いきもの散歩

近所の自然観察、飼育している川魚の記録

トンボ観察@6月上旬 〜梅雨入り前のオベリスク姿勢〜

2018年06月10日 | 昆虫類
6月上旬に静岡県東部で観察したトンボたち。

〜 6月上旬に観察したトンボ 〜
ホソミオツネントンボ
アオハダトンボアサヒナカワトンボミヤマカワトンボ
キイトトンボモートンイトトンボ*
アオモンイトトンボクロイトトンボセスジイトトンボムスジイトトンボ
クロスジギンヤンマ
ダビドサナエヒメサナエ+、ヤマサナエ
コヤマトンボ
ネキトンボ+、コフキトンボショウジョウトンボ
シオヤトンボシオカラトンボオオシオカラトンボハラビロトンボヨツボシトンボ
コシアキトンボ、ウスバキトンボ
全25種
+ 初見
* 今年初見


ホソミオツネントンボ



樹林に囲まれた池周辺で2頭に会った。越冬個体に会えるのも今年はこれで最後かな。


アオハダトンボ









今年初めて複数頭(♂*1, ♀*2)を確認。


アオハダトンボの産卵基質になるナガエミクリの葉が水面に漂ったり、水面から立ち上がったりするようになるにはまだまだ時間がかかりそう。ナガエミクリがもっと成長しないと、アオハダトンボの繁殖活動は始まらないのか?ここでは他にどのような産卵基質を利用しているのか?
アオハダトンボが水際近くの雑草におとなしくとまっている姿は、ナガエミクリの成長を待ちわびているかのように見えた。


アサヒナカワトンボ

♂(橙色翅型)


交尾。手前が♂(無色翅型)。


交尾時間は1分ほどと短かった。目の前で見ていたせいかな。


交尾が終わってから20秒ほどで、連結が解かれた。


そして、その15秒後に♂が先に飛び立ち、それを見て♀もすぐに飛び立った。


ミヤマカワトンボ

♂ 翅を開いた瞬間のハッとする美しさ


♂ UFOキャッチャーのように尾部付属器を広げる。交尾に向けて練習中?


♂ オベリスク姿勢?
この日は夏日ではあったが、真夏日ほどには暑くなかった。腹部を上げているのは、体温上昇を防ぐためのオベリスク姿勢ではなく、雌へのアピールや他の雄への威嚇のポーズのようだ。


♀ フレッシュで美しいお嬢様


♀ 田んぼのミヤマカワトンボ。すぐ横を流れる川から飛んできたようだ。


キイトトンボ

♂ 雄の腹部第7〜10節の背面は黒くなる。とまっているのはナヨナヨワスレナグサ。


♀ 犠牲になったのはアオモンイトトンボだろうか。キュートな体色をしているが、なかなか獰猛。


交尾 2頭で形作った見事なハートマーク

湿地で10頭ほどを確認。一度にこんなに会えたのは初めて。


モートンイトトンボ

♂ 腹部のオレンジ色がキュートでおしゃれ。眼後紋はハートマーク?


♀の体色は黄緑色で、眼後紋は複眼に沿う。


未成熟♀は橙黄色


♂ 思っていたよりも大きな虫を捕食するんだね。

この場所は愛読しているブログで紹介されていて、行ってみることにした。とにかくたくさんのモートンイトがいて驚いた。そして、ここではモートンイトへのピントが合わせやすく、とても撮影がしやすかった。また、腰痛持ちでしゃがんで撮影するのがちょっと怖いのだが、ここでは楽な姿勢で撮影し続けることができた。今まで撮影が苦痛でモートンイトの観察をあまり楽しめなかった。しかし、今回初めて心底楽しめ、時間があっという間に過ぎた。



今回確認できなかった交尾シーンを撮影するために、また行ってみたい。


アオモンイトトンボ




♀ オオカナダモに産卵。翅胸に橙色がまだ残っているので、完全には成熟していないようだ。


♀ 翅を開きながらの産卵。どうしたんだろう?


クロイトトンボ

♂ 池の周辺にて


こちらは上のクロイトトンボ♂の近くで見つけた。遠目から見て腹部がかなり太く見えたので、イトトンボ科とは思わなかった。撮影し液晶で確認したら、クロイトトンボ属の♀だったので驚いた。


上の個体の拡大写真

確認しづらい写真だが、眼後紋はそこそこの大きさなので、ムスジイトではなさそう。肩黒条に注目すると、セスジイトにしては太く感じる。また、そこに淡色線(いわゆるセスジ)は入っていないように見える。となると、残ったのはクロイトトンボと、可能性は低いが、まだ見たことがないオオイトトンボ。後頭条はないように見えるので、オオイトではなさそう。また、ここでは他にもクロイトを複数見かけたので、状況的にもクロイトで正解なのだろう。しかし、クロイトの雌に腹部が太いイメージがないので、未だにしっくりこない。


セスジイトトンボ







連結産卵

ハスの一部の除去作業が行われていた池にて。



ムスジイトトンボ

♂ 田んぼ脇の水路で10頭以上を確認

田んぼ脇水路を見ていると、ムスジイトの雄が雌を捕まえ連結した。ムスジイトの雌&連結シーンは今年初見なので撮影しようと近づいたら、すぐに連結が解かれた。不思議に思いながら、連結が解かれ、とまった雌を撮影してみた。



ムスジイトの眼後紋は細くて小さいが、この個体のものは少し大きめのおにぎり型。それは典型的なセスジイトの眼後紋。ということで、ムスジイトの雄が、間違ってセスジイトの雌と連結してしまったようだ。何をもって「違う!」と感じて、すぐに連結を解いたのだろうね :)


クロスジギンヤンマ






腹部に青い斑が散りばめられた美しい雄を撮影したいところだが、自分には飛翔撮影は無理なので、産卵している雌をターゲットにしていた。そして、漸くそのシーンを撮影することができた。これで、今年前半のトンボ関連の目標の一つ「クロスジギンヤンマを撮影する」を達成できた :)


ヒメサナエ

♂ ヒメサナエは初見。現地ではオジロサナエとばかり思っていた・・・

ダビドサナエとヤマサナエに食傷気味で、他のサナエトンボに会いたい気持ちが強くなった。そこで、愛読書「日本のトンボ」を読みながら、会えそうなサナエトンボに目星をつけてみる。すると、生息環境に「丘陵地〜山地の樹林に囲まれた河川源流域」と書かれているものが多かった。「河川源流域」は難しいが、思い当たる場所が1箇所あるのでそこを訪ねてみることにした。そこで午前中に確認できたのは、アサヒナカワトンボ、ミヤマカワトンボ、ダビドサナエ、コヤマトンボ、シオヤトンボ、シオカラトンボ。もっと上流に行かないとやっぱりだめかと諦め、周辺をぶらぶら散策することにした。その後、午後に戻ってみると、このトンボが川石にとまっていた。確認したのは5頭ぐらいですべて雄。真夏日並の暑さのため、川石でオベリスク姿勢をとる個体が多かった。


♂ オベリスク姿勢

その後も他のサナエトンボがいないか歩き回ったが、ヤマサナエらしきトンボを見かけたぐらいで目新しいトンボは見かけず。それでも、初見のサナエトンボに会えたので、大満足といったところ。来月に行けば、オジロサナエに会えそうな気がする。また、1ヶ月早く来ていたら、ヒメクロサナエに会えたのかもしれない。さらに上流側を調べれば、クロサナエに会えるかも?
ともあれ、今後も訪ねるのが楽しみなフィールドだ。



ダビドサナエ

♂ オベリスク姿勢


♀ オベリスク姿勢

ヒメサナエと混棲していた。本人たちは頑張っているのだろうが、腹部の上がり具合が不十分で、ヒメサナエのオベリスク姿勢のような美しさは感じられない :)


ヤマサナエ

♂ 上手く溶け込んでいたので、見落とすところだった。山田川自然の里にて。


コヤマトンボ

きっちりと同定できたわけではないが、コヤマトンボなのだと思う。ヒメサナエがいた渓流で4頭の雄を確認。それぞれの持ち場をパトロール飛翔していた。
それにしても、前回このトンボの存在を知れてよかった。知らなかったら、フィールドで「オニヤンマ?」「不明のヤンマ」とか言って、モヤモヤしていただろう。


ネキトンボ




樹林に囲まれた池の周辺で雄1頭を見つけた。ネキトンボは初見。こんなに早くアカトンボ(アカネ属)に会ったのも初めて。


翅胸側面の2本の黒条が太い。

名前が似ているキトンボとオオキトンボは共に、静岡県RDL2017で絶滅危惧ⅠA類(CR)に指定されている。ネキトンボの方は特に指定されていない。ってことは、比較的会えるトンボなのかな?

この日は真夏日並の暑さだったので、見事なオベリスク姿勢を見られた。



コフキトンボ

♂ まさに「粉吹」


♀の尾毛は下へ湾曲する。


♀ コフキトンボの腰を曲げる姿勢はよく見かける。排泄前にこのポーズをとるようなことを、どこかで読んだ記憶があるのだが思い違い?

池周辺の湿地や田んぼで確認。5頭ぐらいでまだ少なかった。


ショウジョウトンボ




未成熟♂
オベリスク姿勢と言って最初に浮かぶトンボはショウジョウトンボ。この個体は頑張ってオベリスク姿勢をとろうとするが、足場が不安定で十分な姿勢がとれないでいた。


未成熟♀
電気柵にとまってのオベリスク姿勢。複眼の色から未成熟と判断したが、どうなのだろう。ショウジョウトンボの雌を体色で成熟か未成熟か判断する自信はない。


成熟(?)♀ 2017.08下旬

@Memo
* 平地で初確認。成熟♂数頭。
* 富士山麓では未成熟♂1頭を確認。
* 樹林に囲まれた池周辺では5頭ぐらい。成熟♂1頭、残りは未成熟。


シオヤトンボ

♂ 捕食しているのはカゲロウの仲間?


♀ 逆光でわかりにくいが、こちらも虫を捕食している。

シオヤトンボはシーズンの終わりが近づいているが、フィールドによってはまだもう少し粘れる感じがしている。


シオカラトンボ




未成熟♂




様々なフィールドで見かけたが、それぞれの個体数はそんなに多くはなかった。雌雄と成熟・未成熟の2x2、交尾、そして産卵シーンを網羅して撮影しようとしたが、無理だった。
そう言えば、シオカラトンボは気温が高い時も地べたにとまったりして、オベリスク姿勢を見たことがない。検索しても写真は見当たらない。オベリスク姿勢をよく見かけるショウジョウトンボやアカトンボに比べて高温に強く、その必要がないということなのだろうか?


オオシオカラトンボ

♂ 富士山麓の池で数頭の雄を確認。同種だけでなく、ヨツボシトンボとも争い、ほぼ互角(若干劣性だったかも)の勝負をしていた。


今年初見の♀。渓流沿いにて。


ハラビロトンボ

未成熟♂







富士山麓の湿地では20頭以上を確認。それまでは静かだった水辺で、午前9時頃から成熟した雄同士の縄張り争いが始まった。ここでは、これからが見頃といった感じ。

平地の湿地周辺でも20頭以上を確認。ほとんどが体色に黄色味がある個体で、成熟した雄は数頭しか見られなかった。雄たちは観察しづらい水辺に移動し、繁殖活動を行っているものと思われる。ここでは、これから見かける数が徐々に減っていくのだろう。


ヨツボシトンボ

♂ 富士山麓の池で1ペアを確認。交尾飛翔&産卵を3セット見られた。


♀ 産卵は♂が警護飛翔する場合としない場合があった。

ヨツボシトンボのシーズンはそろそろ終わりのようだ。


コシアキトンボ

未成熟♂
成熟♂の「腰空き」部分は白いが、未成熟♂は♀のように黄色。

今年は5月下旬に初確認したが、飛び回ってばかりで撮影できなかった。今回は池の周辺でとまっているところを見つけた。


6日に東海・近畿・関東甲信地方での梅雨入りが宣言された。今回は梅雨入り前の晴れの日を利用して、トンボ観察に行ってきた。昨年は1年で44種類のトンボに会ったが、今回だけで25種に会えた。春のトンボから初夏のトンボへ移り変わる時期に、標高が異なる河川、池、湿地などの水辺を多数巡ったことによる。

東海地方では昨年より15日早い梅雨入りとなった。かと言って、梅雨明けが昨年より15日早くなるわけではないのだろうから、梅雨明けは例年通り(7月中旬〜下旬)になるのだろう。梅雨の間の貴重な晴れの日をどう利用するかについては未定。今回ヒメサナエに会え、新たな展開も見えてきたので、何を優先するのか整理し直したいと思う。梅雨が明けたら、再び桶ヶ谷沼に行ってみたい。GWに行った時はベッコウトンボに会えたが、次はベニイトトンボとモノサシトンボを見てみたい。




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