*** june typhoon tokyo ***

The Jacksons@東京国際フォーラム

■ ジャクソンズ・ユニティ・ツアー

Jacksons_201212_01

 
 ジャクソンズによるライヴ・ツアー“The Jackson's Unity Tour 2012”の2デイズの2日目の公演を観賞。会場は東京国際フォーラム。当初は2階席最後列あたりの席だったが、2階席に空席が多いこともあり振り替えチケットによって2階席前方中央に座ることが出来た。平日、そしてこれまで長期にわたるブランクがある(もちろんマイケル・ジャクソンのいない)ジャクソンズということ、チケットもS席が11500円と割高だったことも客足を鈍らせたか。また、東京国際フォーラムのキャパ(約5000席)は少々厳しかったか。NHKホール(約3600)や東京ドームシティホール(約3000)以下の収容人数のホールであれば、満杯になったかもしれない。

 MCでマーロンが(通訳の女性を介して)言っていたのだが、多くのファンから「ツアーをやってほしい」とのメールが届き、再結成そしてツアーを決めたらしいのだが、まずやらなければならないことは、兄弟たちがどこにいるのかという居場所を見つけることだった。ジャーメインは中近東に(何をしていたのかの問いには「祈ってた」と回答)、ジャッキーはハワイに、マーロンは南アフリカに、そしてティトは何をしていたかと問われると「子供を作っていた」と答えていた。その世界中で離れ離れになっていた兄弟たちを集結させた要因の一つとしては、やはりマイケルの死後の世界の反応だろう。ソロ時代はもちろん、デビューからのジャクソン5、ジャクソンズ時代にもあらためてフォーカスされることで、ファンそして彼ら自身にもジャクソンズのステージを待望する気持ちが芽生えていったことは確かだと思う。

 ところで、ジャクソンズとはいったが、ジャクソンズの軌跡は少々ややこしい。というのも、彼らがデビューした時は、ジャッキー、ティト、ジャーメイン、マーロン、マイケルの5人による“ジャクソン5”だった。モータウンからCBSレコードへ移籍する際に、ジャーメインがモータウンに残り、またモータウンが“ジャクソン5”という商標を握っていたことから、ジャーメインに代わってランディが加わり、グループ名を“ジャクソンズ”に変えて
いる。その後、ジャーメインは再結成時にジャクソンズに参加することにはなるのだが。
 振り返ってみると、ジャーメインが参加した来日公演としてはおそらく初めてになるのではないか。そういう意味で、単なるリサイタルではなく、非常に意義深いステージになった。

 ライヴはマイケルのソロ曲もセット・リストに加え、またヴィデオをマイケルの映像を流すなど、ステージ中央には4本のスタンド・マイクしかなくとも、マイケルも意識した内容。というより、心や記憶から彼を取り除くことは出来ないという4人の気持ちもあるだろう。それはファンも同様で、マイケルの映像がスクリーンいっぱいにアップになると、キーンという喚声がホールの天井を突き刺すほどだった。序盤での衣装もどこか「BAD」あたりを思わせる黒い衣装で、クールに決めていた。

 それでも“ジャクソンズ”名義でのツアーだ。冒頭に「キャン・ユー・フィール・イット」、ラストに「シェイク・ユア・ボディ」とジャクソンズ(ジャクソン5)としての楽曲でパッケージするあたりは、彼らがショービズ界でトップリーダーとして君臨してきた矜持もみえた。「アイ・ウォント・ユー・バック」「ABC」「ラヴ・ユー・セイヴ」と続く恒例のメドレーもあり、終盤の「ディス・プレイス・ホテル」(「ハートブレイク・ホテル」)ではかっとぶシンセとうねるギターが興奮を高揚させるなかで、思う存分のパフォーマンスを披露してくれた。
 ジャーメインはソロ曲「ダイナマイト」や、マイケルのフォトグラフを背景に彼への鎮魂歌となった「ゴーン・トゥー・スーン」など、多くでメイン・ヴォーカルをとった。それを聴くと、マイケルのパートが如何に容易ではなく、マイケルの天才性がさらに浮き彫りになった。一方で、ジャーメインが参加しなければ、この“ジャクソンズ”としてのツアーも成り立たなかったんだということも。

 それでも、ショーとしては素晴らしいものとなった。長男(61歳!)のジャッキーもジャーメインに負けじとクールに決めれば、ティトはリード・ギターを演奏しながら粋に佇む。そして、4人のなかでは一番末弟のマーロン(といっても55歳)がくねくねとステージ狭しとダンスを繰り広げる茶目っ気をみせてくれた。バック従えたバンド陣も強力。ジャネットの音楽監督でもあったレックス・サラス、“THIS IS IT”で選ばれたギタリスト、トーマス・オーガン、さらにバック・コーラスには、MISIAのライヴでも知られる“JP”ことユアン・パブロも加わり、代わる代わるマイケルのパートを歌っていた4人のヴォーカルとハーモニーを重ねていた。

 マイケルと比べるのは野暮だが、それでもシンセのオーケストラヒッツに合わせて決めポーズをとったり、4人がシンクロしたライン・ステップを踏んだりするだけで楽曲の興奮度が急上昇するのは、ジャクソンズでしか演出出来ない“マジック”だ。それには、当然、彼らが手掛けた楽曲の質が非常に高いということと、バンド・メンバーを含めて演奏能力が極めて優れていることが下敷きであることはいうまでもない。そして、懐かしい楽曲群だけれども、興奮を呼び覚ますタイムリーな味付け。観客を当時の時代へ遡らせるというよりは、ホール全体の“今”を当時の時代のような空気に変えてしまう、タイムリーな感覚。その楽曲と気持ちをシンクロさせるフレッシュなアレンジが、熱量を呼び覚ましてやまない理由だろう。

 満員にはならなかったが、その会場に駆けつけた多くの人は、ジャクソン・ファミリーたちは現在進行形であることに共鳴したはずだ。そして、彼らの楽曲は単なるクラシックスではなく、錆付かない魔法の宝石たちだということもあらためて感じたのではないか。

 公演後、グッズ売り場にはもの凄い行列。しかもすでに一部の衣服とパンフレットは売り切れていた。アフロヘアに揃いのTシャツやコスプレをする人、なかには帯にマイケルの全身像の刺繍が入っている着物を着た妙齢の女性もいて、その人気の高さに圧倒された一夜であった。
 
◇◇◇

<SET LIST>
00 INTRODUCTION
01 Can You Feel It
02 Blame It On The Boogie
03 I Wanna Be Where You Are (Michael Jackson)
04 Rock With You (Michael Jackson)
05 Show You The Way to Go
06 Lovely One
07 VIDEO INTURLUDE
08 Looking Through The Windows
09 Time Waits For No One
10 Heaven Knows I Love You Girl
11 Push Me Away
12 Man Of War
13 Gone Too Soon (Michael Jackson)(Jermaine's Solo)
14 MEDLEY
I Want You Back
ABC
The Love You Save
Never Can Say Goodbye
All I Do Is Think Of You
I'll Be There
15 Dynamite (Jermaine Jackson)(Jermaine's Solo)
16 Can't Let Her Get Away (Michael Jackson)(Including of MEMBER INTRODUCING)
17 This Place Hotel(a.k.a. Michael's“Heartbreak Hotel”)
18 Wanna Be Startin' Somethin' (Michael Jackson)
19 Don't Stop 'Til You Get Enough (Michael Jackson)
20 Shake Your Body(Down to the Ground)

<MEMBER>
Jackie Jackson
Tito Jackson
Jermain Jackson
Marlon Jackson

Rex Salas(Music Director/key)
Kenneth Leon(key)
Kyle Bolden(g)
Thomas Organ(g)
Brandon Brown(b)
Chad Wright(ds)
Stacey Lamont Syndor (per)

Yvette Marine(cho)
Nicole Jackson(cho)
Juan Pablo“JP”Castillo(cho)


◇◇◇
The Jacksons - Unity Tour 2012


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