前半は分子生物学の歴史をたどる話が続く、その中に著者のアメリカの生物学研究所の研究員としての体験がエッセイ風に挿入されている。野口英世の業績の問題点とか、DNA二重ラセン構造解明の真相とかが興味深く書かれている。
中盤はいよいよ「生物とは何か?」の問題に入り込んでいる。
とりわけ印象的なのはシェ-ンハイマーと言う人のネズミの研究だ。外から摂取されたたんぱく質や脂肪が体内のものと驚くべき速さで代謝として入れ替わっていると言う事実である。
従って人間の肉体も半年や一年で殆ど入れ替わっていると言えるらしい。
そのような代謝の流れを著者は「動的平衡状態」と名づけ生命の定義としている。その絶え間なく壊される秩序を維持するヒントとして、たんぱく質の相補性に着目する。後半では著者の専門分野の膵臓のたんぱく質の研究の話へと移ってゆく。
専門分野の研究の話は難解ですが、その中に生命について考えさせられるエピソードがあります。
実験用のノックアウトマウスの話です。GP2と言う膵臓に最も多く見られるたんぱく質があり、著者がそれを全く欠いたノックアウトマウスを作る事に成功した実験です。
しかしこのマウスは予想に反して全く正常なマウスでどこにも欠点はなかったと言う話である。
逆に他の実験で遺伝子を少しだけいじって付加するノックインマウスの場合、徐々に異常が現れ致命的なものになったと言う。
この本では生命の本質について、最先端の分子生物学からの奥深い示唆に富んだ内容となっています。
今後、生命に関する衝撃的な発見が続々と出てくる事を予感させる本です。
中盤はいよいよ「生物とは何か?」の問題に入り込んでいる。
とりわけ印象的なのはシェ-ンハイマーと言う人のネズミの研究だ。外から摂取されたたんぱく質や脂肪が体内のものと驚くべき速さで代謝として入れ替わっていると言う事実である。
従って人間の肉体も半年や一年で殆ど入れ替わっていると言えるらしい。
そのような代謝の流れを著者は「動的平衡状態」と名づけ生命の定義としている。その絶え間なく壊される秩序を維持するヒントとして、たんぱく質の相補性に着目する。後半では著者の専門分野の膵臓のたんぱく質の研究の話へと移ってゆく。
専門分野の研究の話は難解ですが、その中に生命について考えさせられるエピソードがあります。
実験用のノックアウトマウスの話です。GP2と言う膵臓に最も多く見られるたんぱく質があり、著者がそれを全く欠いたノックアウトマウスを作る事に成功した実験です。
しかしこのマウスは予想に反して全く正常なマウスでどこにも欠点はなかったと言う話である。
逆に他の実験で遺伝子を少しだけいじって付加するノックインマウスの場合、徐々に異常が現れ致命的なものになったと言う。
この本では生命の本質について、最先端の分子生物学からの奥深い示唆に富んだ内容となっています。
今後、生命に関する衝撃的な発見が続々と出てくる事を予感させる本です。