去る11/28に金沢市文化ホールにて、北陸MOT改革実践・交流セミナーが開催されました。
以下、簡単にですがイベント内容と概要を紹介します。
オープニング:北陸と東京の新融合で未来を創る JAIST知識科学研究科研究科長 永井由佳里教授
来賓祝辞:石川県商工労働部 産業政策課長 石山裕二(代理:産業人材政策室 野崎祥一)
セミナー全体像:「人間力と 技術力で 喜ばす」 JAIST知識科学研究科客員教授 近藤修司
本年は北陸新幹線開通後の開催となる点が、昨年度との違いであり、より北陸と東京の融合のために本会を継続して交流を深めることが重要とのメッセージをいただきました。
また以下の様なお言葉をいただきました。
(1)人と人との間から新しい「空間」が生まれ、そこから未来をつくっていく。
(2)本日は、全員が主役で、全員が脇役です。
(3)気づきがあり→相手を気づかせることで環ができる。
(4)喜びの心を軸にする人と人が交わることでイノベーションが起きる。これが人間力である。
基調講演:「世界のMOST・日本のMOSTに新知識を学ぶ」 JAIST副学長 井川康夫
非常に貴重なご講演をいただきましたが、全体を網羅する形での紹介にまで理解が及んでいないところもあるため、気になるフレーズをいくつか列挙させていただきました。
・近未来の技術:自動運転、メガネ、スマート時計、ドローン、3Dプリンティング
・PICMET2016:Fintech等々が話題となる
・経営者の思っている改革人材の要素とイノベーターの要素が合っていないのが世界的な課題である
・イノベーションは、1.専門能力、2.創造的思考力、3.内発的モチベーションの重なる所から生まれる
・JAISTの変革:ニーズ思考の強化、デザイン思考、集団の方が個人より優れた判断ができることの追求、社会的システムの問題への対応
・MBAのCore Value:アイデアを創出せよ、経験から学ぼう
・モチベーション:内発的動機を高めるには→自律性によって高まる → 外的報酬は相関関係がない。研究所の所長が決してやってはいけないことのひとつは、研究を指揮すること
・聞かれたら助言するのがマネージャーの役目、現場は助言を求める。(助言を求めやすい雰囲気作りが重要)
特別改革実践講演:「臨床美術と四画面思考の実践」 医療法人祐基会 帯山中央病院 臨床美術士 渡邊浩見
臨床美術という新しい治療方法に従事されており、その中でのご苦労や、今後のアクションプランについて四画面思考法を用いて説明いただきました。
また臨床美術とは、楽しめるアートを通じて脳の活性化を行う治療方法であり、生きる意欲にもつながるということ。活動を通じ渡邊さんは参加者の存在価値を高め、自分の存在意義を再認識したことをお話しいただきました。
最後に、臨床美術の認知度はまだまだ低いものの、五感で感じることにより目や耳以外で感じることの体験ができる治療方法であり、皆さんにもぜひ一度体験して欲しいとのことでした。
午後の部:北陸と東京における改革実践物語に学び共創する
今年も昨年と同様、JAIST東京サテライト”iMOST”社会人学生の方々にも発表を行っていただきました。加えて、いしかわMOT11期生、展示企業代表、並びにJAIST学生陣の発表者と組み合わせることで、昨年以上の「融合」を意識した発表形式となり、非常に共創感あふれる発表の場となりました。
以下、発表企業様、発表者様、発表タイトルを紹介だけさせていただきます。(役付、敬称略)
一組目:
株式会社リクルートライフスタイル
萬田大作:ITで顧客と未来を創る!まだ、ここにない、出会いを創る大作戦
アール・ビー・コントロールズ株式会社
宮崎芳行:RBC志響塾と4大企業塾交流会 メンター船長改続物語
株式会社別川製作所
小野木隆:別川未来塾と私の改革実践活動 タイにおける改革実践
二組目:
富士ゼロックス株式会社
堀切和典:お客様共創ラボラトリーの価値創造における四画面思考と振り返りの実践
EIZO株式会社
小泉亮輔:未来と技術と人をつなぐロードマップ策定
三組目:
株式会社日立製作所
岩内輝雄:明るく豊かな未来を創る社会イノベーションへの挑戦
株式会社PFU
庭野正志:お客様の可能性を引き出す製品開発
展示企業代表発表:
株式会社朝日電機製作所
砂崎友宏:石川メモリー改革実践の軌跡と未来
四組目:
素材メーカー:新素材で健康・快適な文化を創造する開発チームづくり
澁谷工業株式会社
辻田和彦:確かな技術と信頼でお客様の安全安心な製品とそれを支える高品質な生産システム
五組目:
ITアーキテクト
藤原紀章:概念クリエイタが知識創造を加速 情報システムが知識創造システムに変わる
株式会社小松電業所
石原悟史:変化と成長を楽しめる私つくりとチームつくり
JAIST 知識科学研究科生
JAIST学生達も負けない、人間力と技術力で喜ばす 若者ならではの改革実践物語
まとめ・講評
近藤先生からまとめの言葉として、当日までの準備をお手伝いいただいたJAIST知識科学研究科内平直志教授、JAIST学生の方々、並びに石川県IT総合人材育成センター菅谷様への労をねぎらうコメントとともに、今後とも地域・企業の融合を深めることが重要であるというお言葉をいただきました。
最後にJAIST内平教授から、今後も東京と北陸の融合を継続することが重要とのお言葉を頂戴し、セミナーが閉幕いたしました。
なお、昨年度の交流セミナーより、IMSの直近三期の幹事にて運営・司会進行をお手伝いする運びとなりました。
今回は、9期:鷹橋、10期:長田、11期:川村にて司会進行させていただきました。次回は10期、11期、12期の幹事を中心に対応させて頂く予定です。
以下、司会役を行った三名から、所感を紹介させていただきます。
EIZO株式会社 鷹橋直樹(いしかわMOT9期生)
昨年から始まったiMOST社会人学生の方々からのプレゼンには、今年も引き込まれました。
四画面を自社で展開されている方が複数おられ、それぞれに苦労されたというお話は、同じ経験をもつ当方の胸にも響きました。
また、会社員でありながらも起業されている方、自身の職場が共創をテーマになされている方、協創=協調創造が企業文化である方、開発エンジニアでありながらマーティングもされている方、概念統合ができていない企業を助けることが業務となっている方など、多種多様な方々のお話しは、どの話も非常に示唆に富む一方、自身がいしかわMOTを卒業後に、あまり成長していないなと改めて思い知らされました。
今後は、今回の気づきや繋がりをより活用し、自身の人生をより良いものに変えたいと考えつつ、夜の片町に消えました。
株式会社別川製作所 長田健二(いしかわMOT10期生)
「共創」がテーマの中、昨年に引き続き、東京iMOSTの皆様と、情報交換をする機会を頂けたことに感謝致します。
以下簡単ですが、今回の感想をお伝えします。
井川先生のお話の中で、モチベーションマネージメントが脚光を浴びてきており、「報酬とモチベーションの関係性はこれまでの考えとは逆」という研究結果を聴いて驚きました。報酬だけでは「仲間との協働に影響あり」とのことで、私のこれまでの常識が崩れました。この話を聞いていて、経済産業 省の「社会人基礎力=1.前に踏み出す力、2.考え抜く力、3.チームで働く力」のことを思い出しました。今回のセミナーに集まった皆様を見ていて、北陸も東京も共通して「行動力にあふれているな!」と感じました。そうした人が組織をひっぱり、やがては社会をひっぱるリーダになっていくのではないかと感じました。こうした人達の集まりの中に入ると、不思議とこれまでの忙しい中で落ち気味だったモチベーションが上がっていく気がしました。 「みんなに負けないようにがんばろう。」という気持ちになりました。
企画に参加し、毎年少しずつ進化しなければ・・・という思いで県内企業内塾ではすでにおなじみになりました、ラベルを貼ったお茶「Fishするっ 茶」を東京の方にも紹介しようと思いつきました。今回はチームでの意見交換の場を設けられなかったため、発表に対する質問を行って頂いた方に、お礼として「~っ茶」と少しばかりの「お菓子」をお渡ししました。喜んでいただけたかは不明ですが・・・。「四画面するっ茶」は東京でもぜひ広めて 欲しいと思っています。販売の許可は貰っていませんので、あくまでも身内での会合でお遊び程度に使っていただければと思います。
前回も思ったのですが、MOT・iMOSTへの参加動機に大きな差があると感じました。石川の卒業生メンバーは、企業内からの推薦で「参加している」のに対し、東京の方は、1人1人が更なる上を目指して、個人としてiMOSTで「学んでいる」という感覚を受けました。
一番印象に残ったのは、「技術者が直接お客様から話を聴くと営業が不要になるのでは」という質疑の所でした。究極だな!と正直思いました。
なお東京iMOSTの方より、東京での交流会「羽田クロノゲート見学会」へのお誘いというサプライズもあり、北陸と東京との交流の機会が今後も益々増えていって欲しいと思いました。
株式会社東振精機 川村靖信(いしかわMOT11期生)
昨年度はMOTスクール受講生として参加させていただき、今年度は司会を担当させていただきました。
今年も、iMOSTの方々やいしかわMOT卒業生のパワフルで楽しく、すばらしい発表を聞き、刺激を受けて感動させていただきました。当初は質疑応答がなかった場合の想定をしていましたが、非常に多くの質疑が飛び交い、来場された皆様も多くの気づきや刺激を受けたことと思います。
特別改革実践講演の渡邊様からは「人間は存在を認められることで意欲が向上する。」という気づきをいただきました。人をほめることは難しくなかなかできませんが、小さなことでもほめることで周りのモチベーション向上に努めていきたいと思います。
一方、近藤先生からは「多くのひとが忙しいといって改革実践が進んでいない。」とおっしゃられたときに、自分のことを言われているようで胸が痛み、恥ずかしい思いがこみ上げてきました。また、最近MOT卒業生より「笑顔がない」とよく言われます。今回、皆様からいただいた気づきを胸に、自ら楽しんで、周りを楽しませられるよう成長していきたいと思います。
来年以降も本イベントはJAIST主催の下、IMSメンバーも積極的に連携し、交流を深めていきたいと考えます。
今回交流会への参加を見送られた方も、来年の交流会への参加を是非ご検討ください。