今月、親しくさせて頂いている友人二人のご尊父様が続けてお亡くなりに
なりました。
悲しみから立ち上がろうとしている友人の傍で、
三国志で、乱世の梟雄として描かれている曹操がその父の死に際して、
「ついに、最後の庇(ひさし)を失った・・・」
と、言ったとされることを思い出していました。
庇(ひさし)とは、家屋の開口部の上に取り付けられる雨よけ用の小型の
屋根のことですが、普段私たちはこの庇の恩恵になかなか気づいていな
いものです・・・
庇があるからこそ、強い陽射しが柔かな陽射しとなって部屋に降り注ぎます。
また、庇があるからこそ、雨風が直接開口部に吹き付けることなく守ってく
れます。
決して目立ちませんが、庇は大きな役割を果たしてくれているのです。
曹操は、父の死に際し、世間の誹謗中傷といった強い風当たりを庇の如く
守っていてくれた父はもう居ない。これからは直接世間の冷たい雨や強い
風は我が身に直接降り注ぐであろうと予期したのでしょう。
そういえば、数年前60歳を過ぎて、寝たきりであった80歳を過ぎたご尊父
を長い介護生活の後に亡くされたご門徒さんが、こんなことをおっしゃって
いました。
「父が倒れて以来、父を護ってきた自負がありました。
でも、父が亡くなってからご葬儀やご法事は勿論ですが、
日々の何気ない世間とのお付き合いの中で、
実は、寝たきりだった父に私が護られてきたのかが分かりました・・・・
地域や親戚との付き合い、何かあれば、
『おやじに聞いてみてから』と
もう、意識もはっきりしない寝たきりの父親を盾にして
暮らしてきてたんですね・・・・
ただ、居てくれるだけで、護ってくれていたんです。
今、父親の偉大さ、どんな時も世間の矢面に立って家族を私を
護ってくれた父に感謝せずにはおられません」
と、
厳しいことですが、ご尊父を亡くされた友人達は悲しみを癒す間も無く
今まで、庇の陰で見なくてすんだこと、当たらずにすんだことが次々と
襲ってくるはずです。
おこがましいですが、私も17年前に父を亡くして得たもの、聞かせて
頂いたことを友人の悲しみに寄り添って伝えていければと思います。