『香子』紫式部物語 五 箒木蓬生
とうとう最終巻でした。
この箒木さんの紫式部物語は紫式部の生涯を描きつつ、その執筆活動とともに源氏物語も語るという本でした。
源氏物語の部分が非常に詳しく書かれているので、この本を読めば源氏物語も読める感じになっていました。
大河の「光る君へ」はフィクションも取り入れながらのドラマになっていて、それはそれでとても面白いですが、この本は文献などの資料に比較的忠実に描かれているようです。
なので、紫式部本人や源氏物語の両方を楽しめる本とも言えると思いました。
源氏物語絵巻も紫式部の母との会話で紹介している場面もあり、上手いなと思いました。
大河ではお母さんは早く殺されてしまいましたが、実際は長生きされたようです。
そして、最終巻のこの本では紫式部の娘賢子のその後も詳しく書かれていたのが興味深かったです。
賢子も宮中で女官として務めたけれど、紫式部の文学の才能と明るい性格もあり、出世して長生きしたそうな。
一巻を読んだら流れで全部読みましたが、なかなかの長編でした。
素敵な装丁で美しい本。
久しぶりに読み切ったという感じがしました。
私は後半の宇治十帖の宇治の恋の鞘当てのお話が長くて、やっぱり前半が面白いなと今回も思いました。
それでも、千年前に書かれた源氏物語が全て変わってしまった現代でも色褪せないってすごいことだなと読むたびに思います。
枕草子も源氏物語も一条帝と定子と彰子の時代がなけれは、そしてそこに才能がなければ生まれなかったものだと思うと、歴史の面白さも感じます。
ということで、このシリーズは源氏物語が好きな方は楽しく読めるのではないかなと思います。
値段も高いし読みでもすごいですけど。
多分文庫化されるのではと思いますので、それからでも良いかもしれません。