淡々と語る友人の心中やいかに。
先日、友人の遠方で暮らすお父上が71歳の若さで亡くなった。
10代や20代の頃ならば、自分が中年になった姿など想像もつかなかったし
70歳を過ぎれば老人だと思っていた。
だけど、40代になって分かった。
70代なんて何事もなければ、まだまだ若い。
心臓の状態がかんばしくなく、医師からも「覚悟をしていてください」と言われていたお父上。
ワタシには分かるが、その覚悟は1ヶ月経ち2ヶ月経ちするうちに慣れてしまうのだ。
「お父さんどう?」とワタシが尋ねても「あー相変わらず」程度になっていった。
お父上はたぶん『もう自分はダメなんじゃないのか?』と気づき始めたのだろう。
最期の1ヶ月あまりは「1度家に帰らせてくれ」と繰り返していたそうだ。
病状を考えると、それは実現不可能だった。
友人が「何か取ってきて欲しいものがあったら言ってくれれば・・・」と言っても
「いや、とにかく家に帰らせてくれ」の一点張りだった。
そしてお父上は天国へ旅立った。
1人暮らしのお父上、唯一の家族である友人。
親しい親戚たちとお父上のマンションで形見分けをし
あとの家財道具などは業者に処分を頼んだそうだ。
業者が来る前日、とりあえず家の中のものを1人でチェックした友人。
「父がどういう人だったかが、よ~く分かったよ」と友人が言った。
そりゃあそうだ。
そこで暮らしていたんだ。
そこには、お父上の日常があったんだ。
それにしても、お父上は何でも後生大事に取っておく性質の人だったらしい。
女性からの手紙、領収書、借用書、請求書などなど。。。年代物の書類。
しかも、生命保険の受け取り人はすでに別れた内縁の女性の名前。
もう連絡先も分からない他人が受け取り人ということで、保険会社に問い合わせてみるも
「受け取り人様からの請求がないとお支払いできかねます」で、おしまい。
「でもさ、親戚に見られなくてよかったと思うことにするよ」と笑う友人。
「そうだね、お疲れさまだったね」としか言えないワタシ。
「とくに、アレだけはね」
「ん・・・?」
「マンションのトランクルームにあったダンボール箱にね。。。
タイトルを言うのもはばかられるようなエロビデオが、ぎっしり」
「あうっ」
「あとね、部屋の引き出しから、熟女専用のテレクラの会員証」
「うぅぅ」
じわじわと恐ろしさがこみ上げてきて、家の片付けをしたくなった。
やっぱり70代はまだまだ若い。
お父上の名誉を守った友人は、安堵の表情で苦笑いしていた。
先日、友人の遠方で暮らすお父上が71歳の若さで亡くなった。
10代や20代の頃ならば、自分が中年になった姿など想像もつかなかったし
70歳を過ぎれば老人だと思っていた。
だけど、40代になって分かった。
70代なんて何事もなければ、まだまだ若い。
心臓の状態がかんばしくなく、医師からも「覚悟をしていてください」と言われていたお父上。
ワタシには分かるが、その覚悟は1ヶ月経ち2ヶ月経ちするうちに慣れてしまうのだ。
「お父さんどう?」とワタシが尋ねても「あー相変わらず」程度になっていった。
お父上はたぶん『もう自分はダメなんじゃないのか?』と気づき始めたのだろう。
最期の1ヶ月あまりは「1度家に帰らせてくれ」と繰り返していたそうだ。
病状を考えると、それは実現不可能だった。
友人が「何か取ってきて欲しいものがあったら言ってくれれば・・・」と言っても
「いや、とにかく家に帰らせてくれ」の一点張りだった。
そしてお父上は天国へ旅立った。
1人暮らしのお父上、唯一の家族である友人。
親しい親戚たちとお父上のマンションで形見分けをし
あとの家財道具などは業者に処分を頼んだそうだ。
業者が来る前日、とりあえず家の中のものを1人でチェックした友人。
「父がどういう人だったかが、よ~く分かったよ」と友人が言った。
そりゃあそうだ。
そこで暮らしていたんだ。
そこには、お父上の日常があったんだ。
それにしても、お父上は何でも後生大事に取っておく性質の人だったらしい。
女性からの手紙、領収書、借用書、請求書などなど。。。年代物の書類。
しかも、生命保険の受け取り人はすでに別れた内縁の女性の名前。
もう連絡先も分からない他人が受け取り人ということで、保険会社に問い合わせてみるも
「受け取り人様からの請求がないとお支払いできかねます」で、おしまい。
「でもさ、親戚に見られなくてよかったと思うことにするよ」と笑う友人。
「そうだね、お疲れさまだったね」としか言えないワタシ。
「とくに、アレだけはね」
「ん・・・?」
「マンションのトランクルームにあったダンボール箱にね。。。
タイトルを言うのもはばかられるようなエロビデオが、ぎっしり」
「あうっ」
「あとね、部屋の引き出しから、熟女専用のテレクラの会員証」
「うぅぅ」
じわじわと恐ろしさがこみ上げてきて、家の片付けをしたくなった。
やっぱり70代はまだまだ若い。
お父上の名誉を守った友人は、安堵の表情で苦笑いしていた。