今日で5月も終わりです。
全然関係ない話ですが、会計事務所の繁忙期は一般的に5月くらいまでと言われています。
…確かに5月は忙しかったです_| ̄|○
さて、気を取り直して、今日は株式会社についてお話しします。
【株式会社とは何か】
株式会社とは、会社債務について間接・有限に責任を負う株主により所有されている会社のことをいいます。
出資者(株主)は出資の見返りとして株式を引き受けますが、出資義務を果たした後は、その出資額以上の義務を会社に対して一切負いません。(会社法104条)
【株主に適用されるルール】
株主とは株式会社に出資している人をいいます。
株主は会社の所有者でありますが、必ずしも経営者ではなく、出資のみというのが認められます。これが所有と経営の分離という考え方です。
株主にもいくつか基本ルールが決められています。
◯ 資本制度と譲渡自由の原則
株式会社は「資本制度」というものを採用しています。これは「資本金の額に相当する財産を常に確保しておかなければならない」という考え方です。
勘違いしている方も多いですが、必ずしも現金で確保しておく必要はありません。資本金は建物や運転資金に形を変えて常に会社に確保されているのです。
この資本制度とは、「株主やめるから株式を払い戻ししよう」という株主の勝手を禁止している制度となります。これは会社の利害関係者保護の観点からできた制度です。
では株主が株式を精算したい場合はどうすればいいのでしょうか。
株式を精算するためには株式を他人に譲渡しなければなりません。したがって会社法には資本制度とセットで株式を自由に譲渡できる「株式譲渡自由の原則」というものが存在します。(会社法127条)
◯ 株主平等の原則
株主は法的にその有する株数や株式の内容に応じ、平等に扱われるという考え方を株主平等の原則と呼びます。(会社法109条)
あくまで株数などに応じた平等であり、全員が同じ利益を受けれるという意味での平等ではないことに注意してください。
◯ 自益権
自益権とは株主が会社から自らのために利益を受けることができる権利のことをいいます。
剰余金の配当を受ける権利、会社を清算した際の残余財産の分配を受ける権利などが代表的な自益権となります。
◯ 共益権
共益権とは株主が会社の管理運営に参加し、会社の経営を監督することができる権利です。
共益権には1株でも持っていれば行使できる単独株主権と一定数以上株式を持っていないと行使ができない少数株主権の2種類が存在します。
この持株割合等の要件がある少数株主権は、いわば株主平等の原則の例外規定と思ってください。
単独株主権の代表的なものは、取締役の行為差止請求権(会社法360条)や株主代表訴訟(会社法831条)があります。
少数株主権の代表的なものは株主提案権(会社法303条)や株主総会招集提案権(会社法297条)があります。
【持分会社との相違点】
では最後に持分会社(合同会社)と株式会社の違いを整理します。もし会社を設立する際に参考にしてみてください。
◯ 出資者のパワーバランス
株式会社は株主平等の原則により出資額や所有株式の内容により決まります。(大株主有利)
これに対して合同会社は出資者同士の話し合いにより利益の分配額や発言権も変わってきます。例えばお金はないけど会社にとってはなくてはならない存在のような人に多く利益を分配することが可能となります。
◯出資持分(株式)の譲渡
株式会社は基本的に株式譲渡自由の原則により自由な譲渡が認められています。
合同会社は持分の譲渡には出資者全員の承認が必要となるため閉鎖的な組織作りには向いています。
○内部組織
株式会社には株主総会を作らなければならない義務があり、意思決定はそこで行われます。したがっていい意味で慎重、悪い意味で意思決定が遅くなります。
合同会社ではそのような機関は存在しないため割と自由に組織作りを進めることができ、意思決定も早いです。
また合同会社には決算説明の義務がありませんので、いろんな意味で自由です。
◯設立費用
合同会社は株式会社に比べ設立費用がグッと安いです。
結論的に言えば、仲間内で組合的な組織作りをしたいのであれば第三者が介入しづらい合同会社がよく、資金集め的なものも含め合理的に組織を運用したいのであれば株式会社にメリットがあります。
それぞれのメリットを見極めながら最適な意思決定をしていきたいものです。
それでは、また。
全然関係ない話ですが、会計事務所の繁忙期は一般的に5月くらいまでと言われています。
…確かに5月は忙しかったです_| ̄|○
さて、気を取り直して、今日は株式会社についてお話しします。
【株式会社とは何か】
株式会社とは、会社債務について間接・有限に責任を負う株主により所有されている会社のことをいいます。
出資者(株主)は出資の見返りとして株式を引き受けますが、出資義務を果たした後は、その出資額以上の義務を会社に対して一切負いません。(会社法104条)
【株主に適用されるルール】
株主とは株式会社に出資している人をいいます。
株主は会社の所有者でありますが、必ずしも経営者ではなく、出資のみというのが認められます。これが所有と経営の分離という考え方です。
株主にもいくつか基本ルールが決められています。
◯ 資本制度と譲渡自由の原則
株式会社は「資本制度」というものを採用しています。これは「資本金の額に相当する財産を常に確保しておかなければならない」という考え方です。
勘違いしている方も多いですが、必ずしも現金で確保しておく必要はありません。資本金は建物や運転資金に形を変えて常に会社に確保されているのです。
この資本制度とは、「株主やめるから株式を払い戻ししよう」という株主の勝手を禁止している制度となります。これは会社の利害関係者保護の観点からできた制度です。
では株主が株式を精算したい場合はどうすればいいのでしょうか。
株式を精算するためには株式を他人に譲渡しなければなりません。したがって会社法には資本制度とセットで株式を自由に譲渡できる「株式譲渡自由の原則」というものが存在します。(会社法127条)
◯ 株主平等の原則
株主は法的にその有する株数や株式の内容に応じ、平等に扱われるという考え方を株主平等の原則と呼びます。(会社法109条)
あくまで株数などに応じた平等であり、全員が同じ利益を受けれるという意味での平等ではないことに注意してください。
◯ 自益権
自益権とは株主が会社から自らのために利益を受けることができる権利のことをいいます。
剰余金の配当を受ける権利、会社を清算した際の残余財産の分配を受ける権利などが代表的な自益権となります。
◯ 共益権
共益権とは株主が会社の管理運営に参加し、会社の経営を監督することができる権利です。
共益権には1株でも持っていれば行使できる単独株主権と一定数以上株式を持っていないと行使ができない少数株主権の2種類が存在します。
この持株割合等の要件がある少数株主権は、いわば株主平等の原則の例外規定と思ってください。
単独株主権の代表的なものは、取締役の行為差止請求権(会社法360条)や株主代表訴訟(会社法831条)があります。
少数株主権の代表的なものは株主提案権(会社法303条)や株主総会招集提案権(会社法297条)があります。
【持分会社との相違点】
では最後に持分会社(合同会社)と株式会社の違いを整理します。もし会社を設立する際に参考にしてみてください。
◯ 出資者のパワーバランス
株式会社は株主平等の原則により出資額や所有株式の内容により決まります。(大株主有利)
これに対して合同会社は出資者同士の話し合いにより利益の分配額や発言権も変わってきます。例えばお金はないけど会社にとってはなくてはならない存在のような人に多く利益を分配することが可能となります。
◯出資持分(株式)の譲渡
株式会社は基本的に株式譲渡自由の原則により自由な譲渡が認められています。
合同会社は持分の譲渡には出資者全員の承認が必要となるため閉鎖的な組織作りには向いています。
○内部組織
株式会社には株主総会を作らなければならない義務があり、意思決定はそこで行われます。したがっていい意味で慎重、悪い意味で意思決定が遅くなります。
合同会社ではそのような機関は存在しないため割と自由に組織作りを進めることができ、意思決定も早いです。
また合同会社には決算説明の義務がありませんので、いろんな意味で自由です。
◯設立費用
合同会社は株式会社に比べ設立費用がグッと安いです。
結論的に言えば、仲間内で組合的な組織作りをしたいのであれば第三者が介入しづらい合同会社がよく、資金集め的なものも含め合理的に組織を運用したいのであれば株式会社にメリットがあります。
それぞれのメリットを見極めながら最適な意思決定をしていきたいものです。
それでは、また。