いきもの散歩

近所の自然観察、飼育している川魚の記録

トンボ観察@5月下旬 〜初めてのヤマトンボ科〜

2018年05月31日 | 昆虫類
5月下旬に静岡県東部で観察したトンボたち。

〜 5月下旬に観察したトンボ一覧 〜
アオハダトンボアサヒナカワトンボミヤマカワトンボ
アオモンイトトンボ
ヤマサナエ
コヤマトンボ+
シオカラトンボ、オオシオカラトンボ*、コシアキトンボ*
全9種
+ 初見
* 今年初見


アオハダトンボ






昨年の5月下旬は5頭以上見られたが、今回は1頭会えればラッキーという感じだった。しかし、単純に昨年と比べて少ないというわけではなく、個体数に大きな違いはないのではないかと推測している。

昨年との大きな違いは、ナガエミクリの成長具合。昨年の5月下旬は、ナガエミクリの葉が水面に漂ったり、やや立ち上がったりしていた。そして、アオハダトンボの雄がそこにとまり、縄張りを主張していた。

ナガエミクリにとまる♂ 2017.05下旬

また、ナガエミクリはアオハダトンボの産卵基質として利用される。

ナガエミクリの葉に産卵する♀ 2017.08中旬

そのため、ここでのナガエミクリはアオハダトンボにとって非常に重要な植物。また、アオハダトンボの生態を観察するのに絶好の場所である。

しかし、今年はナガエミクリの葉が水面に漂ったり、水面から顔を出したりしておらず、まだ水の中。

ナガエミクリ 2018.05下旬

今回会ったアオハダトンボは、水際近くに生えた雑草にとまっていて、そこでナガエミクリの成長を待っているかのようだった。
ということで、「個体数は昨年と比べて大きくは違わず、活動の場であるナガエミクリの成長が遅いため、観察しづらい場所に移動してしまっているのではないか」と推測している。実際はどうなのだろう。今後のナガエミクリの成長を注視したい。

@レッドリスト
@@アオハダトンボ
静岡県RDL2017@準絶滅危惧(NT)
環境省RDL2018@準絶滅危惧(NT)
@@ナガエミクリ
静岡県RDL2017@準絶滅危惧(NT)
環境省RDL2018@準絶滅危惧(NT)


アサヒナカワトンボ

♂(橙色翅型)


♂(無色翅型)





ミヤマカワトンボ


フレッシュなこともあり、腹部のメタリックグリーンが美しい。
書籍「日本のトンボ」を見ると、腹部第10節の腹面は黄褐色とのこと。一度確認してみたいが、ミヤマカワトンボは上から撮影する機会が圧倒的に多いんだよな。もっと近づいて撮影できる場所を探したい。



雌には白い斑紋(偽縁紋)がある。また、雌の腹部は褐色。

まだ数は少ないが、三島市の渓流で発生していた。


アオモンイトトンボ

♂ 池の水際で2頭の雄が争っていた。


ヤマサナエ

♂ 川石にとまって縄張りを確保し、♀が来るのを待つ


♂ 横から


♂ 前から


♂ 後ろから


♂ 上から


ヤマサナエが多数いた川沿いにて。ヤマサナエに捕食されたのだろうか?

5月上旬には里山の川から少し離れた場所で、まとまった数の雄が見られた。今回そこに行ってみたのだが、ヤマサナエは確認できず。そこで、里山の川に沿って散策してみると、10頭程に会えた。すべて雄で、半分近くが川石にとまり、縄張りを主張していた。今まで地べたにとまっているところを見ては「たれぱんだ!」「縁側のおじいちゃん!」と突っ込んできた。今回、川石にとまっているところを初めて見た。その様子はコオニヤンマを連想させ、威風があり、おじいちゃんにしては格好いいじゃないかと思った :)


コヤマトンボ


渓流で産卵しているところを発見。狭い範囲を行ったり来たりして、何度も打水産卵していた。しばらくして、こちらが気になるのか、最後に強く1回打水して、飛んで行った。



デジカメ液晶で拡大してみると複眼が離れておらず、サナエトンボではないことはわかった。フィールドでは、初見のヤンマとばかり思っていた。帰宅しての同定が楽しみだったが、この黄斑だけで種名に辿り着けるのか不安でもあった。


♀ 複眼は緑色

書籍「日本のトンボ」でヤンマ科から見ていくと、漸くヤマトンボ科でこれだと思うものがいくつか見つかった。オオヤマトンボ、キイロヤマトンボ、コヤマトンボが候補。腹部第3節の黄斑は、キイロヤマトンボのようには途切れていないようだ。また、オオヤマトンボ(2本)とコヤマトンボ(1本)の形態的違いには顔面の黄色条の数があるが、写真での判断は難しい(1本に見えるが)。オオヤマトンボは「水面の開けた池沼や湖」、コヤマトンボは「周囲に樹林のある河川」で見られるとのことなので、生息環境的にはコヤマトンボに合致する。ということで、コヤマトンボと判断した。

この渓流では、ヤンマ-likeなトンボを多数見てきたが、同定できない場合「不明のヤンマ」ということで処理してきた。今回、コヤマトンボを初確認し、「不明のヤンマ」がコヤマトンボだったケースは少なくないのではと思った。

コヤマトンボのヤゴは何度か採集したことがあるが、漸く成虫に会えた。

コヤマトンボのヤゴ 里山の小川で採集, 2016/12/24

それにしても、2016年のクリスマス・イブはこんなことをしていたのかと、当時の自分のアグレッシブさにびっくりした。


オオシオカラトンボ




渓流沿いにて雄2頭を確認。今年初見。意外と成熟しているなと思った。


明日から6月。沖縄、九州、四国は既に梅雨入りし、東海地方も近いうちに梅雨入りするのだろう。確認したいこと、行きたい水辺、会いたいトンボなど多数ある。しかし、今月は特に天気の問題があり、思い通りにはいかないのだと思う。優先順位を付けて上位3つに絞るぐらいの感じがいいのかも。


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