筆者の里見さんは医者であり、ご自分の経験に即して医者の現在の状況や今後の在り方を軽妙に語ってくれる。
医者はステータスがあるし、給料がいいというイメージがあるので、成績優秀な中高生やその親は医学部を希望しがちだが、実際の仕事はけっこう大変。
病気は医学によって完治できる、医者は病人を治すことができる、と、我々一般人はどうも、医者に対して過剰な思い込みがある。そんな過剰な期待を持たれるところが悲喜劇の根源である。
筆者は、将来的には医者よりもナースの方が重要になるのでは、と書いておられる。医者のステータスは急には変わらないだろうけど、医者の働く環境があまりに大変だと、働く上でのやりがいなんかはそうなるのかもしれないなあと思った。
医学部に進学を希望する中高生やその保護者は必読。
里見清一『医者とはどういう職業か』(幻冬舎新書 2016.9)