店内で開催する、今年最初のおはなしかいで、店主いちみちゃんは紙芝居『やまんばのにしき』(松谷みよ子/松成真理子/童心社)を上演しました。
このお話は、秋のお月見の頃のお話なんですけれども、おもちつきの場面や熊の雑煮というお料理も登場するので、松の内に演じてもいいかな~と、選びました。
*****あらすじ*****
むかしむかし、ちょうふく山のふもとの村では、村人総出でお月見をしてました。すると、一転にわかにかきくもり、不穏な足音がちかづくと恐ろしい声が響きます。
「ちょうふく山のやまんばが、子ども産んだで、餅ついてこう。持って来ねば、人馬ともに食い殺すど~」
そこで、村人は早速餅をついて、若者二人にしぶしぶ運ばせます。道案内に志願したのは あかざばんば というおばあさん。
けれど、若者二人は道半ばでおじけづき、重いお餅をおいて村へ逃げ帰ります。
しかたなしに、あかざばんば はひとり、やまんばの家へ急ぎます。
やまんばの家へつくと、戸口のところで赤ん坊が遊んでいて、やまんばは横になって休んでいました。
この赤ん坊が、昨夜生まれたばかりの。その名も「がら」。
生まれてすぐに、やまんばの言いつけで村へ行って「餅ついてこう」と知らせたのです。
やまんばは、「がら」に山の途中の餅の包みと、それから熊も捕まえ来るように言って、熊の雑煮をこしらえて、あかざばんば にもふるまいます。
すぐに村へかえろうとする あかざばんば を、やまんばは「子どもを産んだばかりでからだがきつい、しばらく手伝ってくろ」とひきとめるのでした。
その後、あかざばんばの活躍で、村には「尽きぬ錦」と、やまんばの庇護がもたらされます。
*****ここまで*****
年を重ね、度胸のある頼りがいのある あかざばんば の言動が小気味よく。また、赤ん坊を産んだ後のやまんばの様子も慈愛があふれていて、演じていてとても気持ちのいい紙芝居です。
やまんばであっても、産後には、滋養のある食べ物と、誰かのサポートが必要。
頼れるあかざばんばが来てくれて、本当に良かったこと。
見かけや行動が特異に感じても、助けを必要とする人を無碍にしない心意気も、そこには感じられます。
「昔ばなし」をもっともっと、子どもにも大人にも楽しんでもらいたいわ。
さて、いちみちゃんは、いらぬ「深読み」をするのも好き。
やまんばのパートナー、「がら」のお父さんは、どうしたんだろか?
(もしや、処女懐胎……? いや、どこか遠いところで遠距離結婚とか?)
よそのご家庭の事情を詮索するのもなんですわね(反省)