直樹
≪サブ≫
GK 01 伊藤友彦
DF 19 山口貴弘
MF 08 坂本紘司
FW 38 ナザ
FW 18 阿部吉朗
【松本山雅】
≪スターティングイレヴン≫
GK 30 原裕晃
DF 22 坂本史生
DF 28 矢畑智裕
DF 13 三本菅崇
DF 19 阿部琢久哉
MF 06 今井昌太 (112分、→石川)
MF 23 鈴木亮平 (89分、→小澤)
MF 07 川田和宏
MF 25 大西康平
MF 14 竹内優 (76分、→斎藤)
FW 10 柿本倫明
≪サブ≫
GK 21 三栗寛士
DF 17 石川航平
MF 05 斎藤智閣
MF 08 小澤修一
FW 09 江口正輝
【入場者数】 2,580人
【天候】 晴
【気温】 21.2℃
【湿度】 55%