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ローリングシャッター歪みについて

2024年06月24日 | 撮影日記
メカシャッターレスのカメラが話題になる度に、そのローリングシャッター歪みの程度が話題になるので何度か書いた内容ですが整理しておきたいと思います。
この歪みは電子シャッターの弊害だと思っている人もいるかも知れませんが、スリット露光を行う限り発生します。スリット露光の代表的なシャッターがフォーカルプレーンシャッターでカメラのごく初期から使用されています。フオーカルプレーンシャッターではいつも同じスピードで動く露光開始用の幕と露光終了用の幕で構成されます。この2つの幕の間隔がシャッタースピードになる訳です。これにより当時のメカニズムでも高速なシャッタースピードの正確な制御が可能になりました。ただストロボのような瞬間光で露光するためには露光開始用の幕が開ききった後に露光終了用の幕が動く様にしないとシャッター幕で光がケラれてしまいます。つまりシャッター幕が動作する時間、これを幕速と呼びますが、これより遅いシャッタースピードにしないとストロボは使えないことになります。もう一つの問題点がローリングシャッター歪みで、どんな高速のシャッターにしても露光開始のタイミングは画面の場所により幕速程度ずれることになります。画面上を高速に移動する被写体だと部分部分は高速シャッターで止まりますが、露光中に画面内で動いてしまうので結果としては変形して写ってしまいます。20世紀初頭の写真では変形した自動車などが良く登場します。

1960年から70年代、一眼レフカメラが大きく市場を伸ばした時代長らく幕速は1/60秒でした。ニコンのF1もライカも1/60秒です。この時代ローリングシャッター歪みが大きく問題になることはなかった様に思います。中判カメラで幕速が遅いカメラを使う場合の注意事項にはなっていた様に覚えています。というのは1/60秒で被写体ブレで何が写っているかわからないような被写体は余りありません。プロペラやゴルフクラブぐらいのものではないでしょうか?流し撮りで1/60秒ぐらいはよく使われますが、流し撮りの場合、主被写体は画面の中で止まっているので変形は起きません。流れている背景では変形が起きている可能性はありますが、すでにブレて流れているのであまり問題となることはなかったのでしょう。

一方なぜ電子シャッターでローリングシャッター歪みが問題になったかというと、センサは各ピクセルのフォトダイオードに光があたると、その光量に応じで電荷がたまり、その電荷量を電圧として検知することで画像を得ています。露光開始はこの各ピクセルのショートを開放することでおこないますが、露光の終了は読み出しでおこなうか、別にシャッターを設ける必要があります。読み出しを露出の終了とする場合は、読み出し速度に合わせて露出開始のタイミングを調整します。したがってフォーカルプレーンシャッター同様に、露光時間が部分によって異なることになります。この読み出し時間が少し前のセンサでは1/8秒や1・15秒かかるものが多く、そのため通常に使っていてもローリングシャッター歪みが起きるようになってしまったわけです。
先幕電子シャッターでは、メカニカルシャッターは後幕のみ使い、電子シャッターはメカニカルシャッターの幕速に合わせて露出を開始します。この場合はローリングシャッター歪みは、メカニカルシャッターと同程度になります。
グローバルシャッターは各ピクセルごとに露光終了する仕組みを持たせたもので、α9Ⅲのグローバルシャッターは、同じサイズのフォトダイオードを並べ、電荷を2つ目のフォトダイオードに移すことで露光終了としています。1枚分のアナログメモリを持っているようなものです。その分センサ面積が半分になり、画質的にはAPS-Cセンサとほぼ同様と言われています。

オリンパスのEM1-Ⅱは2016年の発売ですが、スキャン時間は約1/60秒と言われており、「実用上はあまり問題ないレベルまでローリングシャッター歪みを抑えた」と言われていましたが、実際使っていてあまりローリングシャッター歪みを感じたことはありません。ニコンのZ6Ⅲもこのレベルのようなので、今後メカシャッターレスの機種も同じセンサで、出てくるのではないかと思っています。

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