晩秋のストックホルムから投稿です。普段は秋が短くて、夏が終わったかなぁと思っていると秋らしい日が数日続いて、突然寒くなるのですが、今年は秋が長引いているようです。一時急に寒くなったことがあって、慌てて夏物と冬物を入れ替えたのですが、その後比較的暖かい日が続いていて、最近は日中の最高気温が15度を上回るような日もあります。街中の木々は紅葉が進んでいて、我がアパートの庭の菩提樹の木もすっかり黄色に染まり、葉がパラパラとひっきりなしに散っています。庭は落ち葉でぎっしり埋まってしまいました。
今日はストックホルムのタワーマンションのお話です。下の写真のタワーマンションは、完成の暁にはツインの2棟になるタワーマンションの1つで、ツインのもう一方は最近建設が始まりました。完成しているタワーの方は高さ120メートルで35階建です。

ツインのタワーマンションの完成予定図

このタワーマンションは、私の住むアパートと職場であるカロリンスカ大学病院の途中に建てられ、今この地区はハーガ・タウンという名の下に開発が進んでいて、新カロリンスカ大学病院や医学研究施設、眼科専門の病院などをこの地区に集中させています。周囲には次々とマンションが建てられ、新しい地下鉄の駅もこの地区内にできています。地下鉄の開通にはまだ至っていませんが、ノーベル医学賞の選考をするカロリンスカ医学研究所もこの地区にあり、全て完成の暁にはストックホルム地域の医学の中心地区となる模様です。
普通のマンションが続々と建てられる中、このタワーマンションは計画が持ち上がった頃からお騒がせもので、近所の住民からの反対なども起こりました。反対の主な理由は、そんなに高い建物にする必要はないというものでしたが、私もこの計画には反対の立場でした。私の理由は、すぐそばにあるカロリンスカ病院から離着陸する救急ヘリコプターの邪魔になるというものでした。こんなに病院が近いのに、病院のヘリポートよりも高いタワーマンションを建てるなんてもってのほかだと思ったのです。結局この35階建てのタワーマンションは完成し、一番上の階が6600万クローナ(約8億2500万円)で売れたということがニュースになっていました。
写真でご覧になってお分かりの通り、床面積がそんなに大きな部屋ではないはずだし、周りには病院とマンションばかりで特別魅力的な立地条件とも言えないのですが、きっと唯一良いのは遠方に湖が見えることでしょうか。あと床面積は小さいですが、この高価なマンションは中が2階建になっているという話ですので、面積は2倍になるということですね。私はとにかくこんなものが自分の家の近くに建つだけで気に入らなかったので、救急ヘリコプターは普通の救急車のようにピーポーピーポーとサイレンを鳴らしながら飛んで、この最上階の住人に嫌がらせの一つでもしてやったらいいと、意地悪なことを考えたくらいです。
さてこのタワー、建っている方角から言って私のアパートから見えることはないだろうとたかをくくっていたら、なんと我が家のキッチンからしっかり見えてしまうのです。下の写真がそれです。

通りを隔てて建っているアパートの建物の屋根の向こうに、このタワーマンションの上の方が見えているのがお分かりかと思います。夏の間は菩提樹の葉が茂っているのであまり見えないのですが、冬になって歯が全部散ってしまえば丸見えになります。菩提樹が綺麗な黄色に紅葉しているのがお分かりいただけるかと思います。
ストックホルムは住宅難で、昔なら高校を卒業した子供たちは自分でアパートを借りて親から自立し、学生ローンとアルバイトでやりくりしながら大学生活を送ったりしていたのですが、いまでは若者が借りられるようなアパートがなかなかなくて、大学に入学したものの住居がなくて勉強できないなどという例も後をたたないようです。学生寮も長い待ち時間で、悪い条件(多くの場合高い家賃を払う)で又貸しのアパートを借りたり、小さな部屋を誰かとシェアしたり、アパートの中の一部屋を借りる(つまりアパートの持ち主とキッチンやバスルームを共用して、一部屋だけ自分の部屋として使わせてもらう)などという場合もあります。何を隠そう、私がストックホルム大学にきた時には学生寮に入るための待ち時間が3ヶ月くらいで、その間私は部屋が5部屋あるアパートに一人暮らししている、年配の女性のアパートの1部屋を借りていました。幸い3ヶ月後には学生寮を当てがわれましたが、今では学生寮の待ち時間は1年を優に超えているそうです。
そしてもう一つ問題があります。昔はアパートのほとんどは賃貸アパートで、これは公の機関である住宅オフィスが管理していました。ここに登録して自分の必要なタイプのアパートを配分されるわけで、別のアパートに移りたければ誰かとアパートを交換することになります。ストックホルム市内は人気が高いですから、市内でアパートをもらおうとなれば長い待ち時間が必要です。この待ち時間が信じられないほど長く、今では子供が生まれるとすぐに、親が子供を順番待ちに登録するそうです。
それに輪をかけるような問題は、そういう賃貸アパートが購入用のアパートに変わってしまうことです。仕組みを簡単に説明すると、賃貸アパートとして借りて、同じ建物に住んでいる住人たちが住人組合を結成して、アパートを所有している会社からその建物を買い取るのです。それは住人組合がアパートの管理運営をしていくのが条件です。そして買い取った建物に住む住人たちは、アパートの大きさなどによって決められた値段を払って、今まで賃貸アパートとして借りていたアパートを自分の所有にするのです。つまり不動産を持つことになるわけですね。私の住む地区では、大部分のアパートがこのタイプです。問題は最近の値段の値上がりが激しくて、学生が買って住めるような部屋はないこと。また値段がとても高いので、経済力のあまりない人たちには購入が難しいこと。
ちょうど今日私の住むアパートの建物の一室の住人がアパートを売るべく、自分のアパートを興味ある人たちに見せています。これは大抵不動産会社の助けを借りて行うのですが、55平米の2部屋のアパート(ちゃんとしたキッチンはなくて、キッチネットという部屋の一部にキッチンの機能がついたアパート)の初値が5100万円ほど。東京の基準から見れば大した値段ではないかもしれませんが、ほんの数年前まではその半額くらいで出ていた物件ですから、値上がりはひどいものです。しかもこれは初値で、興味のある買い手はオークションをするので、値段は釣り上がる一方。
こんな感じなので、大学生になった子供も親元を離れられず、長いこと親元にとどまる形になります。地方のカレッジのようなところでも、最近は学生寮に入るのは難しくなりつつなっているそうで、スウェーデンの住宅事情は若者の自立を遅れさせる原因の一つになっています。
今日はストックホルムのタワーマンションのお話です。下の写真のタワーマンションは、完成の暁にはツインの2棟になるタワーマンションの1つで、ツインのもう一方は最近建設が始まりました。完成しているタワーの方は高さ120メートルで35階建です。

ツインのタワーマンションの完成予定図

このタワーマンションは、私の住むアパートと職場であるカロリンスカ大学病院の途中に建てられ、今この地区はハーガ・タウンという名の下に開発が進んでいて、新カロリンスカ大学病院や医学研究施設、眼科専門の病院などをこの地区に集中させています。周囲には次々とマンションが建てられ、新しい地下鉄の駅もこの地区内にできています。地下鉄の開通にはまだ至っていませんが、ノーベル医学賞の選考をするカロリンスカ医学研究所もこの地区にあり、全て完成の暁にはストックホルム地域の医学の中心地区となる模様です。
普通のマンションが続々と建てられる中、このタワーマンションは計画が持ち上がった頃からお騒がせもので、近所の住民からの反対なども起こりました。反対の主な理由は、そんなに高い建物にする必要はないというものでしたが、私もこの計画には反対の立場でした。私の理由は、すぐそばにあるカロリンスカ病院から離着陸する救急ヘリコプターの邪魔になるというものでした。こんなに病院が近いのに、病院のヘリポートよりも高いタワーマンションを建てるなんてもってのほかだと思ったのです。結局この35階建てのタワーマンションは完成し、一番上の階が6600万クローナ(約8億2500万円)で売れたということがニュースになっていました。
写真でご覧になってお分かりの通り、床面積がそんなに大きな部屋ではないはずだし、周りには病院とマンションばかりで特別魅力的な立地条件とも言えないのですが、きっと唯一良いのは遠方に湖が見えることでしょうか。あと床面積は小さいですが、この高価なマンションは中が2階建になっているという話ですので、面積は2倍になるということですね。私はとにかくこんなものが自分の家の近くに建つだけで気に入らなかったので、救急ヘリコプターは普通の救急車のようにピーポーピーポーとサイレンを鳴らしながら飛んで、この最上階の住人に嫌がらせの一つでもしてやったらいいと、意地悪なことを考えたくらいです。
さてこのタワー、建っている方角から言って私のアパートから見えることはないだろうとたかをくくっていたら、なんと我が家のキッチンからしっかり見えてしまうのです。下の写真がそれです。

通りを隔てて建っているアパートの建物の屋根の向こうに、このタワーマンションの上の方が見えているのがお分かりかと思います。夏の間は菩提樹の葉が茂っているのであまり見えないのですが、冬になって歯が全部散ってしまえば丸見えになります。菩提樹が綺麗な黄色に紅葉しているのがお分かりいただけるかと思います。
ストックホルムは住宅難で、昔なら高校を卒業した子供たちは自分でアパートを借りて親から自立し、学生ローンとアルバイトでやりくりしながら大学生活を送ったりしていたのですが、いまでは若者が借りられるようなアパートがなかなかなくて、大学に入学したものの住居がなくて勉強できないなどという例も後をたたないようです。学生寮も長い待ち時間で、悪い条件(多くの場合高い家賃を払う)で又貸しのアパートを借りたり、小さな部屋を誰かとシェアしたり、アパートの中の一部屋を借りる(つまりアパートの持ち主とキッチンやバスルームを共用して、一部屋だけ自分の部屋として使わせてもらう)などという場合もあります。何を隠そう、私がストックホルム大学にきた時には学生寮に入るための待ち時間が3ヶ月くらいで、その間私は部屋が5部屋あるアパートに一人暮らししている、年配の女性のアパートの1部屋を借りていました。幸い3ヶ月後には学生寮を当てがわれましたが、今では学生寮の待ち時間は1年を優に超えているそうです。
そしてもう一つ問題があります。昔はアパートのほとんどは賃貸アパートで、これは公の機関である住宅オフィスが管理していました。ここに登録して自分の必要なタイプのアパートを配分されるわけで、別のアパートに移りたければ誰かとアパートを交換することになります。ストックホルム市内は人気が高いですから、市内でアパートをもらおうとなれば長い待ち時間が必要です。この待ち時間が信じられないほど長く、今では子供が生まれるとすぐに、親が子供を順番待ちに登録するそうです。
それに輪をかけるような問題は、そういう賃貸アパートが購入用のアパートに変わってしまうことです。仕組みを簡単に説明すると、賃貸アパートとして借りて、同じ建物に住んでいる住人たちが住人組合を結成して、アパートを所有している会社からその建物を買い取るのです。それは住人組合がアパートの管理運営をしていくのが条件です。そして買い取った建物に住む住人たちは、アパートの大きさなどによって決められた値段を払って、今まで賃貸アパートとして借りていたアパートを自分の所有にするのです。つまり不動産を持つことになるわけですね。私の住む地区では、大部分のアパートがこのタイプです。問題は最近の値段の値上がりが激しくて、学生が買って住めるような部屋はないこと。また値段がとても高いので、経済力のあまりない人たちには購入が難しいこと。
ちょうど今日私の住むアパートの建物の一室の住人がアパートを売るべく、自分のアパートを興味ある人たちに見せています。これは大抵不動産会社の助けを借りて行うのですが、55平米の2部屋のアパート(ちゃんとしたキッチンはなくて、キッチネットという部屋の一部にキッチンの機能がついたアパート)の初値が5100万円ほど。東京の基準から見れば大した値段ではないかもしれませんが、ほんの数年前まではその半額くらいで出ていた物件ですから、値上がりはひどいものです。しかもこれは初値で、興味のある買い手はオークションをするので、値段は釣り上がる一方。
こんな感じなので、大学生になった子供も親元を離れられず、長いこと親元にとどまる形になります。地方のカレッジのようなところでも、最近は学生寮に入るのは難しくなりつつなっているそうで、スウェーデンの住宅事情は若者の自立を遅れさせる原因の一つになっています。
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