一庵 (ひとつあん)

飛べないライター『いたっきい』の愚行をさらしています。

※普段ハtwitterニ居リマス。

軍艦旗 (自衛隊観艦式 予行Vol.6)

2009-11-13 | 徒然

前回の記事(観艦式予行 Vol.5)はコチラ


続いて、艦内に入ってみます。

■「いなづま」艦内■

「むらさめ型」は、最上部から下に向かって、01甲板、02甲板、03甲板、04甲板=上甲板=第1甲板、第2甲板、第3甲板、第4甲板(艦底)と、7層構造になっています。一般乗艦者が立ち入ることができたのは、01甲板の艦橋とウィング、マスト基部、02甲板のチャフディスペンサー付近、艦首を除く上甲板全域、第2甲板の科員食堂、主機操縦室兼応急指揮所でした。

第2甲板へ降りてみます。

「むらさめ型」の場合、第2甲板の配置は艦橋直下から艦尾方向に向かって、CIC、士官室、主機操縦室兼応急指揮所、科員居住区、科員食堂(1)、先任海曹室、科員食堂(2)、司令室と並んでいます。科員食堂(1)のそばには神棚、通称“いなづま神社”もあります。

さらに下層には第3甲板、第4甲板がありますが、主機や燃料タンクなどもあるため通常は公開されません。

 
 CIC(Combat Information Center)

厳重に施錠されたこのハッチの向こうがCICです。CICは文字通り艦の頭脳。戦闘中、艦長はここで指揮を執ります。艦橋から離れた艦内中央にあるのは、戦闘時に艦橋と同時に被害を受けないようにするためです。

映画などでは司令官が、大きなモニタがたくさんある薄暗い部屋で作戦を見守ったり指示を出したりしているシーンがありますが、それがここCICです。当然、一般見学者に開放されることはありませんし、取材などの特殊な理由がある場合も厳重な手続きが必要です。


主機操縦室兼応急指揮所に来ました。

ここは艦橋、CICとともに艦内の3大重要区画に位置づけられています。エンジンを運転し、艦内に供給する電力をコントロールし、貴重な真水も管理するほか、戦闘などで被害を被った場合にはここを指揮所にして被害の局限化を図ります。これをダメージ・コントロール(ダメコン)といい、戦闘艦ならではの機能です。

 
 機関監視制御盤

4基のガスタービンエンジンを管理し、スクリューの回転数やピッチの調整も行ってフネの速度までを決定するパネルです。航海艦橋からの指示により、ここで操作することで艦が動きます。このコンソール、以前に乗った「はたかぜ」よりもずいぶん進化しています。

「むらさめ型」はロールスロイス社のSM1C(13,500ps)を2基と、GE社のLM2500(16,500ps)を2基積んでいますが、このときは2基のSM1Cが回っていました。

 
 応急監視制御盤

火災などの被害状況や消火設備の作動状況がわかるようになっています。モニタには、弾薬庫の温度や水の残量などが表示されていました。撮影用にすべてのランプを点灯していただきましたが、通常この状態だと艦は丸焦げです。

この部屋の外には、緊急時に破口を防ぐなどの目的に使う木材もストックされていました。

再び通路へ。

 
 各艦や各国海軍艦艇から贈られた盾

科員居住区の前に並んでいるのは、感謝や友好の印として「いなづま」に贈られた盾です。インド洋給油活動で護衛した補給艦からのものや、演習や災害派遣で共同作戦をとった各国海軍艦艇からのものが並んでします。いわば、「いなづま」活躍の証。新しいフネですのでまだ少ないですが、今後どんどん増えてくるでしょう。

 
 神棚“いなづま神社”

艦内の神棚は、旧海軍以来の伝統。なにかの映画で、真珠湾攻撃に向かう前の航空機搭乗員が合掌低頭していたのを見たことがありますが、今の隊員はあまりそういうことはしないんだそうです。

ちなみに、前述の「某消防局航空隊員」は離着艦訓練で「ひゅうが」に行ったとき、無理言って“ひゅうが神社”まで案内してもらい参拝されたそうな。しかも「観艦式のチケット当選しますように…」と。
御利益ありますねえ。

もちろん、いたっきいも護衛艦に乗ると必ず公式参拝します。

 
 科員食堂

波も穏やか、天気もいいので外が全く見えない食堂は比較的空いていました。ガッチリ固定されたテレビは、自衛隊PRビデオが流されていました。予想に反してイスは固定されていません。

 

■「くらま」飛行甲板付近の様子■

続いて、「くらま」の様子です。

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 第2甲板にある神棚“くらま神社”

第1甲板の艦内には、紅白の横断幕が張ってありました。

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 護衛艦の中には見えない…

VIPが来艦した祭にヘリ格納庫から艦橋まで行くルートになっているのでしょう。ここを通って艦尾側へ進みます。奥に人が写っているあたりは、航空機搭乗員待機所です。そのまま進むと、音楽隊が演奏をしている真後ろに出ました。
演奏している横を通って、ヘリ甲板に出ます。

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 ヘリ格では東京音楽隊の演奏が行われていた

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 「くらま」艦尾付近。意外と広い飛行甲板

 
 「いなづま」の方が飛行甲板は狭い

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 「くらま」艦尾にたなびく旭日旗と艦隊

旭日旗は、第二次大戦中までは「軍艦旗」と呼ばれていましたが、今は「自衛艦旗」です。風にたなびく軍艦旗と、鋼鉄の艨艟(もうどう)。
在りし日の帝国海軍水雷戦隊の進撃もこんな光景だったに違いありません。

そうこうしているうちに、護衛艦隊は早くも浦賀水道へ。
第二海堡が見えてきました。

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 護岸工事?解体工事?中の第二海堡

第二海堡は、東京湾要塞の一角を担う海上要塞として1914年(大正3年)に完成したものですが、関東大震災により被災し、その後放置されてきました。現在は海上保安庁が管轄しているそうです。
一般人の渡航は2005年に禁止されましたが、いたっきいはその直前に一度ここに上陸しています。

横須賀港に入港しました。

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 「くらま」より吉倉桟橋。オレンジの船は旧「しらせ」

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 米軍施設。2隻のアーレイ・バーク級イージス艦が停泊

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 タグボートに推されて180度向きをかえる「くらま」

艦上からは、タグボートが次々に入港する船を接岸させる様子がよく見えます。

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 ピッタリ息を合わせ、テキパキと働くタグボート

手前のタグボートは、接舷時の緩衝用ブイを「くらま」右舷まで運んでいます。後方には「うらが」の方向を変える2隻が、さらに奥には「あしがら」を迎えに行く2隻が見えます。

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 後進で桟橋に向かう掃海母艦「うらが」

タグボートは一般の船と違い、どんな方向にも走れます。上の写真では、右方向にスライドするように動いています。

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 吉倉桟橋と米軍施設の間を抜けるイージス艦「あしがら」

 
 ただ1隻、艦隊の帰りを待っていた初代「しらせ」

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 夕日を浴びて「まきなみ」入港

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 ぐるっと向きを変え、後進で滑り込む

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 「まきなみ」艦上の某消防局航空隊員から再び入電!

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 手前「くらま」艦橋ウィング、奥「まきなみ」艦橋

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 「まきなみ」が「くらま」に接舷

この時点で、「くらま」接岸から1時間が経過。写真からもおわかりのように、「くらま」の乗艦者は全員退艦しています。なにも言われなかったのでずっと艦橋にいたのですが、さすがに心細くなって降りることにしましたw
どうやらいたっきいは最後まで残ってたようで、艦内を通るときの「まだおったんか」という視線がイタかった…

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 「くらま」を経由して「まきなみ」乗員が退艦

 
 23日「いなづま」は一番はじめに接岸

 
 左:「あたご型」イージス護衛艦「あしがら」
 右:「アーレイ・バーク級」フライトIIAイージス駆逐艦「ラッセン」

「あたご型」は「アーレイ・バーク(フライトIIA)」をベースにしているので、やはりどこか似ています。

 
 自衛艦旗を降揚する「うらが」

1700。全艦いっせいに自衛艦旗を降ろします。考えてみれば、今日は自衛艦旗の掲揚から降揚まで9時間も艦上にいました。

 
 手前から「まきなみ」「くらま」「しらせ(初代)」

夜の帳は急速に訪れます。
今日一日、お疲れさまでした。

 
 おまけ:「おやしお型」潜水艦2隻

 

-最後に。

21日「くらま」でご一緒したSさま、Fさま。
「まきなみ」より熱いメッセージをいただいたMさま。
23日「いなづま」でご一緒したNさま、空薬莢さま。
ご一緒できてたいへん楽しい一日になりました。

そしてお世話になった「くらま」「いなづま」乗組員のみなさま。
みなさまと自衛艦、航空機の姿は非常にたくましく心強く、日本はみなさまに護られているんだという実感がありました。

素晴らしいひとときをありがとうございました!

※なお、「観艦式予行Vol.1~Vol.6」のタイトルはすべて、帝国海軍の行進曲名から拝借しました。


 

後日。
某出版社編集部での校閲作業中、某相撲ライター♀との会話。

どす恋「いたっきいさん。私この前、事故に遭った「くらま」に乗ったんですよ!」
いたっきい「え?それは奇遇ですね。私も乗りましたよ、観艦式予行で」
どす恋「あ、私も予行です!」
いたっきい「何日ですか?」
どす恋「21日…」
いたっきい「え!同じ日じゃないですか!」

8時間以上も一緒にいたのに、お互い全く気付きませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 あと2人くらい、知り合いが

 名乗り出ても不思議じゃない…

  いやあ、ホント世の中は狭いですね。

 


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2 コメント

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どす恋さんって、もしかして、 ()
2009-11-16 21:15:57
あかぃりんごは知らずに読んだことがあるかも知れません。相撲にはあまり関心がないのですが、たまたま読んで、視点が独創的でおもしろかったことに加え、その筆者は確か女性のようなお名前でした・・・

 2005年の禁止前に、第二海堡へ渡航はされたこと、思い出される限り、画像なしでもいいですから、「旅行・見学」に加えて頂けないでしょうか・・・

 いなづま神社、くらま神社の画像、これも貴重ですね。インド・ロシア・韓国などの艦では聖なる場所はどうなっているのでしょうね。トルコ・米国・パキスタンなどは、礼拝堂なんかがあるのでしょうか・・

 そう言えば、本邦の車には護符が付いていることがありますが、フネに神社があるように、富士の裾野の戦車や回転翼機にも護符が付いていたのでしょうか・・・

 他にも山ほど面白いところがありました。お忙しい中、すばらしいひと時のおすそ分けを頂き、ありがとうございます!上の質問のようなものは感想ですから、どうぞ読み流して下さい。

 また、時間がおありになりますように、楽しみにしています。
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「くらま」修理中 (いたっきい)
2009-11-30 11:20:45
調べてみると、いたっきいは過去に3度「くらま」に乗っています。もう一度あの勇姿を拝みたいものです。

>艦体は物損事故の被害を受けました。

大勢は「くらま」に過失がないということになっていますので、艦長以下乗員の名誉は保たれるでしょう。艦齢も30年に近く、早期退役か?との考えも脳裏をよぎりましたが、修理の見込みがたってきたようですね。

>どす恋さんって、もしかして、

その世界では有名な方です。角界が荒れてた数年前には「朝まで生テレビ」にも登場されていました。

>2005年の禁止前に第二海堡へ渡航

これはネタとしては面白そうなので書くと思います。
ただ、ずいぶん忘れてしまったので写真とキャプションだけでw
そのほうがご覧になる方にも興味深いと思いますし。

>インド・ロシア・韓国などの艦では聖なる場所は

どうなってるんでしょうね。
そういえば米軍のスーパー・キャリア(大型空母)には教会のようなもの?はありました。牧師も乗っているようです。冗談ではなく戦死者が出かねないので、必要な"装備"なのかもしれません。そのほか、空母にはキャッシュディスペンサーや売店もあり床屋も複数あるようです。なにしろ、乗員の数が半端じゃないですからw

>富士の裾野の戦車や回転翼機にも護符が

付いているのをみたことがあります。それはファントムでしたが。全機にあるとは思いませんが、機付長あたりの気持ちの現われではないかと思います。陸自の明野駐屯地(三重県)で、基地内で「航空安全」のお札とお堂のようなものを見たこともあります。実に日本的ないい光景です。
個人所有の飛行機やグライダーは、付いていないのを見たことがありません。飛行神社もあるくらいですし。

さて、次のネタを書かないとw
いつになることやら…
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