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原田マハ『暗幕のゲルニカ』を読んだ。

2017-01-04 08:42:02 | 

この作品は、ピカソの「ゲルニカ」を通して、人間が引き起こすあらゆる争いを否定するという内容。

争いは「ゲルニカ」によって二重に批判される。

一つは、その制作が、フランコ将軍によって起こされたスペイン内戦に対する、そしてヨーローッパ併合をもくろむヒトラーに対する抗議の意を含んだものだから。

ピカソと愛人のドラとの関係に、パルドという架空の資産家の息子を配して描かれる1937~1945年の世界では、パリ万博のスペイン館に出品するために「ゲルニカ」を制作して展示した後、戦禍を避けてアメリカのニューヨーク近代美術館(MoMA)に託す事情が描かれる。

もう一つは、反戦の象徴たる「ゲルニカ」を、テロで傷ついたニューヨークで展示することで、争いを否定する意を示すことになるから。

2001年9月11日の同時多発テロ、そしてアメリカのイラク戦争をきっかけに、MoMAキュレーターの八神瑤子さんは、ニューヨークでのピカソの展示を企画する。だが、「ゲルニカ」を所蔵するスペイン国立レイナ・ソフィア芸術センターでは、作品保護の観点や、テロ組織による妨害を懸念して承諾しない。瑤子さんは何度もくじけそうになりながらも、MoMAの理事長のルース・ロックフェラーの助けを得ながらもパルドの心を動かし、ついに「ゲルニカ」が貸出されることになる。

多くの人々の善意に支えられて、反戦の象徴である「ゲルニカ」が、制作以来、幾多の危難を乗り越えて受け継がれ、そして国々の統合の象徴である国連に飾られたのでした。

原田マハ『暗幕のゲルニカ』(新潮社 2016.3)

 

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