これは創作です Ⅲ
お店をやっていた時に出会った人や忘れられない場面を参考に創作したもの
どちらかというとその場面場面の好きな雰囲気を情景描写したもので、話に発展性はないことが多いです
祐一の章~
こんな事はもう初めで終わりに違いないと今は思う。
私はお店をやって初めて、客である祐一を自分の中に受け入れてしまった。
初めて祐一がお店に現れたのは、6月。
お店を始めて1年半がたとうとしている頃だった。
東京は、ちょうどこれから梅雨という時期。
常連の山ちゃんがフラッと連れてきてくれたのだ。
なんでも二人が共通のファンだというKというアーティストのライブに行ってきたらしい。
私は、Kのことを全く知らない。名前すら聞いたことがなかったので、Kに関してはその時はさほど関心がなかった。
そして初めて会ったその日は、祐一にもさほど関心がもてなかった。
ただ一般的に見て全体に整っている人だなと思ったのと、
立ち居振る舞いがなんてカッコつけた人なのという印象だった。
その後も祐一はよく一人でお店に現れた。
お店に来るとまず上着を脱いでハンガーに掛けに行く、
そしてカウンター席におもむろに座る、
その立ち居振る舞いのいちいちが、相当カッコつけてて気にはなった。
おまけにお勘定の際に出す財布は私の中でチャラ男が持つイメージのあるブランドの物で、香水も女性を充分意識させるものをつけていた。
しかし私から見れば、そのどれもが祐一には不似合いなのだ。
私の中の祐一の位置づけは、決して垢抜けないタイプの純朴な田舎から出てきて数年経った青年というものだった。
そのうちにそれも祐一の個性の一部だなと私は思えるようになってきていた。
来ても話をすることもなく携帯でメールしていたり、本を読んでいたり、
こちらもだんだん心得てきていて、ほっておいたら結構居心地がよさそうだった。
祐一は山ちゃんよりも頻繁に来るようになっていて、しかも閉店の3時になっても帰らなかったりするのだ。
今までそんなお客さんはいなくて、私はすっかり面食らっていた。
最初のうちはこちらが気を使って、始発まで時間をつぶすために好きでもないカラオケを付き合ってあげたり、話に付き合ったりしていた。
その頃は祐一に対してそれ位の思いしかなかったのだろう。今思うと。
しかも祐一は感情を表さないため、私の中では何を考えているのかわからない人というイメージになっていた。
なにより、なぜうちの店じゃなきゃいけないのだろうという疑問さえうかんできていた。
だって、メールや読書するのだったら、駅前のコーヒーショップでも充分じゃないかと。
単にうちが遅くまで営業していて、自分の住む沿線にあるからなのか?
そんなことを思いながら毎日お店にでていた。
ところがある日、予期せぬ事が起こってしまった。
続く
お店をやっていた時に出会った人や忘れられない場面を参考に創作したもの
どちらかというとその場面場面の好きな雰囲気を情景描写したもので、話に発展性はないことが多いです
祐一の章~
こんな事はもう初めで終わりに違いないと今は思う。
私はお店をやって初めて、客である祐一を自分の中に受け入れてしまった。
初めて祐一がお店に現れたのは、6月。
お店を始めて1年半がたとうとしている頃だった。
東京は、ちょうどこれから梅雨という時期。
常連の山ちゃんがフラッと連れてきてくれたのだ。
なんでも二人が共通のファンだというKというアーティストのライブに行ってきたらしい。
私は、Kのことを全く知らない。名前すら聞いたことがなかったので、Kに関してはその時はさほど関心がなかった。
そして初めて会ったその日は、祐一にもさほど関心がもてなかった。
ただ一般的に見て全体に整っている人だなと思ったのと、
立ち居振る舞いがなんてカッコつけた人なのという印象だった。
その後も祐一はよく一人でお店に現れた。
お店に来るとまず上着を脱いでハンガーに掛けに行く、
そしてカウンター席におもむろに座る、
その立ち居振る舞いのいちいちが、相当カッコつけてて気にはなった。
おまけにお勘定の際に出す財布は私の中でチャラ男が持つイメージのあるブランドの物で、香水も女性を充分意識させるものをつけていた。
しかし私から見れば、そのどれもが祐一には不似合いなのだ。
私の中の祐一の位置づけは、決して垢抜けないタイプの純朴な田舎から出てきて数年経った青年というものだった。
そのうちにそれも祐一の個性の一部だなと私は思えるようになってきていた。
来ても話をすることもなく携帯でメールしていたり、本を読んでいたり、
こちらもだんだん心得てきていて、ほっておいたら結構居心地がよさそうだった。
祐一は山ちゃんよりも頻繁に来るようになっていて、しかも閉店の3時になっても帰らなかったりするのだ。
今までそんなお客さんはいなくて、私はすっかり面食らっていた。
最初のうちはこちらが気を使って、始発まで時間をつぶすために好きでもないカラオケを付き合ってあげたり、話に付き合ったりしていた。
その頃は祐一に対してそれ位の思いしかなかったのだろう。今思うと。
しかも祐一は感情を表さないため、私の中では何を考えているのかわからない人というイメージになっていた。
なにより、なぜうちの店じゃなきゃいけないのだろうという疑問さえうかんできていた。
だって、メールや読書するのだったら、駅前のコーヒーショップでも充分じゃないかと。
単にうちが遅くまで営業していて、自分の住む沿線にあるからなのか?
そんなことを思いながら毎日お店にでていた。
ところがある日、予期せぬ事が起こってしまった。
続く