平成18(2006)年7月31日[月]
■【主張】同和行政見直し 差別解消の原点に戻ろう
地方自治体が同和行政の見直しを迫られている。特に多くの被差別がある大阪市では、同和行政をめぐる不祥事が相次いだこともあり、すでに13事業について来年度から廃止されるなどの見通しとなっている。このさい差別解消の原点に戻って考えるべきだ。
同和行政が本格的に取り組まれ出したのは昭和44年、内閣同和対策審議会の答申をうけて同和対策事業特別措置法ができてからである。
それまで被差別のほとんどは劣悪な住環境にあった。根強い差別によって就職の機会が奪われ、経済的困窮で十分な教育を受けられない子供たちも多かった。それが新たな差別意識を生んでいくという状態だった。
こうした「差別の循環」を断ち切るためには「差別解消」を叫ぶだけではなく、行政の力で環境を改善し、教育を充実させ、雇用を促進していかなければならない。それが同和行政の原点であった。その後、住民らの要求も受けながら同和対策が進められた結果、住宅を中心に被差別をとりまく環境は相当程度改善された。その意味では差別解消に向け、大きな役割を果たしたことは間違いない。
しかし、その一方でさまざまな問題も起きてきた。特に今年になって大阪市内の解放同盟支部長でもあった財団法人の理事長が、事実上の同和対策事業として市開発公社から委託されていた駐車場の売上金から1億円以上を着服したとして逮捕された。
差別解消という崇高な理念からかけ離れた行為であることは言うまでもないが、責任は行政側にもある。ひとつの同和対策事業が軌道に乗ると、理念に合致したものかどうか精査することもなく漫然と続ける。そうした「事なかれ主義」が、利権漁(あさ)りを許すという結果に繋(つな)がったといえる。新たな差別意識を助長する恐れもある。
不祥事に加え、時限立法だった一連の特別措置法が4年前に失効し、国からの財政的裏付けがなくなったことも考えれば、見直しは当然だろう。
それも数字合わせばかりではなく、差別解消のため必要なものとそうでないものを峻別(しゅんべつ)すべきだ。「モノ」中心の行政からの転換も必要だろう。環境は改善されても、差別そのものがなくなったとは決して言えないからだ。
■【主張】露・日本センター 存廃含め全面的見直しを
日本政府がロシアの市場経済改革支援の一環として設置した「日本センター」で、「日露関係発展には北方領土問題の解決よりビジネスを優先すべきだ」とする内容の授業がロシアの若者相手に行われている実態が明らかになった。日本が運営資金を全面負担しながら、領土問題に関するロシア政府の立場を宣伝する場に逆利用されているわけだ。
問題の授業はモスクワ大学構内の日本センターで今年2月ごろ、ロシア人の女性教官が自分で作成した日本人とロシア人の会話例文を読み上げ、受講者たちに口頭で日本語、ロシア語いずれかに翻訳させる内容だった。
この会話文ではロシア人が「両国間の交流と四島の問題は別々に検討する方がいい」として、解決が困難な領土問題の棚上げと合弁企業設立を勧め、シベリアの石油開発、極東やカムチャツカの観光開発への日本の投資の必要性などを持ち出している。この主張に対し日本人も「その通りだ」とロシア人に賛同する発言をしている。
この教官は同じ内容の授業を何回も繰り返していたとされるが、センターの日本人所長は授業内容を事前にチェックしていなかったとみられる。
領土交渉はいま、ロシア側が「四島の主権はロシアにあり、これは国際法で確認されている」などと歴史的事実をねじ曲げた主張に固執し、暗礁に乗り上げている。こんな時こそ、日本センターは戦争直後にスターリンが四島を不法占拠した事実をロシア人に執拗(しつよう)に説くべきなのに、現実は逆だ。
ソ連崩壊後の1994年、モスクワ(2カ所)やサンクトペテルブルク、ウラジオストクなどロシア国内7カ所に設置した日本センターでは将来のロシア経済を担う人材育成を主目的に、経営関連講座、日本語講座などの活動を続けてきた。所長にはロシア駐在の経験豊富な元商社マンらが就任、これまでの受講者は3万人を超え、ここ数年は多額の人件費を含め毎年平均7億円前後もの予算が費やされてきた。
しかし、ロシア経済は石油の生産・輸出で活況を呈しており、日本センター内外では「存在意義が薄れた」「役割は終わった」などの声も上がっている。政府はこのさい、センターの存廃問題自体を含め、早急にその活動の全面的な見直しを断行すべきだ。
これのみならず全て見直せ。パープー共。
■【主張】同和行政見直し 差別解消の原点に戻ろう
地方自治体が同和行政の見直しを迫られている。特に多くの被差別がある大阪市では、同和行政をめぐる不祥事が相次いだこともあり、すでに13事業について来年度から廃止されるなどの見通しとなっている。このさい差別解消の原点に戻って考えるべきだ。
同和行政が本格的に取り組まれ出したのは昭和44年、内閣同和対策審議会の答申をうけて同和対策事業特別措置法ができてからである。
それまで被差別のほとんどは劣悪な住環境にあった。根強い差別によって就職の機会が奪われ、経済的困窮で十分な教育を受けられない子供たちも多かった。それが新たな差別意識を生んでいくという状態だった。
こうした「差別の循環」を断ち切るためには「差別解消」を叫ぶだけではなく、行政の力で環境を改善し、教育を充実させ、雇用を促進していかなければならない。それが同和行政の原点であった。その後、住民らの要求も受けながら同和対策が進められた結果、住宅を中心に被差別をとりまく環境は相当程度改善された。その意味では差別解消に向け、大きな役割を果たしたことは間違いない。
しかし、その一方でさまざまな問題も起きてきた。特に今年になって大阪市内の解放同盟支部長でもあった財団法人の理事長が、事実上の同和対策事業として市開発公社から委託されていた駐車場の売上金から1億円以上を着服したとして逮捕された。
差別解消という崇高な理念からかけ離れた行為であることは言うまでもないが、責任は行政側にもある。ひとつの同和対策事業が軌道に乗ると、理念に合致したものかどうか精査することもなく漫然と続ける。そうした「事なかれ主義」が、利権漁(あさ)りを許すという結果に繋(つな)がったといえる。新たな差別意識を助長する恐れもある。
不祥事に加え、時限立法だった一連の特別措置法が4年前に失効し、国からの財政的裏付けがなくなったことも考えれば、見直しは当然だろう。
それも数字合わせばかりではなく、差別解消のため必要なものとそうでないものを峻別(しゅんべつ)すべきだ。「モノ」中心の行政からの転換も必要だろう。環境は改善されても、差別そのものがなくなったとは決して言えないからだ。
■【主張】露・日本センター 存廃含め全面的見直しを
日本政府がロシアの市場経済改革支援の一環として設置した「日本センター」で、「日露関係発展には北方領土問題の解決よりビジネスを優先すべきだ」とする内容の授業がロシアの若者相手に行われている実態が明らかになった。日本が運営資金を全面負担しながら、領土問題に関するロシア政府の立場を宣伝する場に逆利用されているわけだ。
問題の授業はモスクワ大学構内の日本センターで今年2月ごろ、ロシア人の女性教官が自分で作成した日本人とロシア人の会話例文を読み上げ、受講者たちに口頭で日本語、ロシア語いずれかに翻訳させる内容だった。
この会話文ではロシア人が「両国間の交流と四島の問題は別々に検討する方がいい」として、解決が困難な領土問題の棚上げと合弁企業設立を勧め、シベリアの石油開発、極東やカムチャツカの観光開発への日本の投資の必要性などを持ち出している。この主張に対し日本人も「その通りだ」とロシア人に賛同する発言をしている。
この教官は同じ内容の授業を何回も繰り返していたとされるが、センターの日本人所長は授業内容を事前にチェックしていなかったとみられる。
領土交渉はいま、ロシア側が「四島の主権はロシアにあり、これは国際法で確認されている」などと歴史的事実をねじ曲げた主張に固執し、暗礁に乗り上げている。こんな時こそ、日本センターは戦争直後にスターリンが四島を不法占拠した事実をロシア人に執拗(しつよう)に説くべきなのに、現実は逆だ。
ソ連崩壊後の1994年、モスクワ(2カ所)やサンクトペテルブルク、ウラジオストクなどロシア国内7カ所に設置した日本センターでは将来のロシア経済を担う人材育成を主目的に、経営関連講座、日本語講座などの活動を続けてきた。所長にはロシア駐在の経験豊富な元商社マンらが就任、これまでの受講者は3万人を超え、ここ数年は多額の人件費を含め毎年平均7億円前後もの予算が費やされてきた。
しかし、ロシア経済は石油の生産・輸出で活況を呈しており、日本センター内外では「存在意義が薄れた」「役割は終わった」などの声も上がっている。政府はこのさい、センターの存廃問題自体を含め、早急にその活動の全面的な見直しを断行すべきだ。
これのみならず全て見直せ。パープー共。