我が家のバカ親父

我が家のバカ親父の言動を記録しています。全てノンフィクションです(笑)

食事の介助 その2

2005年01月26日 | 家に戻ってからの話
親父は食事の介助について、私よりも自分の方が上手いと言っています。
実際その様子を見ると、お世辞にも上手いとは言い難く、改めて馬鹿じゃ
ないかと唸ってしまいます。

母が自分でスプーンを手に持って食べる場合、私らがそのスプーンに物を
乗せてやるのですが、親父の場合何も考えず後ろ寄りに乗せてしまうのです。
その結果、スプーン全体を口に入れなければ食べられません。
前寄りなら先だけを入れれば済むのではるかに食べ易いのです。
ちょっとしたことですが、食べ易さは全然違います。

こちらが口に運んでやる場合、親父はスプーンを横から入れようとするのです。
普通スプーンを使って食べる場合、前から口に入れますよね? ところが
親父は横から入れようとするから当然うまく入りません。その結果、ブルドーザー
が砂利を落とすがごとく、スプーンを口元で傾けて流し込むことになります。
そんなやり方でうまくいくはずもなく、特にピラフを食べさすときはボロボロ
こぼしまくりです。

親父が口に入れてやる場合、ペースを考えていません。どんどん詰め込んで
「はよ飲め」と言います。ただでさえ嚥下不良なのにそんなに詰め込んで
飲めるはずがありません。その結果デロ~ンと出してしまいます。

正月は、嚥下不良の母に餅を食べさせています。毎年餅をのどに詰まらせて死亡する
老人がいることなどどこ吹く風、曰く「うちはちゃんと見ているから大丈夫だ」
いくら見ていても、詰まってしまえば終わりであることを理解できていません。
毎年何事もなかったという自信も恐らくあるのでしょう。

餅を食べさす際、煮えたばかりのまだ熱い状態で食べさそうとします。当然母は
「熱い熱い」と言うのですが、「冷めたら固くて食えなくなる」と言って無理やり
口に押し込みます。フーフーして少しでも冷めたらカチコチになるとでも思って
いるのでしょうか? 

ざっとこんな感じですか。これが親父の食事介助です。
私がたびたび指摘するので、最近ではこういったことも少なくなりましたが
私が戻るまでの数年間、毎日こんなだったと思うとホント恐ろしいです。

食事の介助 その1

2005年01月26日 | 家に戻ってからの話
介護の中で1番やっかいなことは、食事の介助です。
手が動かないばかりでなく、嚥下するのも大変な作業、
尚且つ精神状態もよくない状況での食事なのです。
調子のいい日には自分でスプーンを持ってなんとか食べるのですが
そうでない日は私らが食べ物を口まで運んでやる必要があります。
それでも食べてくれたら良いのですが、口に入れたままボーッとして
なかなか飲み込もうとしない時がよくあります。
結局、ほんのひとくちか、ふたくちしか食べない日もあるので困るのです。
そんな日は水も飲まないし、食後のうがいもしません。

私が戻って最初の頃、食事の時間になると親父はこう言うのです。
「さあ、また戦争かぁ?」
最初それがどういう意味か分からなかったのですが、その答えは
まもなく明確になっていきます。
ちゃんと食べないといっては怒鳴り、口の中の物を出したと言っては叩き、
薬を飲まないといってはコップの水をかけるのです。

そりゃ、しっかり食べさせないといけないけれど、そのやり方があまりにも
酷い。先の投稿にも書いたように、抵抗のできない老人にストレスを
与え続けると、それを回避するためボケに陥ってしまいます。
親父は馬鹿だから、自分のやり方で食べさせようとすればするほど悪循環に
陥ることを理解していません。
私が戻った当初はまだ調子良く食べる日も多かったのですが、最近では
そんな日もごく僅かになりました。

介護総論

2005年01月25日 | 家に戻ってからの話
母は5,6年ほど前に病気になり、それ以来介護を要する体になりました。
それ以前から私も兄も実家を出ており、普段は親父が1人で母の世話をして
おりました。
最近、母のことも含め諸事情あって、私が実家に戻ることになりまして、親父と
一緒に母の介護をする生活が始まったのです。

実家に戻って本当に驚きました。体が不自由な母に対し、思うように動かないという
理由で怒鳴るわ頭を叩くわ、もう大変です。このあいだは思わず私が止めに入った
くらいなのです。
当然母も怒って声を上げるのですが、その際よだれが垂れ、食事中なら口に含んでいた
物がデロ~ンと出ます。それを見た親父は更に怒鳴りまくり叩くのです。母もまた
奇声を上げ、親父はますます怒鳴り、、、 と、もうしっちゃかめっちゃかです。

このような生活が何年も続いていたわけで、母にとってこのような仕打ちが良いはずが
ありません。ストレスのはけ口の無い老人にストレスを与えると、ボケてしまいます。
ストレスを回避するための本能とでもいうのでしょうか、至極当然の成り行きでしょう。
以前ははっきりしていた母の頭も、現在では常にボーッとしたままです。
ときどき元に戻って普通に喋ることもあるのですが、その時間も回数も日に日に減る一方です。
私が親父に文句を言うので、最近になってあまり叩かなくはなりましたが、怒鳴るのは
相変わらず、母は生気を失った、生ける屍状態のままです。

親父は「あー何でこんなになってしまったんだ」と嘆いています。全く分っていません。
ストレスを与えるからだ、と言うとその返答が面白い。
「こうやって刺激を与えているからまだ正常な部分が維持されているのだ」

自分の馬鹿さ加減を全く自覚せず、かたくなに自分の考え方が正しいと思い込み
他人の意見も聞く耳持たず、結果悪い方に事が進んでしまう、そんな親父なのです。