若手総合法務アドバイザーの備忘録

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株式会社の各機関

2016-06-07 19:21:02 | 法務
株式会社にはその種類に応じて、様々な組織を設置しなければなりません。

【株式会社の組織編成】
株式会社を運用していくにあたり、まずはそのコアとなる組織を編成しなければなりません。
株式会社の組織編成にはいくつかのルールが存在しますので、整理してください。
○ 株主総会設置と1人以上の取締役の選定(すべての株式会社対象)
○ 公開会社、監査役会設置会社、委員会設置会社は取締役会の設置
○(1)取締役会設置会社(委員会設置会社を除く)は監査役の設置
 (2)非公開会社である会計参与設置会社は監査役の設置義務なし
 (3)委員会設置会社は監査役を設置してはならない
○ 委員会設置会社、大会社は会計監査人の設置
○ 公開会社の大会社は監査役会の設置


上記が会社法に定められている株式会社の組織編成のルールです。
覚えづらいですが、是非頭にいれてみてください。

※ 大会社とは資本金5億円以上又は負債200億円以上の株式会社のことをいいます
※ 公開会社とは発行株式の全部又は一部に譲渡制限がかかっていない株式会社をいいます


【株式会社の各組織の定義】
上記の組織編成が覚えづらい原因として、各組織の定義がしっかり理解できていないことが挙げられます。
そこで、各組織の定義を一気に見ていくことにしましょう。



* 株主総会

株主総会は、すべての株式会社に設置義務があり、会社法に規定する一定の事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる株式会社の最高意思決定機関です。(会社法295条)
基本的には株式会社の運営に関する事項はすべて株主総会で決定しますが、取締役会設置会社においては、業務執行に関する事項は取締役会で決定するため少し権限が限定的となります。



* 取締役会

取締役会は株式会社の運営のうち、業務執行に関する重要事項について決定する権限を有する機関です。(会社法362条)
取締役会は取締役3名以上で構成されます。



* 取締役と代表取締役

取締役とは株主総会の決議により選任される者のことをいいます。
会社と取締役は委任契約の関係にあり、取締役会の構成員として様々な権限と、様々な制約を有します。

代表取締役は取締役の中から選定します。
代表取締役は、取締役会設置会社においては取締役会、それ以外の株式会社については株主総会や取締役の互選などで決定されます。
つまり取締役の1番の役割は代表取締役の監視とも言えます。
代表取締役は通常の取締役と違い、業務に関する一切の裁判行為等をする権限を有します。



* 会計参与

会計参与は取締役と共同して計算書類や会計参与報告などを作成する株式会社の機関です。(会社法374条)
会計帳簿をいつでも閲覧・謄写でき、取締役や使用人に対し会計について報告を求めることができます。
会計参与は、公認会計士若しくは監査法人又は税理士若しくは税理士法人でなければなりません。(会社法333条)



* 監査役

監査役は、取締役と会計参与の職務の執行を監査する機関です。(会社法381条)
主に業務監査と会計監査を行い、取締役が適法に職務を執行しているかどうかのチェックをします。また、取締役への報告義務など一定の権限と義務を有します。
したがって監査役は取締役や会計参与などが兼任することは禁止されています。(会社法335条)
ちなみに監査役を3人以上(うち半数以上を社外監査役)を置くことで、監査役会を設置することができます。



* 会計監査人

会計監査人とは監査役のうち会計監査に特化した機関です。
会計監査人には公認会計士または監査法人しかなれないため、会社の会計に対して、より専門性の高い機関となります。(会社法337条)
基本的には監査役には元役員などの内部に詳しい人間を置き、会計監査人を別で選任することが多いようです。



* 委員会設置会社

委員会設置会社とは取締役会の中に過半数を社外取締役とする「指名委員会」「報酬委員会」「監査委員会」という3つの委員会を作り、業務を執行する執行役を設置する会社のことをいいます。
それぞれの役割は以下の通りです。
指名委員会…取締役の選定など人事について
監査委員会…執行役や取締役の業務監査など
報酬委員会…執行役や取締役の報酬の決定など
より透明性の高い会社組織の作成と役割分担の徹底などのメリットがあります。



各機関の詳しい説明はいずれ見ていくとして、おおまかな内容を確認してみてください。
おおまかな内容がわかれば、最初に書いたルールの意味も少しわかってくると思います。
それでは、また。