高尿酸血症とは?
東京逓信病院 臨床検査科 小林照明
【高尿酸血症とは】
血清尿酸値が 7.0mg/dL (血液100mLの中に尿酸7mgが溶けている状態)を超えた場合を高尿酸血症といいます。そして、8.0mg/dL を超える状態で治療せずに長期間放置すると、いろいろな病気のもとになることが知られています。
尿酸は、細胞の核に含まれるプリン体が肝臓で分解されてできる老廃物で、主に腎臓から体の外に排泄されます。体の中では毎日一定量の尿酸が作られたり摂取されたりし、それと同じ量の尿酸が主に腎臓から体の外へ排泄されます。こうして体の中の尿酸量は一定に保たれているのです。ところが、腎臓からの尿酸排泄量が低下したり、尿酸の産生量や摂取量が増えたりすると、体の中の尿酸量が増大して高尿酸血症になるのです。DNAの合成に不可欠な物質であるプリン体の産生過剰あるいは排泄低下がその主な原因になります。
【高尿酸血症を放置すると】
痛風:激痛を伴う関節炎で、足の親指側の中足趾関節というところに好発します。初発で50%、二回目以降で90%がそこに発症します。
痛風結節:手足、耳介の皮下に生じることが多く関節周囲にも生じることがあります。
尿酸結石:腎臓や尿路に尿酸結晶がたまり、尿路結石症を生じやすくなります。腎障害:長期にわたると腎不全などの腎臓病を起こします。
【高尿酸血症と言われたら】
(1)食事療法で血清尿酸値をコントロールします
もっとも重要なことは、アルコールの適正な摂取です。特にビールの摂取量は少ないほうが好ましいでしょう。食事の影響はそれほど強くはないものの、牛肉などプリン体の多い食事は制限するべきと考えられています。水分の摂取を多くすれば、尿酸の尿中への排泄が促進され、発作を予防します。
(2)尿酸値を下げる薬で血清尿酸値をコントロールします
食事の調節やアルコール制限などをしても血清尿酸値が高い人は薬物療法を行います。血清尿酸値を下げる治療は、痛風発作の痛みをとるだけの消炎鎮痛剤による対症療法に対し、高尿酸血症・痛風そのものを改善する根本療法となります。
(3)高尿酸血症は長期間かけて治療しましょう
薬を服用することによって、血清尿酸値は正常にもどります。しかし、高尿酸血症そのものは非常に治りにくい病気なので、薬を飲むのをやめるとだいたい2週間程度でもとの高尿酸血症の状態にもどってしまいます。ですから、根気よく薬を飲み続けることが大切です。薬を中止できるかどうかは、自分では勝手に判断せずに、必ず主治医と相談しましょう。
【定期検査を受けて合併症を防ぐ】
高尿酸血症でもっとこわいのは、腎臓の合併症です。腎臓に尿酸がたまると腎臓の働きがおとろえ、腎不全の可能性が生じます。また、高尿酸血症には血管や心臓の合併症もあり、とくに糖尿病や高脂血症があると、こうした合併症の危険度が増します。このこわい合併症や痛風発作を防ぐには、定期検査で尿酸値を測り、高尿酸血症を早く見つけなくてはなりません。血清尿酸値の高い方は定期的に検査を受けましょう。
【特にJONのおじさま方へ】
事あるごとに皆で集い、そして杯を交わしていることと思います。そろそろ自分の体を労わってあげても良いころかもしれませんね。体が資本の方が多いと思います。最も怖い腎臓の合併症や血管や心臓の合併症を防ぐには、日頃の
食事とお酒の管理が大変重要だということです。しつこいようですが血清尿酸値の高い方は定期的に検査を受けましょう。(上のアルコール飲料中のプリン体含量参照)2011.03.11記:小林照明
【お詫び】
投稿してから気が付きました。プリン体の一覧表が小さすぎることに・・・・・・!!
(どうもうまく拡大できません。お許しください。必要な方はメールなどでお声掛けください。添付でお送りいたします)