若手総合法務アドバイザーの備忘録

ビジネスマン・経営者・転活、就活中の方へ
日々のビジネス判断の助けになればと思いますm(_ _)m
毎週更新!

基本戦略

2016-04-28 09:55:06 | 戦略
前回、戦略BASiCS(佐藤義典さんの考え方です。詳しくは戦略BASiCSをご覧ください。)のお話しをしましたが、これともう一つ大切な考え方が「基本戦略」という考え方です。
これは「高品質、関係性、利便性」の3つの戦略から一つを選択して、戦略BASiCSの指針及び矛盾点のチェックに使います。

高品質→同業他社に比べ、高品質高価格を重視する戦略
関係性→顧客との関係性、あいさつやコミュニケーションを重視する戦略
利便性→同業他社に比べ、低価格利用しやすさを重視する戦略


例えば高品質の基本戦略を選択した場合、「顧客」の範囲は“40代以上の独身の男性”とか“会社役員クラスのビジネスマン”とかになるでしょう。
逆に利便性の基本戦略を選択した場合の「顧客」の範囲は“低所得者のファミリー”とかになってきます。
顧客が決まると戦うべき戦場が決まり、戦場が決まれば他の要素も決まっていきます。
大切なことは、戦略BASiCSの全ての要素が同一の基本戦略で括られるように戦略を決定していくことです。

これは勤め人の方にとっても重要な考え方です。
例えば、ある業界に対して圧倒的な知識量や技術力を磨いて給与を上げていくのであれば、高品質の戦略をとって就職先や営業先を見極める必要があります。
逆に圧倒的な作業量で勝負するのであれば、利便性の戦略をとってより効率を重視するような働き方を考えなければなりません。
また、どちらもまぁまぁでも顧客との関係性を軸に勝負するのも関係性戦略という立派な戦略です。(現にあまり知識もない、作業も早くない人がトップセールスマンになることが世の中にはたくさんあります…皮肉な話。)

みなさん自身の戦略と会社の戦略を戦略BASiCSと基本戦略を軸に見直してみてください。
あなたが働きたいフィールドと会社の戦場は一致していますか?営業先はあなたのターゲットと一致していますか?

それでは、また。

労働契約の禁止事項

2016-04-27 12:38:45 | 労務
以前、法務カテゴリーにて「法律には契約自由の原則という原則があるため、自由に契約内容を定めることが出来る」と書きました。
では、労働契約も契約自由の原則により内容は自由なのでしょうか。

実はそうではありません。
もちろん基本的には契約自由の原則が適用されるため、内容に関しては自由です。
しかし労働契約にも無効となる項目がいくつか存在します。(契約自由の原則の修正)
これは基本的に弱い立場である労働者に対する最低限の保護です。
今回その内容を見ていきましょう。

【賠償予定の禁止】
労働基準法では「ミスしたら会社に500万円支払うこと」などという内容を事前に決めておくことを禁止しています。
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。(労基法16条)
ここで注意しなければならないのは、禁止されているのはあくまで金額を事前に決めることだということです。「実際の損失額に応じて損害賠償請求をすることがある」という内容自体を定めることや、実際に請求することは禁止されていないのでお間違いないように。

【前借金相殺の禁止】
某金貸しマンガやドラマなどで「借金返すまで働いてもらうからな!」みたいなやり取りがあったりしますが、労基法ではこれも禁止されています。(というかもっと違う法律に引っかかりそうですが…。)
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。(労基法第17条)
つまり例え会社に対する負債があったとしても、給与は給与として現金で支給して、勝手に相殺してはダメですよ。ということです。
これは賃金の支払い方の原則だ定められている労基法第24条にも同様の旨が定められているため、それだけ重要だということです。

【強制貯金の禁止】
「働くのであれば毎月決まった額を貯金しなさい。」というのも労基法で禁止されています。
使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。(労基法第18条)
こちらもあくまで強制貯金が禁止されているだけなので、一定のルールを守っていれば貯金させることは可能です。
給与の一部を貯金をさせることは会社からすれば一定期間預金を補えるため、資金繰りの面でも大いにメリットがありますが、強制はいけません。

労働基準法は様々な禁止事項がありますが、今回は労働契約に関する禁止事項を見ました。
労働基準法では、退職することに対する抑止力となったり、使用者という立場を利用した資金の差し押さえなどは禁止されています。
1つでも該当するものがあれば労働契約を見直してみてください。

それでは、また。

物権(2)

2016-04-26 14:08:43 | 法務
物権というのは民法その他の法律で限定列挙されています。これを物権法定主義といい、当事者間の勝手な合意のもと新たな物権をつくり出すことは認められていません。
民法175条「物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない。」

さて限定列挙されている物権の、一番代表的なものが所有権であると前回お話ししました。今回は所有権以外の物権をお話しします。
所有権に一定の制限を加えたものを制限物権といいます。
制限物権は用益物権と担保物権に分かれます。

【用益物権】
用益物権は所有権の3要件(使用、収益、処分)の内、処分を制限された権利のことです。
わかりやすく言えば、モノを利用する権利のことを言います。
用益物権としては、地上権、永小作権、地役権、入会権がこれにあたります。
例えば地上権とは他人の土地に自分の家を建てる場合に、土地を借りてその上に建物を建てられる権利のことです。

それぞれの権利の定義は以下の通りです。
地上権→他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利。
永小作権→小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利
地役権→設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利
入会権→ある団体が共同してあるモノから収益を得る権利


制限物権については用益物権の他に担保物権があります。
これについては来週お話しします。
それでは、また。

個人事業と法人成り

2016-04-25 10:30:41 | 税務

良いアイディアが思いついて、よし一旗揚げよう!さぁ事業を始めよう!と意気揚々と事業を始めた方については最初は個人事業主としてスタートすると思います。
そこから取引先を広げて、売上が増えてきたら、よしそろそろ法人成りだなと考える方も多いと思います。

では法人と個人事業主のメリット、デメリットはなんでしょうか。
また、どのタイミングで法人成りを検討するのがよいのでしょうか。

まずは法人と個人事業主のメリット、デメリットとして一般的に言われていることをお話しいたします。
【法人】
○ メリット
・節税の幅が大きい
例えば所得税の生命保険料控除の最高額は12万円となります。これに比べて法人は支払った保険料の額に上限はありません。(全額控除、1/2控除など控除額の制限はありますが…)
さらに社長の給与を使いながら税目間の適正額調整を行えるのも節税のひとつに入ります。
・欠損金の繰越期間が長い
欠損金とは過去のマイナスのことです。法人税の欠損金は9年間繰越が可能です。(29年からは10年間)
ただし、これに関しては資本金等の額1億円超の大法人等については一定の制限がされているので気を付けなければなりません。
・一般的に信用力が高い
法人は登記を義務付けられています。したがって会社の情報(役員、資本金、所在地等々)が登記簿に載ることになります。個人事業主の場合登記簿がないので、特に上場会社のような大きな会社の与信判断の材料が乏しく、なかなか通りにくい現状もあるようです。
また、従業員を雇用する上でも、株式会社という肩書きは信用力を高めます。潰れにくいイメージがあるのでしょうか。(そんなことないですが…。)
○ デメリット
・利益がなくても税金がかかる
法人の場合、利益がなくても住民税の均等割というものがかかります。最低7万円以上で資本金の額等により金額は変わりますが、なかなかの金額です。みなさんが何も儲けがない状態で7万円払えと言われたらかなりきついですよね。法人の場合はこれが平気で毎年かかってきます。
・税務調査が定期的にやってくる
これをデメリットと呼んでよいのかわかりませんが…。一応法人の場合は利益がなくても5年から7年に1回税務調査がやってきます。
しっかりと正しい申告をしていれば問題ありませんが、やはり税務調査は神経をすり減らすものです。

【個人事業主】
○ メリット
・利益がなければ税金が発生しない
まったく税金が発生しないわけではありませんが、こと所得税で考えれば利益がでなければ税金は0です。また住民税に関しても利益がなければ非課税となりますし、均等割りが例えかかったとしても5,000円ほどです。
・税務調査がほとんど来ない
これもメリットとするのは微妙ですが、個人事業主の場合税務調査はほとんどきません。現に何年も調査に来たことがない人も多いのではないでしょうか。
ただし脱税等をしている場合は話が別です。自分の信念に従って正しい申告を心がけましょう。
○ デメリット
・節税項目が少ない
まったくないとはいいませんが節税に使える項目が少ないことは事実です。例えば法人の場合社長の社宅契約というのが可能ですが、個人事業主の場合一般的には認められていません。
また、社長に対して給与も出せないので儲けを分散することが難しいです。
・増税傾向がある今に限った話ですが、2016年現在法人税は減税傾向にあります。それに対して個人に対する税目は増税傾向にあります。今後より一層個人増税の傾向が進んでいくかもしれません。
・一般的に信用力が低い住宅ローンを組みにくい職種第1位が個人事業主といわれることもあるくらい、世の中の個人事業主に対する評価は低いです。(低すぎるくらいです。)
中には偏見も入っているかもしれませんが、その偏見も含めて世の中の評価です。


では、どのタイミングで法人成りしたほうがいいの?利益をベースに考えた方がいいの?というお話を次回しようと思います。
それでは、また。

戦略BASiCS

2016-04-21 21:21:19 | 戦略
今日は朝からちょこちょこと忙しく、更新が遅れてしまいました。
楽しみにしてくださっている方、すみません(いないかもしれませんが…笑(..)(__))


さて、孫子の話をしたいのですが孫子を語り始めると終わりが見えないので、戦略のお話に入りたいと思います。
孫子は、いずれまとめます。


私が戦略の勉強をする上で教科書として使っていたのが佐藤義典先生の「図解実践マーケティング戦略」(日本能率協会マネジメントセンター)という本です。
すごく内容が整理されており、今でもお客様との打ち合わせ前に一読すると色々なアイディアをもたらしていただける、私のバイブルです。
是非興味がある方は読んでみてください。

少し固い文章が苦手な方は同じく佐藤義典先生の「白いネコは何をくれた?」(フォレスト出版)という本があります。
これは物語形式で話が進んでいくので、とっかかりとしてはかなりおすすめです。


佐藤先生の理論の根底にあるのが戦略BASiCSという考え方です。
それぞれ、
Battlefield(戦場)
Asset(独自資源)
Strength(差別化)
i
Customer(顧客)
Sellingmessage(メッセージ)

の頭文字をとっています。

戦場とは、どこでだれと戦うかです。
独自資源とは、模倣困難性の高い自分にしかないものです。
強みとは、独自資源を生かした差別化要因です。
顧客とは、ターゲットです。
メッセージとは、上記4つの伝えかたです。

これらの要素は相互に関係しており、どれが重要というわけではありません。
5つの要素で一貫性を持つことが大切です。どれか一つが欠けていても完璧な戦略とはなりません。


経営者の方はもちろん、サラリーマンや就活中の方でも、戦略的思考は大切なことです。
皆さんは戦うべき戦場は見えてますか?自分の強みに気づいてますか?
そこを整理する手段として戦略を学んでみてください。


それでは、また。