J’sてんてんてまり

はじまりは黎明期。今は、記憶と記録。

おむすび持った?

2005年04月30日 | 人にぞっこん
今日は何を食べようかな。
そう思いながら、スーパーに出かける。
道すがら、畑で作業している農家をふと見やると、ジャガイモを収穫している。
ふうん。。。。

スーパーの帰り道、あのジャガイモが欲しい、と思った。
いや、正確には、既に買い物の途中で店舗に並ぶジャガイモを手に取った瞬間に思いついていた。
まだ、あの人たちは、作業をしているかしら。
いいわ。ちょっと冒険。もしいなければ、また買いに行けばいい。

いた。ジャガイモが次々に掘り出されて、畑にごろごろときかん坊のように。
「すみません、あの、」
声を掛ける。売ってもらえないだろうか、そのジャガイモを。少しでいいのだけど。

*ジャガイモの花



物語はこんな風にして始まった。
靜岡市内には、まだまだ宅地の合間に田畑が残り、そこで作物を育てる姿も少なくない。
ああ、欲しい人がいるんだ。食べてくれる人の顔が、直接見えた。
買う人も、作っている田畑が見え、作物の毎日が見え、世話をしてきた人の顔を見た。
出会い。始まり。

靜岡産直クラブは40人ほどの農家が集まって、米、茶、みかん、シイタケ、野菜などを月に一回朝市で出す。
また、スーパーにコーナーを設けてくれてあり、そこにもその日の収穫を並べる。

地産地消の波の中で、食材にこだわる飲食店にも直接卸す。
口コミで分けて欲しいという一般家庭にも、販売する。

温暖な静岡市は二毛作も悠々可能。
メンバーの青木嘉孝さんの畑には、ジャガイモや青菜が植わっている。
収穫後には、水田に姿を変える。



蝶が飛び、虫が働き、平和な畑。暑い日差しに胸を張った緑。
土は、私の持つ畑のイメージとは違っていた。灰色で、日差しに乾いたぼろぼろした様子。
手をかけて、水遣りを調節し、温度に気を配り、という栽培法とは異なるのだそうだ。
作物が、自分でがんばって根を張ることができ、だからこそ気候の変化の中で丈夫に育ってゆくやり方。

幸い靜岡は、水がいい。水量も豊富だ。全国でも日照時間は屈指を誇り日当たりもよく、風も通る。
年間を通じて、種類も多種多様にわたる作物が育てられる。

こうして聞いていたら、地質学者であり、生物学者であり、風水学者でもあった。
話は深く、果て無く興味深い。
しっかり見守る放任主義に似た、逞しい命の守り主なのだ、農家って。

農家の毎日を楽しく過ごす青木さんだが、しかし、一時は自分だけが取り残される思いも味わったという。
あの、バブルの頃。
友人たちが、日々をより享楽的に過ごし、肉体労働が価値を減じられたあの頃。
悩みながらも、自分の農法を続けてきた。
時代は面白い。いまや、新たな価値観に変わってきている。

だが跡継ぎ無く、手の及ばない田畑も増えていく。
人づてに、青木さんの元には、家の田んぼの面倒を見てもらえないだろうか、という依頼も来る。
静岡県西部に、長距離通勤だ。彼の田は旧福田町や浅羽町にもある。

そこかしこに雑草も生え、小さい命もまとう田畑。ちょうど、湿地や沼地のように。
だからこそ、生きのいい、元気のある土でいることもできるのだという。

地元の人に、近所の人に、顔の見える人に、これを食べてもらいたい。
作るものに、作り方に、自信もあるから言える言葉。
自分の住む土地の、周囲30キロ以内の作物を食べるという健康法もある。
風土に合った食べ物を、という意味なのだろう。

自分の身体に入れるものが、どんな風に育ってきたか、何を施されてきたか、ふと気になることが確かにある。
まずは、地で間に合うものを、そして、その範囲を少しずつ広げて、お互いにやり取りすれば。
最初は、町内でまかなってってぼくは言うんですよ、と日焼けした青木さんがお日様のように笑った。


青木さんの白米と古代米の赤米を頂いて、炊いた。
カロテンの多い赤米の玄米が、食味に変化をもたらして、美味しい。
ひやごはんになるおむすびで、さらに威力発揮。



こちらは、同じく古代米の黒米と。ただし、こちらは、もち米の黒米。
アントシアニン系のポリフェノールが含まれ、ごはんは赤飯になった。
昔の赤飯は、小豆でなく黒や赤の米であったらしい。

ああ、靜岡市には、登呂遺跡もあった。
遠い昔から、ここは米どころでもあるのだ。

美味しいおむすびお弁当に、さあて、山で食べようか、川にしようか、海がいいかな。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お米のアップは (くまさん)
2005-04-30 17:14:43
てんてんさん、こんにちは∈^0^∋

お米の写真のclose-upって、見方によっては

少し、grotesqueにもみえますね。

(^_^;)

くまさんでした。ではでは(^.^)/~~~
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くまさん、 (本人)
2005-04-30 17:37:46
ありがとう。そうか。虫みたいな感じがするかしら。

米食いな上、このお米が美味しかったので、つやや、立っているところをみんなにも見て、目で食べてもらおうかな、ごはんの顔ってこんなにきれいよって大きくしてみようかな、とサイズを決めてみたのですが。

小さい方がいいかな。



どうもわたし、しおれた花とか、脱皮した爬虫類の抜け殻とか、そういうものに対する美しさや面白さを先に感じてしまうので。これからも、いろいろ感じたこと、教えてね。
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あの不気味な天道虫はいったい? (なりっと)
2005-04-30 22:13:14
なんかケバだってませんか?色も褪せてるし。

洗濯し尽したトレーナーみたい。

ユーモラスな顔してますね。



お米立ってる!

ボクもご飯大好きです。

ご飯があれば、どんぶり飯3杯はいけます。あれ?

ええと、3度の飯よりご飯が好きです。あれれ?



ユニクロが以前食品産業に進出しようとしたことがありました。有機野菜を販売していたのですが、そこの野菜を生産していた方も、肥料はやりすぎず、植物本来の力で育っていった野菜の方が美味しいと、言っておられました。永田農法と、言ったかな。

ほぼ日刊イトイ新聞でも大きく取り上げていたので、知ることになったのですが、買ってみようかなって思ったときにはユニクロは食品産業から撤退していました。
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あはははは! (本人)
2005-04-30 23:23:06
なりっとさん、やってくれますね。

炭水化物のおかずに炭水化物、基本ですね!



てんとうむしは、青木さんいわく、成虫になったばかりかなあ、といってました。二十夜星天道でしょうって。面白いポーズで結構可愛いでしょ?



ユニクロは、業績伸ばしていたときに、販路も伸ばしすぎたみたいですねえ。英国に出した店舗も撤退したらしいし、中国のも、ねえ。

欲しければ遊びに行った先で畑を見つけたら、農家の人に聞いてみるといいよ、という話でしたよ。



ごはんは楽しいね。

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静岡の政令指定都市化で (guonb)
2005-05-01 10:43:32
農地が宅地並み課税になりますね。



さて、風景はどう変わるんでしょう?
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guonbさん、 (本人)
2005-05-01 20:53:04
私も気になっていたので、尋ねてみました。

彼は、気にしていませんでした。普通に農業を営んでいる人には、あまり気にならない話のようです。

休耕田とか、貸地とか、そういうほうに影響があるのだとか。

それに関しては、何らかの条例で保護して欲しいという要請が出そうですね。

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