ストックホルムはすっかり秋です。私が住むアパートの庭にある菩提樹の木もすっかり色づき、葉っぱをどんどん落としています。気温も今週は日中の最高気温が5−6度の日が続きました。雨も多く、秋だなぁと感じる今日この頃です。
さて私Kは9月29日の金曜日にB型肝炎のワクチンの3回目を摂取しに行きました。協力隊の時にはA型肝炎のガンマグロブリンは打ってもらえましたし、その後もアフリカに調査に行ったりする前などにA型肝炎のワクチンは打っていました。現在はA型肝炎に関しては一生有効になっているので、今後打つ必要はないのですが、私はB型肝炎のワクチンは打ったことがなかったのです。私が中国に派遣になった当時、肝炎が中国で流行していて、中国隊だけはB型肝炎のワクチンも打ってあげようという案もあったそうなのですが、ワクチンが高額であることと、医療従事者でもない限りB型は必要ないだろうという結果になったという話で、結局B型は打たずに行きました(医療従事者は受けていたと思いますが)。
ところが現在医療従事者として仕事をしている私は、職場で2回ほど前立腺癌の治療で使った針を手に刺してしまったのです。幸い患者さんの血液検査をして、肝炎やHIVを調べたところすべて陰性だったので、私が感染の憂き目を見ることはなかったのですが、B型肝炎のワクチンを打つべしというチーフからの指令が出て、打つことになったのです。最初の2回は何の問題もなかったのですが、3回目の摂取の時は前2回とは違う看護師さんで、注射のあとがとにかくひどく痛み、翌日から身体中の節々が痛み始め、熱っぽい感じになり(実際に熱はなかったのですが)、頭痛や胃痛まで出てきました。そしてその翌週は他の問題がだんだん消えて行くと同時に、胃の痛みがひどくなり、食べ物がろくに食べられなくなってしまったのです。結局2週間近くもスープとお粥、リンゴと梨だけで過ごしたのですが、一昨日から白身魚くらいは食べられるようになってきました。もともと17日の火曜日の午後家庭医との予約が別件で入れてあったのですが、とてもそれまで待てないので、今週の火曜日の朝に飛び込みで家庭医に会いに行きました。胃薬を処方してもらって薬局で買い、その足で職場に向かう途中、もう一人のOGであるFと職場の近くでばったり出会いました。私たちの職場は道路を隔てて向かい合っているので、職場の近くで彼女に会うことは特に不思議ではなく、Fは昼食を取りに出かけるところでした。私が家庭医に行ってきたこと、何日間もろくなものを口にしていないことを伝えたら、確かに歩く姿がフラフラしていてバランスが悪そうだというコメントが来ました。
そんな事情でノーベル文学賞の発表があった後の週末は、キンドル版で”私を離さないで”と”日の名残”を買って、2日間ベッドの中で読んでいました。恥ずかしながらイシグロ氏の本はそれまで読んだことがなかったのです。その前に職場で、今年も日本人が自然科学の分野でノーベル賞を受賞できるだろうかと期待していました。日本人が受賞すると、ストックホルムの大使館にいらっしゃる大使ご夫妻の主催で、高級ホテルのグランド・ホテルでレセプションが催され、私たち日本人研究者もご招待いただけるのです。ここ3年間連続で日本人の受賞があったので、毎年出席させていただいていたのですが、こういう非日常的な体験はとても素敵です。結局自然科学3賞の受賞がかなわなかったことが判明した時、職場で同僚とそんな話をしていたら、彼が”でもまだ文学賞があるから、取れるかもしれないよ”と言っていました。彼は村上春樹氏を念頭に置いていたようなのですが、結局イギリス国籍とはいえ日本人であるイシグロ氏が受賞されたので、彼は自分の言ったことが完全に当たらずといえども、完全に外れでもなかったので嬉しそうでした。
職場のドクターも”日本人が文学賞を取ったね”と声をかけてくれ、イシグロ氏の本は読んだことがないけれど、随分昔に映画を見たことがあると言っていました。その時にはその映画がイシグロ氏の小説に基づいているとは知らなかったそうです。どの映画が聞いて見たら、”日の名残”だそうで、アンソニー・ホプキンスが出ていることがわかったので、今日の土曜日家でユーチューブで私も映画を見ました。彼はいつもの通りとても良い味を出していますね。
秋は文化の秋、食欲の秋、スポーツの秋などと色々形容されますが、現時点では食欲の秋は私には無関係。昨日はちょっと素敵なレストランで日本人女性4人で作っている”美女会”の会合だったのですが、私は欠席。文化の秋は多少胃が痛くても楽しめるので、ここ最近2回ほど、イギリスのロイヤル・オペラを映画館のスクリーンで見るというプログラムに行きました。最初はモーツァルトの魔笛、2回目はプッチーニのラ・ボエーム。ラ・ボエームは私のお気に入りのオペラです。あのボヘミアン達がなんとなく羨ましいのですね。この秋から来年の春にかけては、コンサート・ハウスのチケットのパッケージが買ってあり、そのパッケージに含まれる最初のコンサートが今度の木曜日にあります。ストラヴィンスキーです。今まで何度もこの手のパッケージを買うことを考えたのですが、それよりも自分が聴きたいコンサートをその都度買ったほうがいいと考えて買わずに来ました。でもこういうパッケージを買っておくと、普段聴かない作曲家の音楽も含まれているので聴くことになり、新しい開拓をするのにはいいかもしれないと思って、パッケージを買ってみたのです。事実ストラヴィンスキーは私が積極的に聴く作曲家ではありませんし、後でバルトークなども登場しますが、こちらも私が積極的に聴く人ではありません。そういう意味で、新しく開拓できるのはいいことだと思っています。スポーツの秋も私はちょっと無縁ですが、夏以降ステッパーを購入して、毎日それでステップを踏んで足腰を鍛えています。
話は変わりますが、私は11月の末に1週間ほど帰国することにしました。1年に2回帰国するのは今年が初めてです。11月28日が母の85歳の誕生日なので、そのお祝いのために帰国するのです。今まで母の誕生日には何かプレゼントを送ったり、電話をしたりする程度で済ませて来ました。おかげさまで母は特に大きな体調の問題もないし、頭もしっかりしているので、88歳の米寿に帰ればいいかななどと考えて来ました。ところが母が今年の夏、私がブータンに行っていて、すぐ下の妹もオランダに来ている間に玄関で倒れ、腰と頭を打ってしまったのです。一番下の妹がすぐ隣に住んでいるので世話をしてくれたのが幸いでした。運がいいことに骨折はなく、頭も脳に異常などは出ていなくて、打撲の痛みだけで済んだのですが、やはり元気とは言っても85際は85歳ですから、今年からは母の誕生日には毎年1週間くらい帰国しようと決めました。母は若いころ短距離が得意でよく走っていたので、未だに自分の足腰を過信しすぎる傾向があります。それで無理して転んでしまったりするのです。1週間という短い期間なので、夫は留守番です。今回の帰国中は、妹2人と私と母で、母娘水入らずの1泊旅行をすることになりました。私たち3姉妹と母だけで旅行するなんて、生まれて初めてのことです。
帰国する前の週には、日本からヨーロッパひとり旅にやってくるMさんとバルセロナで落ち合うべく、週末を利用してバルセロナに行きます。実はスペインは初めてです。Mさんとは5−6月の帰国中に会ったのですが、バルセロナでの再会なんていうのも乙ですね。
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jocv.sweden@gmail.com
さて私Kは9月29日の金曜日にB型肝炎のワクチンの3回目を摂取しに行きました。協力隊の時にはA型肝炎のガンマグロブリンは打ってもらえましたし、その後もアフリカに調査に行ったりする前などにA型肝炎のワクチンは打っていました。現在はA型肝炎に関しては一生有効になっているので、今後打つ必要はないのですが、私はB型肝炎のワクチンは打ったことがなかったのです。私が中国に派遣になった当時、肝炎が中国で流行していて、中国隊だけはB型肝炎のワクチンも打ってあげようという案もあったそうなのですが、ワクチンが高額であることと、医療従事者でもない限りB型は必要ないだろうという結果になったという話で、結局B型は打たずに行きました(医療従事者は受けていたと思いますが)。
ところが現在医療従事者として仕事をしている私は、職場で2回ほど前立腺癌の治療で使った針を手に刺してしまったのです。幸い患者さんの血液検査をして、肝炎やHIVを調べたところすべて陰性だったので、私が感染の憂き目を見ることはなかったのですが、B型肝炎のワクチンを打つべしというチーフからの指令が出て、打つことになったのです。最初の2回は何の問題もなかったのですが、3回目の摂取の時は前2回とは違う看護師さんで、注射のあとがとにかくひどく痛み、翌日から身体中の節々が痛み始め、熱っぽい感じになり(実際に熱はなかったのですが)、頭痛や胃痛まで出てきました。そしてその翌週は他の問題がだんだん消えて行くと同時に、胃の痛みがひどくなり、食べ物がろくに食べられなくなってしまったのです。結局2週間近くもスープとお粥、リンゴと梨だけで過ごしたのですが、一昨日から白身魚くらいは食べられるようになってきました。もともと17日の火曜日の午後家庭医との予約が別件で入れてあったのですが、とてもそれまで待てないので、今週の火曜日の朝に飛び込みで家庭医に会いに行きました。胃薬を処方してもらって薬局で買い、その足で職場に向かう途中、もう一人のOGであるFと職場の近くでばったり出会いました。私たちの職場は道路を隔てて向かい合っているので、職場の近くで彼女に会うことは特に不思議ではなく、Fは昼食を取りに出かけるところでした。私が家庭医に行ってきたこと、何日間もろくなものを口にしていないことを伝えたら、確かに歩く姿がフラフラしていてバランスが悪そうだというコメントが来ました。
そんな事情でノーベル文学賞の発表があった後の週末は、キンドル版で”私を離さないで”と”日の名残”を買って、2日間ベッドの中で読んでいました。恥ずかしながらイシグロ氏の本はそれまで読んだことがなかったのです。その前に職場で、今年も日本人が自然科学の分野でノーベル賞を受賞できるだろうかと期待していました。日本人が受賞すると、ストックホルムの大使館にいらっしゃる大使ご夫妻の主催で、高級ホテルのグランド・ホテルでレセプションが催され、私たち日本人研究者もご招待いただけるのです。ここ3年間連続で日本人の受賞があったので、毎年出席させていただいていたのですが、こういう非日常的な体験はとても素敵です。結局自然科学3賞の受賞がかなわなかったことが判明した時、職場で同僚とそんな話をしていたら、彼が”でもまだ文学賞があるから、取れるかもしれないよ”と言っていました。彼は村上春樹氏を念頭に置いていたようなのですが、結局イギリス国籍とはいえ日本人であるイシグロ氏が受賞されたので、彼は自分の言ったことが完全に当たらずといえども、完全に外れでもなかったので嬉しそうでした。
職場のドクターも”日本人が文学賞を取ったね”と声をかけてくれ、イシグロ氏の本は読んだことがないけれど、随分昔に映画を見たことがあると言っていました。その時にはその映画がイシグロ氏の小説に基づいているとは知らなかったそうです。どの映画が聞いて見たら、”日の名残”だそうで、アンソニー・ホプキンスが出ていることがわかったので、今日の土曜日家でユーチューブで私も映画を見ました。彼はいつもの通りとても良い味を出していますね。
秋は文化の秋、食欲の秋、スポーツの秋などと色々形容されますが、現時点では食欲の秋は私には無関係。昨日はちょっと素敵なレストランで日本人女性4人で作っている”美女会”の会合だったのですが、私は欠席。文化の秋は多少胃が痛くても楽しめるので、ここ最近2回ほど、イギリスのロイヤル・オペラを映画館のスクリーンで見るというプログラムに行きました。最初はモーツァルトの魔笛、2回目はプッチーニのラ・ボエーム。ラ・ボエームは私のお気に入りのオペラです。あのボヘミアン達がなんとなく羨ましいのですね。この秋から来年の春にかけては、コンサート・ハウスのチケットのパッケージが買ってあり、そのパッケージに含まれる最初のコンサートが今度の木曜日にあります。ストラヴィンスキーです。今まで何度もこの手のパッケージを買うことを考えたのですが、それよりも自分が聴きたいコンサートをその都度買ったほうがいいと考えて買わずに来ました。でもこういうパッケージを買っておくと、普段聴かない作曲家の音楽も含まれているので聴くことになり、新しい開拓をするのにはいいかもしれないと思って、パッケージを買ってみたのです。事実ストラヴィンスキーは私が積極的に聴く作曲家ではありませんし、後でバルトークなども登場しますが、こちらも私が積極的に聴く人ではありません。そういう意味で、新しく開拓できるのはいいことだと思っています。スポーツの秋も私はちょっと無縁ですが、夏以降ステッパーを購入して、毎日それでステップを踏んで足腰を鍛えています。
話は変わりますが、私は11月の末に1週間ほど帰国することにしました。1年に2回帰国するのは今年が初めてです。11月28日が母の85歳の誕生日なので、そのお祝いのために帰国するのです。今まで母の誕生日には何かプレゼントを送ったり、電話をしたりする程度で済ませて来ました。おかげさまで母は特に大きな体調の問題もないし、頭もしっかりしているので、88歳の米寿に帰ればいいかななどと考えて来ました。ところが母が今年の夏、私がブータンに行っていて、すぐ下の妹もオランダに来ている間に玄関で倒れ、腰と頭を打ってしまったのです。一番下の妹がすぐ隣に住んでいるので世話をしてくれたのが幸いでした。運がいいことに骨折はなく、頭も脳に異常などは出ていなくて、打撲の痛みだけで済んだのですが、やはり元気とは言っても85際は85歳ですから、今年からは母の誕生日には毎年1週間くらい帰国しようと決めました。母は若いころ短距離が得意でよく走っていたので、未だに自分の足腰を過信しすぎる傾向があります。それで無理して転んでしまったりするのです。1週間という短い期間なので、夫は留守番です。今回の帰国中は、妹2人と私と母で、母娘水入らずの1泊旅行をすることになりました。私たち3姉妹と母だけで旅行するなんて、生まれて初めてのことです。
帰国する前の週には、日本からヨーロッパひとり旅にやってくるMさんとバルセロナで落ち合うべく、週末を利用してバルセロナに行きます。実はスペインは初めてです。Mさんとは5−6月の帰国中に会ったのですが、バルセロナでの再会なんていうのも乙ですね。
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