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宇宙戦争

2005年07月02日 14時41分30秒 | 映画 あ行
『原題:WAR OF THE WORLDS』
原作:H・G・ウェルズ「宇宙戦争」(1898)
オリジナル:1953年『宇宙戦争』
1954年度アカデミー賞最優秀特殊効果賞受賞(ゴードン・ジェニングス)

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2005年スティーブン・スピルバーグによりリメイク
出演:トム・クルーズ/ダコタ・ファニング/ジャスティン・チャットウィン/ティム・ロビンス

オリジナルから52年の時を得て名実ともに名監督のスティーブン・スピルバーグが完全リメイク。現代風に解釈をしスピード感溢れるストーリーに完全に嵌ってしまう。

冒頭ニュージャージー州で労働者として働くひとりの父親(レイ=トム・クルーズ)の元に二人の子供を連れて離婚した元妻と若い現夫がやってくる。第三子(現夫との初めての子)を出産のため一時的に預けに来たのだ。離婚した元妻との生活がどんなものだったのか、趣味に多額の金をつぎこみ家族は二の次で自分のことしか考えない、そんな父に対して不満を持ち続けている長男(ロビー16歳=ジャスティン・チャットウィン)と、まだあどけない表情が残りながらも冷静に受けとめている長女(レイチェル10歳=ダコタ・ファニング)ここではその子供たちとの関係がとても丁寧に説明されているので観ている間無駄な思考回路を使わずに済む。ある意味単純に映画を楽しむことができる。

この物語はふたりの子供を預かったその日から始まるのである。久しぶりに再会したにもかかわらず、相変わらず長男ロビーと父レイとの溝は解けていなかった。無断で飛び出した長男を探しに表に出てみると町中の住民がざわめき立てていた。突然、東の空に広がる黒い雷雲、隙間から覗く閃光、不思議な風向き、ここは非常にうまい見せ方をしている。

好奇心旺盛なレイは早速裏庭にレイチェルを呼び寄せる、次第に雲は広がりこちら側にも迫ってきて閃光が目の前に落ちる。不意を衝かれ及び腰になりながらも「独立記念日の花火だ」と、うそぶきレイチェルをなだめようとする。次第に落雷が始まる、あわてて部屋に逃げ込む二人。同じところに何度も落雷する異変に気付いたレイは呼吸を荒げて初めて不安になる。

この辺りの観せ方は人物の目を通していて、決して落雷してる現場をカメラは追っていない。敢えて見せないというテクニックで恐怖と不安感をみごとに描いていた。「何が起きてるんだ!」主人公と観客の心理が完全に同化していた。おそらくこの映画は冒頭のこのシーンだけで完璧に観てる者の興味を引くことになる。

映画は冒頭30分で地球を支配しようとする侵略者の全容を惜しげもなく見せてくれる。地下から出てくるシーンはもの凄い迫力である。今はあんな風に町全体のセットを作って破壊してしまうほどVFXが進化してるんですね。地下から現れたトライポッドは実物大のギミックを使っていることから、もの凄い重量感がある。また、その時の音響は半端でない不気味さが劇場内に響きわたる。しかし、ここからが本当の恐怖の始まりだったんです、逃げ惑う人々が一瞬静止した次の瞬間、いきなり死の灰の攻撃が辺りかまわず雨あられのように...

これ以上はネタバレになるので書けませんが、見どころだけすこし...

【随所に出てくるショッキングなシーン】

踏み切りでの“炎を吹き上げながら走る列車”は絶望感に似たショックを受けた。映像は実物大ギミックとカメラワークの妙でもの凄い迫力を見せてくれる。また音響もあの重低音は「未知との遭遇」で交信する際に使われてはいたが、今回は更に迫力が増している。『(楽器=チェロかな)ゴジラの咆哮もこれでしたし』

地元の修理屋から強奪したミニバンで逃走するレイ親子を写すカメラは、長回しによるワンカット撮影を行っている。カメラは車内から車外に出てそのまま走る車の周りをでぐるぐる回り続ける。そして最後は地上から10メートル程の高さで静止し画面奥に走っていく車を撮り続けていた。このシーンはいったいどのような手法で撮影したんだろうか?

フェリー乗り場のシーン、ここはまさに1955年度東宝作品「ゴジラの逆襲」を彷彿させる。そして丘に向かって行くシーンは思わず涙が溢れそうになった。丘のシーンではその向こうの状況を敢えて見せない工夫をしている。ここも上手い演出であった。

息子ロビーは何故戦いたくなったのか?彼は高校の宿題で「アルジェリア戦争」についてのレポートを執筆中だったのだ。なのでこの侵略と思える状況と重なったんだと思った。そう解釈したのですが、ただ、この心境の変化を余りにあっさりと流してしまっているため、「あれ?」とは思いましたね(笑)

『アルジェリア戦争』=フランス支配に対するアルジェリア民族解放戦線(FLN)の独立武装闘争(アルジェリア戦争、1954.11~62.7)。

レイチェル(ダコタ・ファニング)の演技にも助けられているが、レイが小屋で大男を殺めるシーンは皮肉であるが初めてわが子のために何かをしてやれたという安堵感のようなものが‥しかしこのシーンは非常に切ないのである。

今回人間ドラマに重点を置いているため単なるパニック映画になっていないのがとても良かった。トム・クルーズのこんな演技は初めて見た。おそらく彼の俳優人生で初めてひとに感動を与える演技が出来たのではないだろうか。

この映画は“敢えて見せない”という古典的手法を多用しそれが成功している。音響のみで恐怖を煽るといえば、あの有名なヒッチコックの「鳥」を真っ先に思い浮かべてしまうのはファンならずとも。この映画も小部屋が多く出てきますが、そこに息を潜めて外の様子を音響マジックで見事に不安と恐怖を再現してくれていた。

久しぶりの完璧満点評価をしてしまいました。この面白さは「ジュラシック・パーク」で初めてスクリーンに本物のように恐竜を再現して感動を与えてくれた、あの時の興奮に近いものがありました。

評価:★★★★★

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