「建築士制度の見直しの方向性について」の資料です。
①平成18年7月5日付けで、三重士会から連合会に送った素案に対しての意見書です。
(社)三重県建築士会
□標記素案について下記の意見を申し述べます。
1.提案された新制度は設計監理に携わる建築士のみに限定されている。しかし
実際は建築士法第21条にある「その他業務」に携わる建築士が多数を占めている。
その他業務に携わる建築士の実務修習に関する事項を明記すべきではないか。
2.一般新聞(6月26日読売新聞等)の報道内容について素案の内容と乖離している
と思われるので連合会として素案の内容の本質をコメントすべきである。
3.建築士制度は現行でよいではないか。
超高層建築等特に高度な知識が要求される業務に限定しそれに携わる建築士のみ
を特別な考査を実施し特別な資格とすればよいのではないか。
4.「6.団体による自律的な監督体制の強化について 」を実施するなら団体への
強制加入を検討する。団体で実態を把握するため、大阪建築士会の提案にあるよ
うに独占業務を有す資格者については団体への強制加入とする。
□姉歯事件以降建築士全体が不審視されるのは非常に心外である。今回の建築士制
度の見直しについて構造等の専門家の関与の義務付けや資質向上のための手法は賛
成できる。建築士制度の改正の必要性はないと考える。
②平成18年7月11日付け 素案に対して連合会から国土交通省に対する要望
社団法人 日本建築士会連合会
会 長 宮 本 忠 長
「建築士制度の見直しの方向性について(素案)」に対する要望
このたび、社会資本整備審議会建築分科会基本制度部会に提出されました「建築士
制度の見直しの方向性について(素案)」に関し、当連合会の理事会・建築士会長
合同会議における協議の結果、下記に掲げる4項目を要望として取りまとめました。
つきましては、建築士制度の見直しに当たりまして、特段のご配慮を賜りたく、よ
ろしくお願い申し上げます。
記
1.現行建築士法の一級建築士、二級建築士、木造建築士の資格を尊重する。
2.建築士の一元管理を実現するために、建築士法による資格者に関わる講習並び
に資格者の登録及び登録簿閲覧業務は、立法時より建築士法で法定されている建築
士会、建築士会連合会(二級建築士、木造建築士は都道府県の建築士会)が実施する。
3.工事監理業務の内容を、法的に明確にする。その際、法的業務の範囲は、安全
に係る基本的な業務に限定し、その他の業務については依頼主との業務契約で明示する。
4.建築士会への強制加入は、今後の課題として検討して頂きたい。
③連合会が各建築士会から質問を求め、国土交通省に確認をした結果
「建築士制度の見直しの方向性について(素案)」についての質問と国土交通
省の回答 (回答済の質問を除く)
1.専門分野別の建築士制度の導入について
【問1】構造、設備の専門家、管理建築士の他、意匠担当建築士等全ての建築
士についても記名押印を義務化するのか。(山形)
*既に省令で担当した全ての建築士の記名押印はすることになっている。
【問2】再試験をやった国家資格はあるのか。(長野)
*多分ないと思う。再試験を実施するとは言っていない。
【問3】現構想の場合、現二級の能力判定するのか。(愛知、石川)
*二級の業務を拡大するのであれば必要となると思われるが、検討中。
【問4】一級建築士を目指して高専、短大等に進学した生徒の扱い。(愛知)
*大学卒業のみに絞ることも、実態を踏まえ検討中。大学卒のみになった場
合は経過措置をとりたい。
【問5】講習、修了考査をクリアする割合は、どの程度を想定しているのか。
*検討中。
【要望】考査の不合格者について、一定の再研修を行い再挑戦できるようにす
べき。(岐阜)
*考査を実施するのであれば、経過措置の間、何度も挑戦できるようにする。
2.建築士の資質、能力の維持向上について
【問1】「実務修習機関と実務修習」の内容は如何か。(山形、愛知、石川)
*「設計・工事監理」業務を行う者の実務的レベルを一定にするための内容
となる。
実務修習機関は一定の要件を備えていれば複数で有り得る。
【問2】受験資格として短大や専門学校は適用外となるが、その根拠如何。
(茨城、石川)
*短大や専門学校のカリキュラムは建築構造をはじめ、必要なレベルの講座
が不十分と思われる。
【問3】今年の合格者は、どのように扱われるのか。(茨城)
*新法が施行されていないので、従来通り。
【問4】その他業務に携わっている建築士及びその他業務を行おうとしている
受験者の扱い。(愛知)
*受験はできるが、登録の際、設計事務所での補助業務、修習機関での実務
修習を経て、資格登録要件を満たすことになる。
【問5】大学のカリキュラムを工夫すべきと思うが如何か。(愛知)
*必然的に工夫させる。大学院コースが補助業務となるのは困難と思われる
が、将来のカリキュラムの内容をみて判断したい。
【問6】設計事務所以外の事業所に従事している技術者の実績は認めるのか。
(岐阜)
*「設計・工事監理業務」に係わる補助業務が対象となる。
【問7】「業に従事する建築士に対する一定期間ごとの講習」の実施は「資格
者団体」が行うと理解してよいか。(岐阜)
*一定の要件を満たした団体。1に限らない。
【問8】消費者に建築士名簿を開示する「受講歴等」の受講の内容は如何か。
(理事)
*一定の条件を満たした講習。
【問9】行政機関の建築士に対しても講習等の受講を義務化するのか。(石川)
*行政機関の建築士は設計・工事監理業務を行っていないので義務付けはし
ない。
【問10】建築施工を業とする者、建築行政のみの経験者、教育機関の研究者等
は受験できなくなるのか。(島根)
*受験はできるが、一級建築士資格の取得には登録要件が必要。
【要望】資格取得要件の「業務補助」に
①建築確認検査や施工監督等の建築に関連する業務の補助業務等。
②建築に関連する研究・開発業務等を追加してほしい。(石川)
*今回の改正の趣旨から、有り得ない。
3.建築士事務所の業務の適正化について
【問1】専門資格者のみで専門資格事務所として登録できることになるのか。
(岐阜)
*登録できるように検討している。
【問2】積算業務も禁止となる再委託業務となるのか。(岐阜)
*積算業務は、設計業務とはみなされないため、禁止とはならない。
【要望】管理建築士の要件「一定の実務経験」に、建設業従事者で設計の経験
がなくても、建築事務所に登録できる道も用意しておくべき。(島根)
*今回の改正の趣旨から、ありえない。
4.工事監理業務の適正化について
【問1】建築基準法に基づく「着工届け」とは、法第15条の「建築届け」のこ
とか。また現行とどう変わるのか。(提出時に管理業務を明記させるのか。)
(石川)
*建築届けのことで、工事監理業務を受託した旨を証する書面を添付させる
ことを検討。
5.業務報酬基準の見直しについて
【要望】報酬基準(告示1206号)を見直し、意匠(計画)、構造、設備の分野
毎の業務標準と報酬基準を情報開示すべき。(東京)
*分野ごとに示す予定。告示となるので情報開示する。
6.団体による自律的な監督体制の強化について
【問1】「業務に必要な的確な情報の受信」という視点から、何らかの業務に
携わる建築士は、団体への加入を義務化すべきと思うが如何。
(栃木、鹿児島)
*義務化は難しい。
【問2】資格者の登録と閲覧義務を行わせる指定登録法人は、建築士会とすべ
きと思うが如何。(東京、鹿児島)
*一級建築士については、建築士会連合会。二級・木造建築士、は知事が指
定することになる。