評価:★★★★[4/5]
「どっちを殺す?」友情を取るか自己保身に走るのか・・
なんだろう・・
この不思議なオープニングは
クレジットバックの花たちが実に心地良いのだ。
フォーカスをワザとずらしたりして
幻想的に表現している。
本篇に於いても随所でこういった
幻想的な被写体や映し方を取り入れている。
◇
郊外ののどかな町に暮らす高校生のダイアナ。
退屈な毎日に不満を募らせ、
反抗的な態度で周囲も手を焼く不良少女。
そんな彼女はひょんなことから
内気でまじめな少女モーリーンと仲良くなる。
まるで対照的な二人だったが、
いつしか深い友情で結ばれていく。
そんなある日、
学校の女子トイレにいた二人は銃乱射事件に巻き込まれる。
二人の前に現われた犯人は銃口を向けながら
“どちらかひとりを殺す、選べ”と残酷な選択を迫る──。
それから15年。ダイアナは優しい夫とかわいい娘に囲まれ、
幸せな家庭を築いていた。
しかし、事件のトラウマは今もなおダイアナの心に
深く暗い影を落とし、家族生活は行き詰まりかけていた。
<allcinema>
◇
対照的に映している二人の少女。
派手で不良少女のダイアナ(エヴァン・レイチェル・ウッド)と
地味で真面目な黒髪のモーリーン(エヴァ・アムリ)。
対照的ではあるけれどモーリーンが
内気な少女という設定でなかったことが
ワタシとしては少しばかり救われた気分であった。
救われた気分と言うのも、変ではあるが
でなければ、
モーリーンの人生が余りにも不幸な気がしたからだ。
授業の始まる前に、トイレで化粧をしていたふたりは
外から聞こえてくる悲鳴に顔を見合せながら耳を澄ます。
誰かが悪ふざけをしている程度と思ったふたりは
そう思うことで安心したかったのだろうか。
悲鳴と銃声がドアのすぐ向こうで聞こえた瞬間
隠れようとするが間に合わず少年に見つかってしまう。
「やあ、ダイアナ」「・・マイケル」
「どっちを殺す?ふたりで決めろ」
ここでシーンは切り替わり
少なくとも15年後にダイアナが生きていることで
高校時代の校内銃乱射事件での選択は
ダイアナが生き残ったということになっている。
そして、あの時ダイアナは、いったい何と言ったのか?
という一点だけに観る者は興味を抱くことになる。
30代になったダイアナが事あるごとに
あの忌まわしい事件の事を思い出し
深いトラウマとなって今を生きているということで
保身のために親友を裏切り一生背負う十字架に
押しつぶされそうになる。
社会的地位のある夫と
高校教師のダイアナの間に生まれた女の子エマ。
カトリック学校に通っているが
事あるごとに問題を起こす小学生として
まるで昔の自分を見ているかのような娘に
手を焼いているダイアナ。
事件のトラウマと娘の問題と更に
後に出てくる夫の不倫現場を目撃することに。
この映画はダイアナの過去と現代を交互に
描いています。
といえば普通な言い方ですが・・・
実は、この映画はとっても奥が深い映画です。
劇中に何度も出てくるトイレでの選択のシーン。
徐々にそのときの会話が小出しされて行き
ラストでその全貌が明らかになったとき
まるで走馬灯を見ていたかのように
ワタシは、身体全体を覆う脱力感に
しばらく椅子から立ち上がれなかった。
そのせいなのか、映画の最後に出てきた
監督からのキーワードを見逃してしまった(笑)
本作は、あらゆるシーンに伏線が張られていて
映像に関しては一瞬たりとも見落としてはいけません。
正味90分という短い映画ですので
最後まで画面を注視することをお薦めします。
オープニングからラストまで
まったく無駄なシーンがなかったように感じた。
それは監督の意図する試みすべてに於いて
意味があったんだと思えたからである。
【ここからネタバレしてます】
おまけ)
・最近の傾向として、こういったオチを持ってくる映画は
ともすると二番煎じと言われやすいのですが
現に先日観たパの付く映画にしてもそう言われてました。
しかし、本作は違う。そちら側から見た映画ではないということ。
90分間の映画の中で、現実に起こっていたのは
トイレの中のシーンだけであったという真実。
・ラストで出てくる序盤の何気ないシーンのリピートがあり
高校生のダイアナとモーリーンのやりとりのなかで
会話が逆になってるところなんてゾッ!としました。
・キーワードは“選択”です。
監督の答えはもとより、精神医学の先生の見解に興味深々。
--------------------------------------------------
監督:ヴァディム・パールマン
脚本:エミール・スターン
撮影:パヴェル・エデルマン
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演:ユマ・サーマン/エヴァン・レイチェル・ウッド/
エヴァ・アムリ/オスカー・アイザック/
『ダイアナの選択』
「どっちを殺す?」友情を取るか自己保身に走るのか・・
なんだろう・・
この不思議なオープニングは
クレジットバックの花たちが実に心地良いのだ。
フォーカスをワザとずらしたりして
幻想的に表現している。
本篇に於いても随所でこういった
幻想的な被写体や映し方を取り入れている。
◇
郊外ののどかな町に暮らす高校生のダイアナ。
退屈な毎日に不満を募らせ、
反抗的な態度で周囲も手を焼く不良少女。
そんな彼女はひょんなことから
内気でまじめな少女モーリーンと仲良くなる。
まるで対照的な二人だったが、
いつしか深い友情で結ばれていく。
そんなある日、
学校の女子トイレにいた二人は銃乱射事件に巻き込まれる。
二人の前に現われた犯人は銃口を向けながら
“どちらかひとりを殺す、選べ”と残酷な選択を迫る──。
それから15年。ダイアナは優しい夫とかわいい娘に囲まれ、
幸せな家庭を築いていた。
しかし、事件のトラウマは今もなおダイアナの心に
深く暗い影を落とし、家族生活は行き詰まりかけていた。
<allcinema>
◇
対照的に映している二人の少女。
派手で不良少女のダイアナ(エヴァン・レイチェル・ウッド)と
地味で真面目な黒髪のモーリーン(エヴァ・アムリ)。
対照的ではあるけれどモーリーンが
内気な少女という設定でなかったことが
ワタシとしては少しばかり救われた気分であった。
救われた気分と言うのも、変ではあるが
でなければ、
モーリーンの人生が余りにも不幸な気がしたからだ。
授業の始まる前に、トイレで化粧をしていたふたりは
外から聞こえてくる悲鳴に顔を見合せながら耳を澄ます。
誰かが悪ふざけをしている程度と思ったふたりは
そう思うことで安心したかったのだろうか。
悲鳴と銃声がドアのすぐ向こうで聞こえた瞬間
隠れようとするが間に合わず少年に見つかってしまう。
「やあ、ダイアナ」「・・マイケル」
「どっちを殺す?ふたりで決めろ」
ここでシーンは切り替わり
少なくとも15年後にダイアナが生きていることで
高校時代の校内銃乱射事件での選択は
ダイアナが生き残ったということになっている。
そして、あの時ダイアナは、いったい何と言ったのか?
という一点だけに観る者は興味を抱くことになる。
30代になったダイアナが事あるごとに
あの忌まわしい事件の事を思い出し
深いトラウマとなって今を生きているということで
保身のために親友を裏切り一生背負う十字架に
押しつぶされそうになる。
社会的地位のある夫と
高校教師のダイアナの間に生まれた女の子エマ。
カトリック学校に通っているが
事あるごとに問題を起こす小学生として
まるで昔の自分を見ているかのような娘に
手を焼いているダイアナ。
事件のトラウマと娘の問題と更に
後に出てくる夫の不倫現場を目撃することに。
この映画はダイアナの過去と現代を交互に
描いています。
といえば普通な言い方ですが・・・
実は、この映画はとっても奥が深い映画です。
劇中に何度も出てくるトイレでの選択のシーン。
徐々にそのときの会話が小出しされて行き
ラストでその全貌が明らかになったとき
まるで走馬灯を見ていたかのように
ワタシは、身体全体を覆う脱力感に
しばらく椅子から立ち上がれなかった。
そのせいなのか、映画の最後に出てきた
監督からのキーワードを見逃してしまった(笑)
本作は、あらゆるシーンに伏線が張られていて
映像に関しては一瞬たりとも見落としてはいけません。
正味90分という短い映画ですので
最後まで画面を注視することをお薦めします。
オープニングからラストまで
まったく無駄なシーンがなかったように感じた。
それは監督の意図する試みすべてに於いて
意味があったんだと思えたからである。
【ここからネタバレしてます】
おまけ)
・最近の傾向として、こういったオチを持ってくる映画は
ともすると二番煎じと言われやすいのですが
現に先日観たパの付く映画にしてもそう言われてました。
しかし、本作は違う。そちら側から見た映画ではないということ。
90分間の映画の中で、現実に起こっていたのは
トイレの中のシーンだけであったという真実。
・ラストで出てくる序盤の何気ないシーンのリピートがあり
高校生のダイアナとモーリーンのやりとりのなかで
会話が逆になってるところなんてゾッ!としました。
・キーワードは“選択”です。
監督の答えはもとより、精神医学の先生の見解に興味深々。
--------------------------------------------------
監督:ヴァディム・パールマン
脚本:エミール・スターン
撮影:パヴェル・エデルマン
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演:ユマ・サーマン/エヴァン・レイチェル・ウッド/
エヴァ・アムリ/オスカー・アイザック/
『ダイアナの選択』
この映画の解釈は人それぞれだとは思うんですが、
ワタシ的には、まだ完全な答えが見つかっていません。
公式サイトの監督の答えが知りたいんですが、入れないという悔しさで
『プラトーン』での最後のエリアス軍曹みたいな状態です^^;
>見落としたり或いは理解し損ねているところが
こうなってくると冒頭のシーンから瞬きしていたコンマ何秒という時間も気になってきます。
ワタシは過去の映画でも、こんなに観終わってから考えた作品は記憶にないです^^;
>「良心」という言葉にこれほど真っ直ぐに心打たれたことは
そうなんですよ。実際に自分だったらあの状態でどんな選択をするのかとか・・
ものすごく考えさせられましたよ。
あのシーンは、モーリーンが先に答えたのがキーだと思ってます。
>レイチェルは『アクロス…』で観た時よりずっと良かったです。
>ユマ・サーマンは久々にスクリーンで観ましたが相変わらず魅力的でした。
そうなんですね。
ワタシは本作で初めてレイチェルを知りました^^
本作のユマ・サーマンとサラ・ポーリーが微妙にカブって見えましたよ^^
サラ・ポーリーと思いこんだままだったらスルーするところでした(ヤバいヤバい!)
ユマは魅力ありますよね。前作『Gガール』を観逃したことを後悔してます^^
この映画、不思議に後を引いています。
>全てのシーンに意味が
そうなのですよね。だから今となっては多分に、見落としたり或いは理解し損ねているところがあるように思います。
結末を知った上で、今一度鑑賞してみたい作品です。
ジャンル分けが難しい作品だなと。
(分ける必要はないのですが)
哲学的な部分もあり、人間ドラマ(一人の女性の成長物語)でもあるし、サスペンス要素もあるし、ある意味オカルト映画って言えなくない…(←すみません、ネタバレになりすか)。
「良心」という言葉にこれほど真っ直ぐに心打たれたことはなかったとも思いました。
レイチェルは『アクロス…』で観た時よりずっと良かったです。
ユマ・サーマンは久々にスクリーンで観ましたが相変わらず魅力的でした。
オープニングの幻想感、確かにゾクゾクするくらいの感じでしたね。
『ダイアナの選択』は名演で4月17日までやってます。
もしご覧になる時はラストに出てくる「キーワード」をチェックしておくと公式サイトで
美味しい体験が出来るそうです(ほんまかいな)
>今日は30日なので
ということはイオンシネマ岡崎のことですね^^
会員もしくは、イオンカード持ってる方は割引で鑑賞できるんですよね^^
>、「ヤッターマン」を見ようと出かけたのですが、受付が混んでてタイムアウト。
春休みで混んでそうですね。
チケット売り時間をもっと早くしてほしいですよね^^;
>そこで期待してなかった「マーリー」を見ました。
>いやぁ、この映画よかったぁ!
どうも邦題の冠に“おバカ”が付いているところで
二の足を踏んでます。
やっぱり動物ものは最後に泣かされてしまうんでしょうかね~^^
『おバカな猫・チャーリー』辺りなら観ようかと思ってるんですけど^^;
今日は30日なので、「ヤッターマン」を見ようと出かけたのですが、受付が混んでてタイムアウト。
そこで期待してなかった「マーリー」を見ました。いやぁ、この映画よかったぁ!犬好きにはたまらんかも。笑って、ハラハラして、最後に泣かしてもらいました。
ネタバレですけど、完全ネタバレしてないので
大丈夫ですよ^^
>何だかガス・ヴァン・サント監督の『エレファント』の世界を
>連想してしまいました。
『エレファント』検索しました。これ良さそうですね~
これは、この2作品がセットになったら面白いかもしれないですね^^
する側、される側の心情がこと細かく分かっていいと思います。
>今だったら、常備してる日本刀で乱射犯を「ヤッチマイナー」
ワタクシ、最初に見たこのポスターでは
てっきり、サラ・ポーリーがまたまた監督主演してるのかと思ってました^^;
ユマ様もこういう作品に出るんですね(意外だった)
良さげですね~。
何だかガス・ヴァン・サント監督の『エレファント』の世界を
連想してしまいました。
現代における主人公を演じとるのがユマサマ(ユマ様?)ってことで、
今だったら、常備してる日本刀で乱射犯を「ヤッチマイナー」
な感じに始末されるんでしょうけどねぇ・・(・ω・)