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ミケマル的 本の虫な日々

吉野の金峯山寺蔵王堂と道長


 先日吉野に行った時に再訪した金峯山寺(きんぷせんじ)蔵王堂
1300年前に役行者(えんのぎょうじゃ)がここで修行されて導き出された金剛蔵王大権現を山桜の木に彫刻して山上ヶ岳と吉野山に御堂を建ててお祀りしたのがこの蔵王堂の始まりだそう。
自然を敬い、神様も仏様も大切にする日本の精神文化の原点となる修験道の中心的な道場として続いているところ。
世界遺産に制定されています。

 現在、国宝の仁王門は改修中なので、横の参道から入ります



 早朝の朝座勤行に参加しました。









6時半から毎日行われている朝の勤行は10人くらいの修験者によるお経とホラ貝、銅鑼などによるものです。
そして、護摩も焚かれて非常に荘厳な雰囲気。
早朝のピリッとした空気の中でありがたくもあり、清々しくもある。

御本尊は秘仏なのですが、春の時期に特別ご開帳していて拝見することができました。
金剛蔵王権現さまは3体あり、とても大きくて迫力のあるお姿です。
写真は撮れないので、パンフレットを





 前回五年前には夜の特別拝観をしたのですが、それも凄く良かった。
夜間拝観と朝の勤行は吉野山に宿泊した場合だけ参加できます。

勤行が終わった後には導師様のお話がありました。
特に心に残ったのは、「とも祈り」と吉野の桜の由来
とも祈りとは、仏教や他の宗教でも何でも良いけれど、1日に1回は祈るということをしてほしい。そして、祈るときは自分や自分の周りのことだけでなく、世の中全体・世界全体のことを祈ってくださいということでした。
ともに祈るということを大切にしてほしいというお話が素晴らしいなと思った次第です。

 そして、吉野の桜の由来
もともと吉野にはこんなに桜はなかった。
しかし、役行者が悟りを開いて山桜に御本尊を掘り出したことから、吉野山では山桜が御神木になった。
そして、吉野にお参りに来たり修行に来たりした人々が、桜を次々と献木して植えたことにより、今のような桜の山になったとのこと。
一目千本桜と言われているけれど、2万本くらいあるそうです。
私が見に来た桜は信仰の桜だったのねと思わず感動しました。

 そしたら、『道長ものがたり』の中に、道長が入内させた彰子が天皇の皇子を授かりますようにと吉野に参り、金峯山寺で祈祷してもらったという事が書かれていて、びっくりしました。
今のように電車やバスやケーブルカーを乗り継いだり、車で行ったりしても登るのが大変な吉野の山に詣でるのは平安時代では大変なことだったと思いますが、それをおしてでも金峯山寺に詣でたいというのは、当時から霊験あらたかな重要なお寺だったんだなと。
道長が1000年前に詣でたところを私も行ってお参りしたり、吉野の山を体験したんだなと思うと、さらにしみじみした気持ちになりました。

 道長が吉野詣でをした後に、そのおかげかどうかわかりませんが、彰子が懐妊し王子が生まれたのでした。
実は一条天皇は定子の死後も忘れ難く、彰子とはあまり・・という時期が長かったようです。
それで、道長は文学や芸術を愛する天皇に彰子のところに来てもらいたくて源氏物語をどんどん書いて欲しいと紫式部を女官として優遇したということが推測されるらしい。
さらに、吉野詣でにも行っちゃって、そこまでされると一条天皇も道長の圧力が強いために、彰子との間に子供を作らざるを得なかったと。

 彰子と定子は内裏での生活はほとんどすれ違いのようですが、二人の間に何かあったというよりは、それぞれの父親の権力闘争のために一条帝を巡ってそれぞれが辛い立場に立っていたわけで。
でも、色々と読むとお二人はそれぞれ美しく聡明なお姫様。
定子は父・道隆により入内し、色々と大変な時期を過ごし若くして産褥で亡くなるけれど、一条帝に愛されてそれを貫いた方。
道長のために入内して一条帝にはなかなか愛されずにいた彰子も皇子を2人も生み、天皇と東宮の母となった後は、道長に対して自分の意見を言うようなしっかりした聡明な女性だったようです。

 こんなお二人のために枕草子と源氏物語が今の世まで残っていること。
道長の願いを聞いた蔵王大権現(御本尊は違うかもですが)に今の私たちも願うことができること。
吉野の信仰のためにたくさんの人々が植えた桜を一望に見ることができること。
日常は色々とあるけれど、こんな事を思っていると小さいことはどーでもいいやと思えるのでした。




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