*** june typhoon tokyo ***

Case & Montell Jordan@Billboard Live TOKYO

Casemontell_jordan

 ビルボードライブ東京でケイスとモンテル・ジョーダンのショウ。ともに90年代半ば以降に脚光を浴びたR&Bシンガーだが、今年に入ってから、ケイスは『THE ROSE EXPERIENCE』を、モンテル・ジョーダンは『LET IT RAIN』をリリースしている。

 バック・バンドはどちらも共通、左からコーラスのクリス・ボイドとトレイシー・ウェザースプーン、ギターのジェレミア・マクコニコ、ドラムのラローン・マクシミリアン、キーボード兼ベースのブランドン・ホッジ、キーボードのフィリップ・ウェザースプーンといった布陣。ラローンのドラムはかなり乾いた音で、キーボード兼ベースのブランドンはアフロ姿が目立っていた。コーラスの2人は当初は腰掛けながら、後半からは立ち上がってというスタイル。CDのバック・ヴォーカルを流した上にコーラスを乗せている感じなので、それほど強烈な印象はなかった。

 最初はケイスが登場。相変わらずのキャップを後ろ被りでサングラス姿。ヤンチャな面影を残しつつ、時折“ハハハッ"と笑うところが憎めない感じで、思ったより若々しく見えた。『ラッシュアワー』サントラに収録のジョーとのデュエット曲「FADED PICTURES」からスタートし、“ウーナナナナナナ”と時にメロウに時に張り詰めた熱唱をみせると、2曲目の「I'm missing you」でもフェイクやキーンと突き抜けるような熱情的なヴォーカルでセクシーな夜を彩っていく。
 ケイスのヴォーカルは自身の挫折と経験がそうさせるのか、非常に説得力に溢れている。そこには鋭くも繊細な感情が含まれていて、かつ特に女性を酔わせるようなロマンティックな色香も持ち合わせている。ただ、今回のステージではそれが必ずしもいい方向に働かなかったのか、オーディエンスのレスポンスがそれほどではなかったのが残念なところ。それは、女性客が圧倒的だったということと、日本人のシャイネス、さらに集客数の少なさにもあったかもしれない。ステージ同階のフロアは8割強の入りだったが、ギャラリー・フロア、特に2、3階にあたるところはほとんど客がいなかった。全体で5、6割の入りで、これではヴォルテージをあげるのも難しい(そして毎回言うようだが、サラッと英語を話されても、解からない人多数なので、客入りが多ければ雰囲気と熱気で多くの人がその勢いに乗せられたりするのだが……)。ただ、それでも献身的に場を盛り上げようと務め、女性の手にキスやハグ(1人の女性の手を引いてステージにあげようとするも、照れたのかその女性はステージにあがらずその場のハグで終わってしまったのは残念)をしたり、客席に入っていって感情の魂を込めて歌い上げたり(この時はハイタッチやハグの嵐で盛り上がった)していた。出来ればもう少し長いセットで聴きたかったところだ。

 続いてモンテル・ジョーダン。白のハットと白のジャケット&パンツという白ずくめのダンディな衣装にサングラス。それにしても背がデカイ。先ほどのケイスがそれほど大きくないために、いっそうデカく見える。(笑)
 ケイスが盛り上げたところでの登場だったので、こちらは総立ちで迎える。ファン層がモンテル・ジョーダン>ケイスだったのかもしれないが、なんだかケイスが前座みたいな感じになってしまった。(苦笑) モンテルは陽気に語りかけるということもあり、オーディエンスにも馴染みやすかったのかもしれない。「I LIKE」でのっけから盛り上げていく。
 「前はラップ・シンガーだったんだよ」との前振りから「FALLING」に入ったり、「THIS IS HOW WE DO IT」をサラッとア・カペラで歌い出すモンテルに歓声をあげるオーディエンスに対して、「おい、おい、おい、ちょっと待ってよ、まだ早い、早い。落ち着いてくれ(笑)」となだめたりと茶目っ気あるキュートな佇まいと、グルーヴィなミッド・スローで「レィディース…」と腰を揺らすようなしぐさで挑発したりするセクシーな部分、そして全体に漂うジェントルマンの雰囲気と、これらに女性たちはすっかりやられていたようで、ほぼスタンディングのままでラストまで進む。
 本編ラストはノリのいいダンス・チューン「THIS IS HOW WE DO IT」でヒート・アップ。この楽曲を演奏すればアガるのは解かっているんだけれども、やっぱりこのグルーヴはたまらないと実感。この曲の前でジャケットを脱いだモンテルもステージ狭しと煽ってステージ・アウト。

 アンコールは先にモンテル・ジョーダンが入って、ケイスを呼び込む。ならば、ケイスをフィーチャーした「Coulda, Woulda, Shoulda」か? と期待するも、選曲されたのはモンテルのパーティ・チューン「GET IT ON TONTE」。これはもちろん盛り上がるしやって“当然(?)”の曲なのだが、ならば「Coulda, Woulda, Shoulda」と2曲やってくれればなぁ、と思った次第。モンテルもケイスはステージ上でガッチリ握手&ハグ。旧知のデフ・ジャム出身の2人の良さが感じられたステージで幕となった。

 ケイスは感情をほとばしらせ、モンテルは“褐色の”美声を繰り出してのステージ。インディでのリリースとなり以前ほどスポットライトを浴びていないのかもしれないが、現行のR&B/ヒップホップ・シーンの安直さや脆さを見極めたような、オリジナリティを持ってのサウンド・メイクやヴォーカリゼーションはさすが百戦錬磨といったところ。しかも、栄華を誇った90年代サウンドに執着するのではなく、そこをベースにしながらも真摯に流行性とも向き合うというアティテュードが潔い。こういったアーティストがより多くの日本のR&Bファンに聴かれるといいのだがなぁ、と思いながら、帰途に着いたのだった。

 それにしても、ケイスはちょっと可哀想だったなぁ。(苦笑) これに懲りずにまた来日して欲しいものだ。


 セット・リストは鋭意フル回転で記憶捜索中デス。のちほど、追記します。


◇◇◇


<SET LIST>

≪CASE SECTION≫
00 INTRO
01 FADED PICTURES
02 I'M MISSING YOU
03 LOVELY
04 HAPPILY EVER AFTER
05 TOUCH ME TEASE ME

≪MONTELL JORDAN SECTION≫
01 I LIKE
02 SOMETHIN' 4 DA HONEY (a cappella)
03 LET'S Ride (a cappella)
04 FALLING
05 YOU MUST HAVE BEEN
06 WHAT'S ON TONIGHT
07 THIS IS HOW WE DO IT
≪ENCORE≫
08 GET IT ON TONTE (MONTELL JORDAN & CASE)


<MEMBER>

Case(Vocals)
Montell Jordan(Vocals)
Chris Boyd(Background Vocals)
Tracey Weatherspoon(Background Vocals)
Jeremiah McConico(Guitar)
Phillip Weatherspoon(Keyboards/Chorus)
Brandon Hodge(Bass/Keyboards)
Larone McMillian(Drums)

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