これが、ピアノの音か。。。
ピアニストにとっては難題のリストを弾く。
ドラマチックなショパンを弾く。
一台の黒いピアノが数知れない音を生み出す。
ヴァイオリンが聞こえる。
オーボエが響く。
確かに、鐘の音。
空気だけが知っているはずの、微かな振動が耳に入る。
弦の上を弓が動くときの、滑らかな音階の移動。
オーケストラが生み出す、大音量。
ピアノは弦楽器で、打楽器で、音階楽器で・・・
ケマル・ゲキチの指で、ピアノさえ、満足げに恍惚となる。
天才には悲劇は付き物なのだろうか。
或いは、悲劇こそ、誰の身にも平等に起きることなのか。
元はユーゴスラビア、現在クロアチアに生まれた天才ピアニストは、
故国の激動に揉まれた。
しかし、彼の類稀れなる演奏技術が彼を救う。
彼には、弾くしかない。
あれだけの腕は、誰にも与えられるものではない。
弾くことが宿命の男。
弾き継がれた名曲を、引き継いで、弾き続ける。
静岡市にある音楽館AOI(エーオーアイ)で、
与えられた運命と共に生きる人を見た。
このAOIは、徳川家康公の葵に通じる。
もうひとつの葵にも、歴史を受け継ぎ、業を継ぐ人がいる。
葵煎餅本家は、創業明治2年。
数えて4代目が看板を守る。
夏しつらえの開放的な店先に並ぶのは、
おなじみの煎餅類に、あじろ煎餅、ソース煎餅といった懐かしどころ、
更に、小麦粉を使った煎餅や、あんこ使用の栗煎餅。
煎餅って、こんなに種類があったのか。
女将ゆりこさんによると、煎餅にも、西東があるのだという。
煎餅といって思い浮かぶのが、
東日本は醤油煎餅、西日本は、小麦粉煎餅。
おお、京都の八橋も、確かに。
静岡は、何かと両者混合地帯。
煎餅たちもここで行き会い、
どちらも仲良く煎餅として市民権を得ている。
暖簾の奥では職人さんが、変わらぬ味を、汗まみれで焼き上げる。
女将は、この味を、ウェブサイトでも披露する。
懐かしい味にネットで出会えて喜ぶ人、海外から注文する人、
平成の時代に生きる暖簾。
町が守ってきた地元の味を、女将が町ごと売りに出す。
この土地にあって、生きてきた暖簾。
歴史の中で、焼きつづけられ、売られてきた煎餅。
改装に当たって出てきた創業当時の型を使ったカステラ焼きは、
小茄子やえんどう豆、きのこの形。
女将よりも長い付き合いの客がいる店。
市民が皆、その名を、味を知る店。
女将が"お煎餅"と口にするたび、えもいわれぬ愛らしさを感じる。
これが、暖簾なのか。
とらわれずに選び取る宿命の楽しさを、女将は教えてくれた。
ありがとう、ゆりこ女将。
いつか、オリジナルの型を注文するね。
歴史がずっと守ってくれるだろう。
葵煎餅本家のサイト。
*オリジナルの型は、永久保存。
名前やマークで一度作れば、一生モノ。
お返しに、お礼に、お祝いに、活躍しそうだ。
ゲキチは当日も会場でCDを購入しました。
ファッショナブルな外見も、女性ファンの心を熱くしそうですねえ。
また、聴きたいです。ありがとう。
技師の方が録ったもので、上の写真にもマイクが立ってます(笑)。
URL貼っておきます。
おそばって言えば、関西はうどん好き、関東はそば好きっとも言いますねえ。
確かに静岡は、混合なので、どっちも好きィ!
そういうこというので、また、おっとりのんびりっていわれるんだろうな。
うなぎの焼き方やら、お寿司の味やら、個性があって、ホントに面白いな。
面白い話、ありがと!
東日本は醤油煎餅、西日本は、小麦粉煎餅。
たしかにそうです。かわらせんべいが大好きな関西人です。静岡は両者混合地帯ですねえ。
先日テレビで東と西のJRの駅の「おそばの汁の濃さ」で真ん中の濃さはどこだってやってました。おもしろい~。
やはり、名古屋か静岡あたりでした。
関東と関西。全然違います~。
ですねえ~~。ユングの言う「共時性」ってやつですかねえ。こういうのって、カンの一種なのかな。外れたり、関連ないことの方が多いでしょっていうほうからみれば、そうなんだけど。いいタイミングは快感だから、脳みそも喜んでそうだし、OKですね!
わどさん
その俳句、いい!宿命の吐息が聞こえる!(笑)
どうあがいても逃れられない宿命は、おれにだってあるかもなあ。と、煎餅をかじって夏の夜。パリポリ(爆)。
そのときに一緒だった友人の母方の親戚は
クロアチアとスロベニアの境界に暮らしている。
そこの歴史の重みを聞かされたばかりで
私は自分の無知を思い知らされたけれど。
アンテナって必要なときに必要な情報を
関連のある事柄を
ちゃんと受け取れるようになっているのかも。
以下は、ケマル・ゲキチ氏のファンサイト。彼自身のコラムやインタビューが只者ではない。今読んで、余計好きになったよ。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/KGekic/
『シャイン』やっぱり観てたのだな。ふっふふふ。多くは語らぬがmyベスト10に入ってます♪
シャインだあ!大好き、あの映画。
ケマルさんは、もう本当に、独りオーケストラでした。信じられないよ。早すぎて、手が見えなくなったり、いくつも見えたり、。おお、分身の術って感じでした。ラ・カンパネラは、フジコ・Hとまた違う味でしたよ。
>引き継いで、弾き続ける
ここ気に入ったよう。『シャイン』観た?