コンピューターを使ったアニメが全盛の昨今、職人気質のコマ撮りの人形アニメーションの大作である。
奈良の当麻寺に伝わる、中将姫の蓮糸曼荼羅の伝説と大津皇子の史実をモチーフに、藤原南家の郎女の一途な信仰心が、若くして非業の死を遂げた大津皇子のさまよう魂を鎮める物語。
春の彼岸の中日に、二上山に沈む夕日の中に尊い俤をかいま見た郎女は、写経千巻を発願する。一年かけて写経し終わった時、郎女は嵐の中をさまよい出て雨中を西へ西へと歩き、二上山の麓、當麻寺にたどり着く。寺の女人禁制の禁を犯した郎女は寺の庵で物忌みをすることに。その夜、當麻の語り部の媼から、謀反の罪で処刑された大津皇子の話を聞かされる。
処刑される瞬間に一目見た耳面刀自への執心から亡霊になった大津皇子には、郎女が耳面刀自と映ったのだという。
郎女は郎女で、亡霊大津皇子のすがたが二上山の尊い俤と重なる。
亡霊の(俤の)寒々とした身を被う衣を作ろうと、郎女は一心に蓮の糸を紡ぎ、布を織り始める……。
川本喜八郎監督が構想30年をへて完成させたものだ。
奈良時代のゆったりと時間が流れるようなおおらかさと、人を思うまごころのきよらかさと、古代ロマンに遊ぶ心があふれるようだ。
鈴木清順監督作品『オペレッタ狸御殿』を観たときもそうだったが、昔から一筋にもの(この場合は映画)を作り続けてきた人の、情熱と細やかさに感服し、憧れを感じてしまう。
パンフレットを見ると、使われている人形さんたちが思ったよりも小さいのに驚かされる。
昔、NHKでやっていた『三国志』や『新平家物語』は棒操りの人形だったから2~3才の子どもの背丈ぐらいあったけれど、アニメーション用はひな人形よりもまだ小さいサイズのようだ。それを、コツコツ、チビチビ、繊細にアニメートして、1コマ1コマ撮影する。
24コマで1秒。70分の映画だから24×60×70=100800コマか~。編集してこの数字だから、撮影したコマ数はもっとだな。途方もないなぁ。
一心に千巻の写経をし、蓮糸を紡いで、布に織って、曼荼羅をつくりあげる南家の郎女は、川本喜八郎監督自身の姿なのではないか?
わたしは、映画のラストシーンで、郎女の頬を伝った涙の意味をずっと考えている。
慕う人のために成し遂げたことで、(大津皇子が成仏して?)慕う人の姿を見ることができなくなったからなのか?
機会があればもう2~3回観て、確かめたいくらい。
奈良の当麻寺に伝わる、中将姫の蓮糸曼荼羅の伝説と大津皇子の史実をモチーフに、藤原南家の郎女の一途な信仰心が、若くして非業の死を遂げた大津皇子のさまよう魂を鎮める物語。
春の彼岸の中日に、二上山に沈む夕日の中に尊い俤をかいま見た郎女は、写経千巻を発願する。一年かけて写経し終わった時、郎女は嵐の中をさまよい出て雨中を西へ西へと歩き、二上山の麓、當麻寺にたどり着く。寺の女人禁制の禁を犯した郎女は寺の庵で物忌みをすることに。その夜、當麻の語り部の媼から、謀反の罪で処刑された大津皇子の話を聞かされる。
処刑される瞬間に一目見た耳面刀自への執心から亡霊になった大津皇子には、郎女が耳面刀自と映ったのだという。
郎女は郎女で、亡霊大津皇子のすがたが二上山の尊い俤と重なる。
亡霊の(俤の)寒々とした身を被う衣を作ろうと、郎女は一心に蓮の糸を紡ぎ、布を織り始める……。
川本喜八郎監督が構想30年をへて完成させたものだ。
奈良時代のゆったりと時間が流れるようなおおらかさと、人を思うまごころのきよらかさと、古代ロマンに遊ぶ心があふれるようだ。
鈴木清順監督作品『オペレッタ狸御殿』を観たときもそうだったが、昔から一筋にもの(この場合は映画)を作り続けてきた人の、情熱と細やかさに感服し、憧れを感じてしまう。
パンフレットを見ると、使われている人形さんたちが思ったよりも小さいのに驚かされる。
昔、NHKでやっていた『三国志』や『新平家物語』は棒操りの人形だったから2~3才の子どもの背丈ぐらいあったけれど、アニメーション用はひな人形よりもまだ小さいサイズのようだ。それを、コツコツ、チビチビ、繊細にアニメートして、1コマ1コマ撮影する。
24コマで1秒。70分の映画だから24×60×70=100800コマか~。編集してこの数字だから、撮影したコマ数はもっとだな。途方もないなぁ。
一心に千巻の写経をし、蓮糸を紡いで、布に織って、曼荼羅をつくりあげる南家の郎女は、川本喜八郎監督自身の姿なのではないか?
わたしは、映画のラストシーンで、郎女の頬を伝った涙の意味をずっと考えている。
慕う人のために成し遂げたことで、(大津皇子が成仏して?)慕う人の姿を見ることができなくなったからなのか?
機会があればもう2~3回観て、確かめたいくらい。
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ネット新聞によると、毛利元就は大江の広元の三男坊が先祖だって、鎌倉幕府から広元が相模毛利の庄をもらったのが名前のゆわれなんだって。どうでもいいと思ってきた家柄とか、やっぱり大事よね~~。かっこいいモンね。
どこの馬の骨かわからない先祖を持つはなこ
川本さんといえば、チェコのイルジー・トルンカのスタジオにいたこともある方。
トルンカの「真夏の夜の夢」のビデオは私の宝物です(うつくし~)。
当麻寺には、奈良に住んでいたとき何度か行きました。派手さはないけれど、しみじみとした風情のあるお寺でした。
奈良時代に興味を持ってもらえればいいですね~。
お子さんには『飛鳥昔語り』(清原なつの)とかもサイドリーダーにオススメ。
『飛鳥昔語り』は近々早川書房から新装文庫版が出版されるそうです!